はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

天国の友へ

2006-11-02 11:03:47 | はがき随筆
 君が末期の肺がんを患い、病院を出て荒尾の自宅に帰る、とは聞いていたが、夏の夜、突然「明日、福岡のホスピスに入る。これまでありがとう」と電話をくれた時は気が動転して「がんに負けるなよ」としか言えなかった自分が歯がゆく、腹立たしい。
 その7日後に君が帰らぬ人になるとは……。辛い身なのに私の妻や母を案じてくれた優しい君の、見舞いや葬儀にも行かれず済まない。許してくれ。
 遺骨が奥様の胸に抱かれての帰路、西の空に現れた虹に2人の娘さんが「お父さんの天国へのかけ橋よ!」と叫んだと聞く。君の笑顔が浮かんできた。
   出水市 清田文雄(67) 2006/11/2 掲載
写真はgootaroさんよりお借りしました。