はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

タケノさん語録

2006-11-09 11:15:44 | はがき随筆
 母は、裏の土手を草払い中に滑ってけがをした。病院で「まだ年寄りにはなりたくない」と、のたまう。院長が「89才が年寄りでなく誰が年寄りなの」。それには答えず「ひ孫の運動会や孫の結婚式があるから早くなおして下さい」と頼んだ。
 先日、親せきの葬儀後の席で「ビールも飲んださんかった」と大きな声で言い、周囲を唖然とさせた。
 近くに住む双子の妹には「征子から小言を言われた事がない」と。痴呆がある母との暮らしは、日々バトルの連続である。そしてそれは、そう遠くはない自分の事かも知れない……。
   薩摩川内市 馬場園征子(65) 2006/11/9 掲載