はがき随筆10月度の入選作品がきまりました。
△ 薩摩川内市樋脇町市比野、新開譲さん(80)の「ゆっくりでいいよ」(2日)
△ 南さつま市加世田村原、寺園マツエさん(84)の「定年」(9日)
△ 志布志市志布志町志布志、小村豊一郎さん(80)の「5時40分の空」(16日)
の3点です。
上村泉さんの「秋の風」、吉利万里子さんの「私の秋」、小村さんの「5時40分の空」、古木一郎さんの「酔芙蓉」などなど、秋の風情を称える文章を多く読ませていただきました。楠元勇一さんは秋の桜の「狂い咲き」を語り、年神貞子さんは「マタタビ」を面白く描きました。
スポーツの秋という面からは竹之内美知子さんの「早朝のサッカー」、横山由美子さんの「3年生全員応援」に十分に書かれました。あ、食欲の秋という面からは、吉松幸夫さんの「巻きずし」が、いかにもおいしそう。
さて、秋は年の終わり12月を前にして寂しい季節でもあるようです。子供さんが定年を迎えられる寺園さんの「定年」など。また、ご自分は高齢でなくても高齢の方々のために心を使われるところの出た、いい文章も多かったですね。福元啓刀さんの「喜寿むなし」は、自分の人生を振り返り戦争中の様々な出来事を思ってむなしい気持ちになった時、宅配便が届きます。「子供一同から」とあるサインに、様々な体験をした福元さんは複雑な思いをもちます。その内容がいいですね。それが「喜寿むなし」です。思いが深いのですね。
ご高齢の新開さんの「ゆっくりりでいいよ」は小学校6年生の担任で忙しく、嫁探しは親任せ、と書きます。最初の出会いが結納の日。以来、合同金婚式の御祝いも代表で三三九度。3人の子供の世話。日常生活は、家内にまかせっきり。急いだ来たような人生。家内の安らかな寝顔に「ゆっくりでいいよ」と語りかけて今夜も眠る。これからもゆっくり2人で歩いていこう。以上が全文です。いいですね。立派な人生論だと思います。道田道範さんの「人の情けに涙…」もいいですよ。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
係から
入選作品のうち1編は25日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のこーなー「朝のとっておき」です。