10歳の時に私は家族と共に台湾から引き揚げて来た。そして伯父、源にょん爺さんの隠居屋に転がり込んだ。彼の末っ子、シゲどんは生まれつき目と耳がひどく不自由であった。なので遊びに誘う時、耳に口をあて大声を出し、手を引いた。
ある日、いつもの伯父の読経が響く中、私はふと庭の夏ミカンをとることを思いついた。しかし、私の意図がわからず、まごはごしていたシゲどんがいて、伯父に見つかってしまった。
ごめんなさいも言えずうろたえていた私に、伯父は「いつもおおきにね」と行った。目は笑っていた。
出水市 松尾 繁(71) 2007/2/9 掲載
写真は金魚8さんからお借りしました。
ある日、いつもの伯父の読経が響く中、私はふと庭の夏ミカンをとることを思いついた。しかし、私の意図がわからず、まごはごしていたシゲどんがいて、伯父に見つかってしまった。
ごめんなさいも言えずうろたえていた私に、伯父は「いつもおおきにね」と行った。目は笑っていた。
出水市 松尾 繁(71) 2007/2/9 掲載
写真は金魚8さんからお借りしました。