はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆1月度入選

2007-02-21 12:06:05 | 受賞作品
 はがき随筆1月度の入選作品が決まりました。
△ 出水市明神町、清水昌子さん(54)の「孫は来てよし」(25日)
△ 鹿屋市札元、神田橋弘子さん(69)の「孫たちと一緒に」(8日)
△ 鹿児島市武、鵜家育男さん(61)の「重ねる年に誓う」(13日)
の3点です。

1月は元旦を中心にして家族の帰省や知人の訪問などが多く、それらを描いた面白い物を読ませてもらいました。清水さんの「孫は来てよし」は、訪ねてきた孫の守りで大いに楽しんだ清水さんが疲れ果てて「孫は来てよし、帰ってなおよし」とまとめた、その一文が効いてますね。
 神田橋さんの「孫たちと一緒に」も、孫の話。孫が通う保育園の冬の行事に「年の瀬餅つき大会」があるとか。年長組の園児が小ぶりの杵をふりあげて頑張り、きなこ餅やのり巻き餅などを大人たちと一緒にほおばって楽しんだという、実感にあふれた素直な文章でした。
 さて、このへんで男性の文章を2品見てみましょう。鵜家さんの「重ねる年に誓う」と、川久保隼人さんの「健全育成」です。鵜家さんは新年を迎えて、趣味の写真撮影その他で1年を過ごそうかなどと胸をざわめかせますが、次第に新年に宣言して自分を奮い立たせ磨き直そうと思い「自分に正直に生きる」「額に汗して太陽の下で体を動かす仕事を」と言います。川久保さんは近ごろの子供たちのいじめ問題などを問題にします。お二人とも広い大きな目で自分を見るいい文章ですね。
 1月は年の初めだからか、昨年の総括とか今年の予定といった文章が目立ちました。これは当然でいいことでもありますが、身辺のことやそれらへの思いを、さらりとまとめる、ということを試してみてみましょうよ。はがき随筆は小さい、日常の事から楽しさや美しさなどを発見し、それを文章化して確認することにある、と私は思ってます。この考え、いかがでしょうか。

(鹿児島文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
係から
 入選作品のうち1編は24日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで奉仕羽されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。     2007/2/21 掲載

ひゃっかん地獄

2007-02-21 11:18:38 | はがき随筆
 辞書には出ていない。八寒地獄ならあるが。北海道生まれの母が、片づけのできない私の部屋を見ては言っていた。その母に聞いてもどんな字を書くのかは知らないと。京都出身の祖父母が使っていた言葉だという。
 母は要らないものはどんどん捨てる人だった。私はというと、いつか使うかも、と取っておくタイプ。当然、部屋の中は物であふれている。
 年末の大掃除で思い切って捨てたり、しまいこんで一見片付いたようにみえた部屋が、また「ひゃっかん地獄」状態になって、母とともにこの謎の言葉を思い出している。 
   鹿児島市 本山るみ子(54) 2007/2/21