看病する間もなく急死されてみると、自分の至らなさだけが責められて、同時に夫の優しさだけが思われて涙が止まらない。特に夕方や雨の日には夫恋しさに嗚咽どころか号泣となる。押し寄せる満ち潮のような悲しみに溺れそうになる。あまり嘆くと後ろ髪を引かれてご主人が天国への階段を登れませんよ叱ってくれた人がいた。そんな時に夫の夢を見た。灰色がかったブルーの背広姿で、青年に若返った夫が私の目の前を、私には目もくれずに、さっそうと過ぎ去った。短い夢だったが、以来、夢に見た夫を思い浮かべると不思議と心が安らぐ。
霧島市 秋峯いくよ(66) 2007/4/15 毎日新聞鹿児島版掲載
霧島市 秋峯いくよ(66) 2007/4/15 毎日新聞鹿児島版掲載