はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

一人居である

2007-04-23 08:12:11 | はがき随筆
 一人居である。妻の出掛けた後、自分のやれる分は限られている。妻の役割、存在の大きさを知る。家事の一部でもとの思いは強いものの、実際の場ではなかなかである。慣れぬ手つきで包丁を使う。妻の10分の1である。生まれた時から母に習っていたら……、少しばかりは利口にできるのかも知れぬ。包丁よりも野菜を手で切って炒めた方が手っ取り早い事を知った。一日二日の一人居には飽きもやってくる。作る材料は、三色でもなく二色でもなく、たった一色である。一色で食卓を飾ることにもならぬ。総菜を買ってきた方が、本当に手っ取り早く一番早い。
   出水市 岩田昭治(67)2007/4/23 毎日新聞鹿児島版掲載