先日、北原白秋の生誕地、柳川を訪ねた。山側の町並みは古きものが美しい。川と柳の新芽が調和し、旅の心を癒してくれる。柳川城址、武家屋敷の庭園にうっとり。白秋記念館に入る。人影のまばらな館内は静けさが漂い、古い資料や写真が整然と並べられ、歴史がしのばれる。感動の中、青春時代に心を揺さぶり潤した歌や詩が思い出され、ひととき白秋の世界に浸る。柳川をこよなく愛した白秋。あの偉大な詩人が生まれた背景は、有明海に面した風土、人情、歴史が慈しみ育んだものだろう。船に揺られながら、川下りを楽しむ人の姿が心に残った。
出水市 橋口礼子(73)2007/4/22 毎日新聞鹿児島版掲載
出水市 橋口礼子(73)2007/4/22 毎日新聞鹿児島版掲載