はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

愛情感じた猫の親子

2012-06-14 15:46:33 | 岩国エッセイサロンより


2012年6月13日 (水)

   岩国市   会 員   片山 清勝

 片側1車線の向こう側に同じような色の子猫3 匹と、その親が並んでいた。どうするのかと見ていたら、親猫が左右に首を振った。

 次の瞬間、親は走って横断を始めた。子猫らは転がるように、その後を追う。渡り終わった親は追ってくる子どもらの様子を見守る。

 無事そろったところで、ゆっくりと草むらへ入って行った。

 親猫が首を振ったのは、車の途絶えを確認し、安全に横断するためのしぐさだった。

 どこでそんな方法を学んだのだろうか。

 猫たちは、人間の都合で捨てられたのだろう。親が子をしっかり守るという尊い姿を見て、なぜか気持ちが温かくなり、逆に人間社会に絶えない子どもへの虐待を少し恥ずかしく感じた。

 もう会うことはないだろうあの猫の親子。梅雨の長雨を避けて休む所があるのか、気になる。

 ペツトは最後まで飼い通してほしい。草むらを見返りながら、そう思った。

  (2012.06.13 中国新聞「広場」掲載)岩國エッセイサロンより転載