2012年6月13日 (水)
岩国市 会 員 片山 清勝
片側1車線の向こう側に同じような色の子猫3 匹と、その親が並んでいた。どうするのかと見ていたら、親猫が左右に首を振った。
次の瞬間、親は走って横断を始めた。子猫らは転がるように、その後を追う。渡り終わった親は追ってくる子どもらの様子を見守る。
無事そろったところで、ゆっくりと草むらへ入って行った。
親猫が首を振ったのは、車の途絶えを確認し、安全に横断するためのしぐさだった。
どこでそんな方法を学んだのだろうか。
猫たちは、人間の都合で捨てられたのだろう。親が子をしっかり守るという尊い姿を見て、なぜか気持ちが温かくなり、逆に人間社会に絶えない子どもへの虐待を少し恥ずかしく感じた。
もう会うことはないだろうあの猫の親子。梅雨の長雨を避けて休む所があるのか、気になる。
ペツトは最後まで飼い通してほしい。草むらを見返りながら、そう思った。
(2012.06.13 中国新聞「広場」掲載)岩國エッセイサロンより転載