はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

魔法の言葉

2012-06-26 07:44:56 | はがき随筆
 「疲れる」
 脳出血で倒れ、半身マヒとなり丸5年がたった今、療養中の夫が、そうつぶやいた。
 「もしかして、生きているのが…?」
 と問うた私に
 「うん」
 と、答えた。
 「私は何と答えたらいいの?」。しばらくして聞いた。
 「大丈夫だよお父ちゃん、ということば」と、答えた。私がどんな時でも夫にかけてきたことばだ。それは、自分自身への強い言い聞かせでもある。「大丈夫」ということばは本日、「魔法のことば」と知る。
  鹿児島市 萩原裕子 2012/6/26 毎日新聞鹿児島版掲載