はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

雨のカサブランカ

2012-06-25 18:21:08 | はがき随筆




 本紙の「季語刻々」で「アイスクリームおいしくポプラ美しく」という京極杞陽の句に巡り合った。俳句講座の講義にも参加したことはあるが、頓挫したこともあって、杞陽の句は目にしなかったのである。不勉強を恥じながらも、思わずホーッと声を発してしまった。そして無謀にも「こんな句をつくりたい」までに突き進んだ。
 折しも雨の庭にカサブランカが咲いている。ワインレッド、イエローの花びらがみずみずしく、鮮やかに映える。
 つゆのひのカサブランカいろさえて
 やっぱり私には無理か……。
  西之表市 武田静瞭 2012/6/25 毎日新聞鹿児島版掲載

写真は武田さんのブログ
より

マー君の名言

2012-06-25 18:14:21 | はがき随筆
 マー君は近所に住む長身の高校2年生。出会えば恥ずかしそうにペコリと頭を下げてくれる。彼には愉快な思い出がある。
 幼稚園の年長さんの時、年下の孫娘の遊び相手をよくしてくれた。我が家は南側に山を控えているため日当たりが悪い。ある日、子供たちが玄関を出たり入ったりして遊んでいた。突然、マー君が「ゆきちゃんのオウチは天気が悪い」と言ったのには噴き出した。
 なんと“名言”。大人に日当たりが悪いなんて言われたら愉快ではないが、子供の言葉に罪はない。マー君の五感が捉えた表現に脱帽した。
  鹿児島市 内山陽子 2012/6/24 毎日新聞鹿児島版掲載

安らかに眠れ

2012-06-25 18:07:22 | はがき随筆
 マテ貝採りの帰りだった。松林から飛び出したヒヨドリを出会い頭にはねてしまった。バタバタと道路上でもがくヒヨドリを、拾い上げて自宅へ急ぐ。
 「頭に重傷を負ったヒヨドリ君。さぞかし痛いだろうな。苦しいだろうな」。手当の知識も腕もない私は、手を合わせて祈るしかない。あの時「前方にもっと注意していたら。左にもう少しハンドルを切っていたら」。後悔ばかりが先に立つ。
 事故から1時間後にヒヨドリは昇天した。河原に埋葬して、卒塔婆代わりに小石を積み上げる。「私を恨むのはいい。迷わず成仏してほしい」
  出水市 道田道範 2012/6/23 毎日新聞鹿児島版掲載

お裁縫

2012-06-25 17:46:54 | アカショウビンのつぶやき


 母ゆずりで縫い物が、大好きなのだが、
昨年の右手骨折から針を持つのが難しくなた。
でも今回はやむにやまれず、針を持ってみた。

ステージ用のロングスカートの丈が
やや短いのがずーっと気になっていた。
私の周りには、器用な友人が多く、
ミニスカート全盛時代の可愛いスカートの丈を出し
素敵な物に変身させた友がいる。

指の不自由さも忘れて、挑戦する事にした。
本番前日の雨の中、適当な物を捜しに行った。
お目当ての品はなかったが、
まあまあのレースを買ってきた。

高齢になると夜、黒い生地を扱うのはとてもしんどい。
目をしょぼつかせながら、縫い付けた、なかなか良い。

ステージ上で、一人だけフリフリがあるって…
ちょっと恥ずかしいが仕方がない。

さてさて右手は?
明くる日に痛みが出ました。
やっぱり無理なのかな。