はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「幸せの布おむつ」

2012-06-27 14:24:14 | 岩国エッセイサロンより
2012年6月27日 (水)

    岩国市  会 員   山下 治子

友人の息子さんのお嫁さんは25歳。半年前、かわいい坊やが生まれた。
 息子しかいないその友人は、お産の時にお嫁さんは実家に帰るものとばかり思っていた。ところがお嫁さんの実家から、同居の弟妹が多く、母親の仕事もあって、お産はそちらで見てくれないか、と申し入れがあったそうだ。友人はまさかお産のお世話ができるとは、と大喜びした。私も息子ばかりなので、その話はうらやましい限りだった。
 ある日、友人宅へ伺うと、ベランダに布おむつが揺れていた。お嫁さんは「洗って使えば家計も助かるし、エコにもなるって、おばあちゃんがくれました」と屈託がない。今や産院ですら使われない代物を持たせる祖母もさりながら、なんと素直なお嫁さんだろう。友人が用意していた紙おむつは外出の時に、と決めて使っているそうだ。
 私が「お嫁さん、うんちを嫌がらないの?」と聞くと、友人は「それがバケツで洗って庭の肥やしに、ってまくの」と言う。離乳食作りも本を片手に奮闘しているとか。まるで私たち世代の子育てを見ているようだ。我が家の孫は、完全に紙おむつ。私も布おむつのたたみ方すら忘れている。
 友人のご主人は帰宅が早くなり、赤ちゃんの相手をしているという。友人はすっかり幸せばあちゃんに浸っている。こんな光景、なんだかうれしい。どうしたらこういうお嫁さんに、巡り会えるのかしら。
  (2012.06.27 毎日新聞「女の気持ち」掲載)岩國エッセイサロンより転載

コサンダケ

2012-06-27 07:28:22 | はがき随筆
 今、タケノコのコサンダケがうまい。特に朝採りのコサンダケのみそ汁がうまい。鍋をかけてから朝露のコサンダケをポキッと折ってきて、みそ汁に入れる。折ったところはうす黄色でいかにもうまそうだ。
 これを斜めに輪切りにして、わかめと豆腐を入れたみそ汁は格別だ。色合い、香り、味、そしてコサンダケのシャキシャキした歯ごたえはたまらない。
 コサンダケを箸ではさんで口に入れる瞬間はわくわくする。ちょっぴりみそがしみ込んで口の中でふわっと広がってうまい。おかわりをする。明日もコサンダケのみそ汁を楽しもう。
  出水市 畠中大喜 2012/6/27 毎日新聞鹿児島版掲載