*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*
(138)護摩壇山(ごまだんざん)<1372m> 「平家の滅亡を告げた山」
この山から伯母子山へ十津川と野迫川の村境となる山稜が続いている。山名は次の伝説による。源平屋島の戦いで敗れた平維盛は、西国に落ちた一門と別れて高野山に隠れたあと、滝口入道に導かれ熊野に向かう。この山頂で護摩を焚き行く末を占うが、煙が空に昇らず谷に下るを見て平家の運命を知る。そして那智に至り熊野の海に入水した。一説には、護摩を焚いて一門の将来を占ったのは清盛ともいう。
山頂山頂近くまで高野竜神スカイラインが通り、駐車場と護摩木を積み上げたユニークな形の展望塔「ごまさんスカイタワー」がある。塔の横から広い階段状の遊歩道を登ると、10分程で山頂に着く。
休憩舎と「和歌山県朝陽夕陽100選」の標識があるが、展望は殆どない。護摩壇を象った大きな山名板に和歌山県最高峰の表示があるとおり、山頂は奈良、和歌山両県にまたがっている。
タワー横まで車で入り、護摩壇山頂上を経て東の稜線伝いに歩くと、NHKのTV無線中継塔が立つ耳取山 (三角点名・丸山、標高1382m)がある。
ここは展望にすぐれ、眼下に深い谷に沿って龍神へ続くスカイライン、その左に1304mピークなどの山、その左に鉾尖山の鋭峰、正面遠くには果無山脈などがよく見える。本峰に引き返して、休憩舎横を左に折れ南側の尾根を下る。スカイラインを横切ると「森林公園ワイルドライフ」の大きな広場である。
ここから自然観察路に入り、1304mピーク山頂の休憩舎にくるとタワーから護摩壇山、耳取山とつづく稜線が正面に見える。