寒い朝、急に思い立って葛城山に向かう。登山口の、水分橋に着いたのは10時、既に旧国道沿いには車が列を作っている。いつものトンネルを見下ろす広場は満車で太尾登り口の方まで登って駐車する。青崩集落を抜けてていくと日は既に高く、真っ青な空から燦々と陽光が降り注ぐ。
畑の中の急坂で真っ赤になったサクラの木が一本、その上に緑の山が招くようだ。谷沿いの林道に入って、先行の夫婦連れを追い越した。今日は膝のサポータを忘れたのでちょっと不安だったが、まずまずのペースだ。荒れた谷道の鎖場、水場を過ぎ、中間点ベンチに着いて始めて腰を下ろす。単独行の男性が二人追い越して行った。じっとしていると汗が冷えてきたので、5分間休んだだけで出発。
ゆっくりと登り続けて、ショウジョウバカマの群生地にくる。今年になって生まれたような小さな小さな緑の葉が可愛い。砂防堤防横の階段は、やはり私には段差が大きく感じる。新しい水場の出来たキャンプ場を過ぎて、ロープ駅からの道に出会うとようやくハイカーの姿を見る。本日休業の白樺食堂の前から頂上へ登る。
正午前に着いた広い山頂のあちこちには、思い思いに腰を下ろす人影がみえウィークデーにしては賑やかだ。記念写真のシャッターを押して貰って、ススキの中を正面に金剛山を見ながら高原ロッジの方へ下っていく。
空は高く、大気はクリアで高見、曽爾山塊、大峰、大台の山々がくっきりと望める。
高原ロッジからツツジ園の方へ回るところで、和が笹原の中にリンドウの花を見つけた。ワレモコウは茶色になりかけていた。
他には白い野菊だけで、花には恵まれない時期だ。ツツジ園は火気厳禁の文字が目立つので、キャンプ場の方に移動する。
婿洗い池の方を見下すと、春にはヤマザクラが見事だったが、今は山肌に紅葉を散りばめて美しい眺めだった。キャンプ場上のファイヤをする広場に腰を下ろして湯を沸かす。背中から陽を浴びてポカポカと心地よい。北尾根の方へ行き来する人、数人とランニングの若い女性に出会っただけの静かな昼食場所だった。山頂部で1時間を過ごし、元の道を下る。中間ベンチまでは快調だったが、谷の下部に行くほど荒れているので神経を使い時間もかかる。久しぶりの山歩きだったが、幸いに腰も膝も痛まずに駐車場所に帰る。歩き慣れた道だけにのんびりと秋の山を楽しめた。