書店の店頭に山積みされ、新聞の書評欄でベストセラー上位に並んでいるのは、夫(この人も鬼籍に入った)が「ロックンロール!」とばかり叫んでいる、首の長い哺乳類のような名前の俳優の遺作や、私たちが子供の頃は口にすると叱られた「ウ〇コ」を堂々と題名にした本ばかり。おまけに目が悪くなった上に旅をすればその記録や写真の整理でPCの前に座り、タイガースの試合があればTV実況に熱狂し、読書の時間は減るばかり。それでもこの年はこんな本を読んだ。
1月 泡坂妻男「ヨギガンジーの妖術」、「しあわせの書」、「生者と死者」
2月 南方熊楠『十二支考』、森見登美彦「熱帯」、大沢在昌「帰去来」
3月 多崎礼「叡智の図書館と十の謎」
4月 堂場瞬一「バビロンの秘文字」
5月 山本弘他「謎解き超常現象」、『新とんでも超常現象56の真相』、玄侑宗久『現代語訳 般若心経』
6月 創元推理文庫「世界推理短編傑作集3」、奈良まほろばソムリエの会「奈良百寺巡礼」
7月 亀井勝一郎『大和古寺風物誌』、和辻哲郎『古寺巡礼』
8月 三浦裕之『口語訳 古事記』神代編、人代編、阿刀田高『楽しい古事記』、太宰治『お伽草紙』
9月 ちくま文庫日本文学『太宰治』、『菊池寛』、『夏目漱石』、『芥川龍之介』
11月 チャールス・L・ハーネス「パラドックス メン」、実吉達郎「世界空想動物記」
12月 山田野里夫『妖怪・魔神・精霊の世界』、野村胡堂「銭形平次捕物控傑作集三」
どうも安っぽいエンターティンメントばかりでお恥ずかしいが、今さら小難しい本を読んで勉強することもないし、今の私にとって読書は娯楽の一部に過ぎない。上の一覧で「」は新刊書で、昔からの癖で一冊読んで興味を持つと関連する本が多くなる。『』はわが家の書棚(DK以外の5部屋に各2つ以上ある)に積んである本である。後半期になると『』が多くなるのは、読み比べてみると、どうも昔の本の方が読み応えがあり面白い故だ。例えば「世界空想動物記」の参考文献にあった『妖怪・魔神・精霊の世界』だが、人魚だけをとっても世界中から何倍もの資料を集めて説明している。「奈良百寺巡礼」と『大和古寺風物誌』や『古寺巡礼』を比べるのは言わでもがなである。
「無人島に持っていくならこの一冊」という惹句のベストセラーがあるが、せめて今ある本のうちから100冊だけ残すとすれば…と年末から断捨離を始めた。山の本だけでも100冊に絞れないし、これは大変な作業になりそうな予感がする。