もう一つの天狗岩をご紹介して、民間伝承の天狗に戻ります。
これは木曾駒ヶ岳と宝剣岳の間、乗越浄土近くのの天狗岩です。
木曽駒へは61,74,78,82,94年と5度登っていますが、これは
82年夏、家族で登ったときの写真です。
立派な大岩ですが、鼻の長さでは湖南アルプスの天狗に負ける
ようです。
さて次は、奈良県に伝わる「天狗の話」をいくつかご紹介します。
梅林で有名な月ヶ瀬の近くに神野山(こうのさん)があります。
歓迎アーチにも、駐車場にも烏天狗たちが遊んでいます。
昔ここの天狗が伊賀・青葉山の天狗と喧嘩をしました。伊賀の天狗
は岩や芝生を手当たり次第に投げつけてきたので、神野山の頂上は
美しい草地になり、その麓には鍋倉峡という黒い石が累々と連なる
珍しい谷が出来たということです。
写真は3年前の冬、摂ったものですが、3日前に降った雪が残って
いて、黒い岩の間を埋めています。
山腹の神野寺には、10数メートルの高さの「天狗杉」があります。
幹も枝もツルツルになっているのは、この木に住む天狗が弟子たち
に術を教え、修行させているからだそうです。
また昔、近くの大塩集落に他惚治という男がいました。夕涼み中に
見た大ホタルを追いかけて神野山山頂までくると、蛍の正体は天狗
でした。他惚治は天狗から「天狗飛び切りの術」を学び、言葉付き
も様子も変わって村に帰りましたが、それ以後は奈良へ行くのに
一刻、(伊賀)上野にいくのに半刻しかかからなかったということ
です。
ちなみに、この辺りから上野までは約15㎞、奈良までは25㎞ほどで
す。現代の乗り物のスピードで考えると、それほど早いとは思えな
いのですが…