大和民俗博物館で開催中の特別展「モノまんだら」を見学しました。
(撮影は申請して許可を得ています。)
テーマはモノと人との関わり…という大きなモノですが、実際には「袋」と
「おみくじ」が展示されていました。
これは、スーパーマーケットなどの現代の袋です。
「袋」は生まれた時から「お袋」のお世話になり、最後は「頭陀袋」を首にかけて
あの世に旅立ちますね。
その間の人生で使う様々な袋が展示されていました。
珍しいものが少なかった中で、これは目を引いた「施餓鬼供米袋」です。
お盆に先祖にお供えをするとき、無縁仏で成仏できずに俗世をさまよう餓鬼にも、
お供えをする風習があり、そのためのお米を入れる袋です。
私、変愚院には「くじ」の方に興味がありました。
籤、鬮の字のほかに「孔子」と書いて「くじ」と読むのを初めて知りました。
聖武天皇は「仁・義・礼・智・信」のクジで録(俸給)を、北条泰時は鶴岡八幡宮の
クジで天皇を決めたそうですが、昔は判断に困ったときに神仏のご意向を伺うのも
仕方なかったのでしょう。
展示では「宝くじ」などお馴染みのものもありましたが、できるだけ大和の民俗的な
ものを選びました。
これは「あみだくじ」。阿弥陀様の後光に似ているので付いた名前とか…。
もともとはこのように、真ん中から外に向かって放射線状に人数分の線を書いて、
それを引いたそうです。現在のように平行線の間に横線を入れて梯子状にするのは
新しい方法とか。
神社などで見かける御神籤箱。
他に「折り畳まれた籤が入った箱の中から参詣者が選ぶ方法、自動販売機(頒布機)
に発売金額分の硬貨を投入して得る」(Wikipedia)があります。
振り御籤。名前を書いた紙片を小さく丸めておいて伊勢神宮の御祓い(白いビラビラ
を束ねたアレですね)を用いて吸い上げるオハライヅケ(右)や、振り上げて飛び出
たものを当たりにするフリアゲがあります。
「大和士(やまとさむらい)春日講参勤用クジ。春日社旧社領23地区の所役を決める」
という説明がありました。
瓢箪山稲荷の「おみくじ」と「辻占」。「あぶり出し」と三枚セットになっています。
瓢箪山は「辻占」の本家と言われ、いわゆる「恋の辻占」で有名です。
『江戸時代から近くの東高野街道において辻占いの風習があったが、明治時代初めごろ
に宮司が「辻占」を創始し、「淡路島かよふ千鳥の河内ひょうたん山恋の辻占」として
日本全国に知られるようになった。』とWikipediaにあります。
瓢箪山は、変愚院の長い間住んでいた大東市から近いので、瓢箪山稲荷には何度も
お参りしました。
本来の「辻占」とはちょっと違うのですが、この「やきぬき辻占」も面白いものです。
紙の裏に硝石の粉末(だったと思います)を水で薄めた液が筆で書いてあり、火をつけ
るとじりじり焼けていきます。裏を見ればナメクジの通った後のように光っているので、
答えはすぐに分るのですが。
「あぶり出し」も同じような方法です。子供の頃は、ミカンの汁で字を書いて
「秘密文書」として遊んだことを思い出します。
ところで、現在でも遷都1300年祭の平城宮跡の整備行事の入札で、下限価格に34社も
入札したので「くじ」で決めたという新聞のパネルがありました。
今でも神任せで物事を決める風習がまかり通っているのです。
そういえば、プロ野球のドラフト会議もくじ引きですね。