ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

奈良の山あれこれ (136) 荒神岳

2016-05-28 08:59:59 | 四方山話

*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*

(136)荒神岳(こうじんたけ) <1280m> 「かまどの神をまつる神社の奥の院」

野迫川村立里。三角点峰は立里(たちり)荒神社を祀る北の峰(1240m)の南、600mの地点にあり、立里荒神社の奥の院にあたる峯で「古荒神」と呼ばれる。立里荒神への舗装林道から見ると、整った三角錐の美しい山容である。

荒神社は「かまど」の火を守る火産霊神(ほむすびのみこと)を祀り、「立里の荒神さん」として信仰されている。縁起では弘法大師空海が高野山を開山する際に勧請したと伝える古刹である。駐車場に車を置き、古い鳥居の並ぶ急な石段道を登る。10分近くで参詣道はほぼ直角に左に折れるが、その角が広場になりベンチも置いてある。スギ林の向こうに目指す荒神岳が見えるが、まずは三宝荒神社本殿に参詣する。本殿はこの北峰山頂に位置し、稜線伝いに最高峰の荒神岳に行けそうだが、一帯は社地の囲いがあって入ることができない。

先の広場にに降り、ヒノキ植林の踏み跡を下ってみる。勾配が弱まるところで山腹を捲く道があり、植林の中を辿るとジグザグの登りで稜線にでて、あとはだらだらと緩やかな道になる。クヌギ、ナラ、カエデなどの落ち葉を踏んで行く。広葉樹林に大きなブナやヒメシャラが混じるようになり、少し傾斜が強まると三等三角点のある山頂だった。展望はないがミヤコザサに囲まれた明るい感じの頂上である。帰りは荒神社のあるピークを正面に見ながら下る。右手に延びる尾根のピークに電波塔、その下に駐車場の建物が見える。往路で稜線にでたところの手前に、右に山腹を捲いて下る道を辿る。一部、崩壊して細いところもあるが間もなく車道に飛び出して、3分ほど下ると駐車場だった。


奈良の山あれこれ(135) 陣 ヶ 峰

2016-05-25 14:05:59 | 四方山話

*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*

(135) 陣ヶ峰(じんがみね)<1106m>   「山頂に金毘羅さん」

和歌山県高野町と奈良県野迫川町の境にあり、標高1106mの一等三角点を持つ。山頂に金比羅宮がある。

高野山の門前町を抜けて、行き交う車の少ない県道53号線に入る。尾根末端を回り込む格好でヘアピンカーブがあり、その頂点で三叉路になっている処が天狗木峠である。私たちは休憩舎の横の駐車スペースに車を置いて「金比羅宮参道」の標識に従って舗装路を尾根に登った。

なだらかな土の道が終わると、急な舗装路に変わり、それが何度か交互に出てくる。左手にヒノキ、右にはマツが並ぶ道の幅は広く、土の出ているところは緩傾斜、舗装部分は凄い急勾配である。しかし15分足らずで、あっけなく山頂の一角、金比羅宮の前に出た。

陣ヶ峰三角点は神社前の広場から、ミヤコザサやススキを掻き分けるように南へ100mほど行った処にある。

さすが一等三角点だけあって展望は広く、南に伯母子岳、護摩壇山、西に矢筈山や生石ヶ峰、北には高野山の塔頭とそれを囲む高野三山、東側はヒノキ林の切れ目から大峰の山々が望めた。 


奈良の山あれこれ (134) 清水ヶ峰

2016-05-05 09:06:25 | 四方山話

*このシリーズは山行報告ではなく、私のこれまで登った奈良の山をエリアごとに、民話や伝説も加えて随筆風にご紹介しています。季節を変えたものや、かなり古いもの写真も含んでいます。コース状況は刻々変化しますので、山行の際は最新の情報を入手されますようお願いします。*

(134) 清水ヶ峰(しみずがみね) <1186.2m> 「美しい自然林の山」

五條市(旧大塔村)にある。地形図には山名記載のない標高1186.2m、三等三角点をもつ。奈良教育大学の実習林の山であり、ブナ、ミズナラなどの美しい自然林を歩く。2007年10 月中旬、日本山岳会の仲間ら10人で歩いた。

(以下、山日記から抜粋) 国道168号線で赤谷オートキャンプへ向かう。赤谷大橋を渡ると奈良大自然環境教育センターがあり、登山口は建物の裏手にある。スギ、ヒノキ林の中の急な階段道を登り標高500mのベンチがある分岐を左に行くと「左下・夫婦松」の標識がある。アカマツとゴヨウマツが根本で合体している仲の良い木である。尾根に出ると、標高600mの標識。ここからブナやリョウブなどの美しい緑の中を登り、登山口から45分で十坪平に着く。標高800mの休憩ベンチで道は分岐する。

等高線を捲くように付けられた沢道は「トチノキ回廊」と呼ばれ、往路はこの道を歩く。

涸れ沢を渡ると、斜面の右下に大きなトチノキが二本並んで立っていた。奈良県下一番の大きさといわれていて、一本の木には大きな洞が開いている。やがて水が流れ落ちるシャクナゲ沢出合を渡る。次の沢を渡るところにトリカブトに似たシロバナサンヨウブシがたくさん咲いていた。鉄塔の下を通って、小さな枝尾根を登った林の中で遅めの昼食。

ここからいったん沢に下り、登り返して「第三の(巨大)トチノキ」はすぐ横を通って行く。

広い「イノシシのヌタ場」を過ぎ、尾根道の勾配が緩むと平田平である。ミズナラの美林の中に大きなヤマナシの木があり、実がたくさん落ちていた。ここまで来ると頂上まではあと一登りである。

山頂は東から南にかけて開け、まず鋭鋒・釈迦ヶ岳の姿が目に飛び込んでくる。その左には孔雀岳、仏性ヶ岳と続く奥駈けの峰々。東南には整った形の笠捨山を挟んで、左に奥・中・南の八人山。右に地蔵岳、蛇崩山…と思った以上に素晴らしい展望だった。

ゆっくりと眺望を楽しんだあと、北東に延びる尾根道を下る。美しいブナ林の中を抜けて、800m地点で朝の道と合流。たっぷりと緑の森林浴に浸り、心身ともにリフレッシュできた楽しい一日だった。