大江戸妖怪からわ版3 ～封印の娘～ 27

魔都大江戸で年を越した
かわら版屋の少年記者・雀
新春早々
仕事仲間の桜丸やポーと連れ立って
歌舞伎見物へ出かける
日吉座の花形役者
蘭秋の艶やかな魅力と共に
物語に惹かれた雀は
脚本を書いたのが
雪消という白鬼の娘であることに驚く
美しく若い女の姿をした雪消は
ある理由で座敷牢の中にいた



ただひとりの人間として
魔都・大江戸に
暮らし始めた少年・雀が活躍する
大江戸妖怪かわら版シリーズも
3作目を向かえております

昼空を竜が飛び
夜空を大こうもりが飛び
隅田川には大みずち
飛鳥山には化け狐
城には
巨大なガイコツが住む
異界での暮らしにも
かなり慣れてきた雀ではありますが

相容れな何か
計り知れない
決して
立ち入ることのできない
領域があることも
分って来たようです

このシリーズでは
人を食らうと言う
純血の白鬼・雪消が
登場します

彼女は
結界の張られた牢の中で
生涯過ごさねばならない
過酷な運命を強いられますが
生まれ持った
己の定めを受け入れながらも
自らの才能を開花させ
戯作者として
世間に認められ
しっかり生きております

二人が出会ったことで
互いの世界が
またた世界が広がったようです
そして
長期的に気長に
今後の二人の展開に
注目してみたい！

どうにもならない運命のなかで
懸命に生きようとする雪消や雀
そんな二人を
鬼火の旦那をはじめ
多くの妖怪達が
温かく
時には厳しく見守ってくれている
妖怪達の
情の深さが
とても嬉しい…