時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

燦8~鷹の刃~43

2016-11-29 | 読書
おれが必ず
燦に逢わせてやる
遊女に堕ちた身を恥じながらも
燦への想いを募らせる篠音に
伊月は誓う
遊里からの帰り道
星月夜に轟く鳥の声に
不吉な胸騒ぎがし
城へと急ぐ

正に
刺客が薄主・圭寿に放たれていた
その頃
静門院おと於ようとお吉は
田鶴に向かって道を急いでいたが…

文庫オリジナルシリーズ
ついに感動の最終巻!



田鶴に戻り
腐敗した輩を一掃し
藩の財政再建と共に
国に暮らす人々の
健やかな生活を
守って行こうと
誓った若き藩主・圭寿
そして
主君を生涯
影から支えようとした伊月
そこに
神波の一族の生き残りの燦が
加わり
田鶴藩は
さぞ素晴らしい国に
なるんだろうなぁ~

圭寿とお吉
燦と篠音
このふた組は
多分
幸せになれるだろうけど
伊月と於ようは
微妙だなぁ~
でも
於ようさん
結構良い人で
と言うか
権力に翻弄された
可愛そうな女性だった訳だし
何とか
幸せにさせてあげたい!
と思っていたのに…

これはない!

伊月の父であり
田鶴藩筆頭家老の吉倉伊左衛門
あんさん
何て事をしてくれたのよ

自分の子供と
藩主の子供を
取り替えてたなんて!

そうなんです
田鶴藩主の二男は
圭寿ではなく伊月

吉倉伊左衛門の長男は
伊月ではなく圭寿

伊月と燦は兄弟ではなく
圭寿と燦が兄弟 

先の君主
継寿憎さのあまり
我が子を
神波の血を引く者を
田鶴の城主にしようなどと
大それたことを
してくれたものだ

最悪なのは
この事実を圭寿が
生涯知らされない
と言う事なのですよ
圭寿は
お吉を側室として向かい入れ
三男三女を儲け
名君として名を残すのに

伊月は
真実を語ることなく
生涯
圭寿の側近として
影の存在として
生きると言う下り
藩史に
伊月の記述は殆どなく
せめて
於ようと夫婦にでもなれば
幸せだったろうに
肝心の於ようは
伊月の妹・佳那と
母・八重を助けるために
死んでしまいました

光と影

余りにも
対照的な
圭寿と伊月の人生

辛過ぎる

こんな結末
読みたくなかったぁ~
必要だったの?
このからくり…

しかも
作品のタイトルが
‘燦’なのに
燦のその後が
一行も
書かれていない!

ど~ゆ~ことなの!?

終ってみれば
燦 伊月 圭寿
青年から成人へと
成長していく
群像小説ではなく
老いた家老の
復讐小説だったのね

歪んだ
吉倉伊左衛門の企みに
人生を
狂わされた三人は
それでも
清く正しく美しく
課せられた
運命を受け入れ
それぞれに
己の道を
邁進するのでありました

納得は出来んが…