時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

マクガワン・トリロジー

2018-07-30 | 舞台/役者
1年おきに起きた3つのエピソードからなる
3部構成の舞台でございます
アイルランド共和軍(IRA)の内務保安部長
ヴィクター・マクガワンの3年を描いています
1部は
アジトとなっている廃れた地下のバーを舞台に
ヴィクターと同胞アハーン
司令官ペンダー
モヒカンのバーテンダーの
激しいやりとりが展開されます

2部は
背の高い草が生い茂る湖畔が舞台
手首を縛られた女を
車のトランクから出し会話が始まります
女はヴィクターの幼馴染で
そして
昔憧れと言うか
好きだった女性です
なのに
ヴィクターが
処刑しなければならない対象なのです



3部は
傷だらけのヴィクターが
老人施設に入院する
母の病室が舞台
窓か忍び込んだヴィクターを
呆けた母は彼を弟と勘違いし
話し出します
噛み合わない会話の中で
母の
ヴィクターに対する本音を
知ることになったのですが…

元々は
1部だけの
作品らしいんですけど
ヴィクターの
その後が知りたいと
見てみたいと
誰が要望いたのか
存じませんが
3部作になったとか

何故
その後が
知りたかったんでしょう
何故
そ~ゆ~発想に
なったんでしょう
お国柄?
恐らく
ヴィクターが
アイルランド共和軍(IRA)に
所属していると言う
設定だったからだろう
とσ(^_^;)は
思いました
母体の性質上
こうなるのが…



時は1984年 ベルファスト
登場するヴィクターは
支離滅裂
強烈でした
感情の起伏が
非常に激しく
既に
人格破壊しているんじゃないかと
思わせる
言動・思考・行動は
酒場の一室に
閉じ込められた人間に
狂気と恐怖を
植えつけます

ここでのヴィクターは
暴言をまき散らし
店内を動き回り
踊り歌い出す
他人の意を介さず
情報を漏らした
アハーンはおろか
司令官のペンダ―と
店にいた
バーテンダーも
殺害

現在放送中の
TBS日曜劇場
この世界の片隅に
北條周作演じている
松坂桃李と
同一人物かい!?
ってな具合に
強烈な
キャラクターを演じておりました
極端な
役を掛け持ちしているからこそ
できる演技?



1年後
1985年
メイヨー州の湖畔
処刑する対象者が
‘他人’から‘幼馴染’と
近い存在になっています
幼馴染ですよ!
しかも
恋心を抱いた女性です
彼女との
共通する思い出が
沢山あるだろう人を
処刑できるのか!?

ヴィクターが
処刑する場所と連行したのは
ふたりの故郷
懐かしい場所
そこで彼女は
話の主導権を握り
昔話をしたり
命乞いをしたり
車から流れてくる音楽に合わせ
一緒にダンスをしょうと求めます
ヴィクターの性格
知ってるからでしょうね~
内面に訴えかける心情が
見受けられます

当然
ヴィクターの内側で
葛藤が
迷いが生じ始めます
しかし
彼は実行する



そのまた1年後
1986年
ゴールウェイ州の老人施設
処刑の対象者は母
しかも
すでに呆けていて
人の判別がままならない母親です
そんな相手を
殺して何に利がある?

面会に来たのなら
入り口から
正々堂々
見舞いに来ればよいものを
何故か
窓から忍びこんだヴィクター
その顔には
殴られた刑責有り
流石に
母親を殺すことに
躊躇いを感じ
上司に殴られたとか?
ヴィクターと母親は
もの心ついた頃から
確執があったっぽい

溺愛される兄弟達と違い
嫌われたいた自分が
IRAに所属し
アイルランドのために
アイルランド人としての
誇りを持って
正義を貫いてきたのは
すべて
母に認められたい一心だった

でも
母親の口から
出てきたのは
ヴィクターの
アイデンティティーを
根底から
くつがえすモノだった

インディアンのような髪の男の子

その後
母親に
飲んでと
持参した薬を差し出します
いつもは
先生薬なんて
飲まないのに


横たわる母親を残し
ヴィクターは
入ってきた窓から…



処刑する対象者が
1部 → ‘他人’
2部 → ‘幼馴染’
3部 → ‘母親’

と恐ろしく
身近な人間になってきています
当然
ヴィクターの
言動・態度・行動
モチベーション
何より
ヴィクターの精神状態に
変化が見られます

外面と言うか
見た目にわかる
狂人じみた
突拍子のない暴言や行動パターンが
年々
抑えされてきている判明
ヴイクターの内面
感情の不安定さ
精神崩壊が
進んでいるのはあきらかでした



終わてみれば
1部で感情を
周囲にぶちまけていた頃の
ヴィクターの方が
ある意味
一番人間らしかった事に
観客は気づくのです

より自分に近い人を
殺めることで
ヴィクターが
感情のない
殺人マシーンへと変貌してく
その過程が
不気味で悲しい

呆けた母が
ヴィクター本人だと
認識せず発した
真実と言う銃弾が
ヴィクターの心を精神を
アイデンティティーを
存在する意義すら
一瞬で
‘無’にしてしまった

太陽の日差しが消え
暗くなった病室の壁に
騎乗した兵士が
剣(旗だったかも)を振りかざした人形の影が
映し出されます
これは
ヴィクターが去り際
テーブルライトを点けて
その前に
人形を置いたからなんですけど
その影は
横たわる母親を
守るようにも
先導しているようにも
みえるんです

それは
最後に残された
ヴィクターの感情欠片かもしれない
そんな気がしました

2016年の舞台「娼年」に続き
今回も
難しい役に挑戦した
松坂桃李さん
役者として
確実にキャリア積み上げてます!
嬉しいです!
2019年2月の
舞台『ヘンリー五世』
楽しみにしています

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          画像は舞台『マクガワン・トリロジー』ゲネプロより(撮影:岡千里)より引用しています