時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

夜の底は柔らかな幻(下)

2020-04-06 | 読書
国家権力すら及ばぬ
治外法権の地である‘途鎖国’
ここには在色者と呼ばれる特殊能力を持った者が多く
暗殺者を養成しているとも噂されている
自身も在色者である
警視庁警部補・有元実邦は
その身分を隠し
ある目的を持って途鎖国に密入国を企てる
闇月といわれるこの時期
在色者たちは
途鎖に君臨する導師の地位をめぐり
殺戮を繰り返し
又ある者は
密かな目的を持って山深くを目指す
密入国に成功した実邦だが
かつての
実邦の婚約者で
入国管理局局次長として強権を揮う
葛城晃や
途鎖での同級生だったが
何かを隠している黒塚弦と再会する
更に
実邦の指導者だった
屋島風塵が
国立精神衛生センターから脱走
葛城の旧友で
快楽殺人者となった
ルカスこと青柳淳一など
関係者がいっせいに闇月の山を目指しだす
山の奥にひそむ導師の神山倖秀
実邦の元夫であり
葛城や青柳と共に
幼少期を途鎖国山中で過ごした殺人者
途鎖の山奥に隠された‘宝’をめぐり
彼らの闘いが始まる
そして
何かに魅入られ
導かれるように
山奥へと進む
少年・しらとりまさひでの
正体とは!?



ん!? ん!? ん!?

結局
何だったの?
途鎖国の‘水晶筋が
漆原友紀の漫画『蟲師』でいうところの
‘光脈筋’なんだってことは
想像できました
水晶筋の中に存在するらしい
‘仏様’が
在色者の‘イロ’に
共鳴?反応?すると言うか
能力をパワーアップさせる
ようでした
とは言え
水晶筋に生息する
‘仏様’は
ひとつ(個)ではなく
特殊な意識と言うか
概念の集合体のような
存在みたいです

途鎖国山中を治める
ソクとなったと思われた
神山倖秀ですが
とっくに
水晶筋の‘仏様’(概念)に
取り込まれて有機体と化し
既に人ではなくなったいました
実邦と行動を共にしていた
善法刑事は
自ら囮となって殉死
脳内に埋め込まれた
‘イロ’をコントロールするチップが
脳内に埋め込まれていた
黒塚弦と
神山倖秀と息子
しらとりまさひで少年は
水晶筋の‘仏様’(概念)とシンクロ
屋島風塵が
二人をつれ
水晶筋の‘仏様’(概念)の中へ
軍勇司は
周囲が混乱している中
ルカスこと青柳淳一のスキをつき
青柳の背中にナイフを突き立てました
かつて青柳に戦場で殺された
仲間の復讐を果たし
青柳と共に
崩壊した体育館の瓦礫に巻き込まれ…

強力なイロを持つ
在色者らを呑み込み
より力を増した‘仏様’(概念)は
水晶筋から出てこようとしましたが
それを
押しとどめたのは
何と!
実邦でした
実邦の持つ‘イロ’の正体は
‘仏様’(概念)を水晶筋に
押し戻す程の
とんでもないモノだったのです
ある意味
地上最強の
‘イロ’の持ち主!

かつて葛城の片目を
潰したことを後悔していた
実邦は
葛城を助けます
生き残ったのは
実邦と葛城だけ
岩山が崩壊し
水晶筋は埋まったのか
はたまた
自らの意志で地中深く潜ったのか…

で!?

次なる‘ソク’は誰?
水晶筋が消滅したわけではないので
今後も
途鎖国に闇月は存在し続けるの?
と言うことは
取り合えず
‘ソク’の席は空席のままで
翌年から
また新たな抗争再開!?

唯一
すべての成り行き
‘水晶筋’‘ソク’‘イロ’の本質を
知っていただろう
理解していただろう
屋島風塵は
何も語らず…

結局
何が何だか
分からずじまい
すべては幻…