時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

丕緒の鳥 十二国記 23

2013-07-27 | 読書
「丕緒の鳥」「落照の獄」「青条の蘭」「風信」
の短編4編で構成されております

<丕緒の鳥>
慶東国に新王が登極した
言わずもがな
現代の日本
十二国記で言うところの
蓬莱出身の中嶋陽子
その人である

新王即位に伴い
即位の礼で行われる
‘大射(たいしゃ)’の準備を応接かった
陶工である丕緒(ひしょ)は
鳥に見立てた陶製の的‘陶鵲(とうしゃく)’を
誂えることなったのだが
国の有り様に
絶望していた丕緒は
‘陶鵲’を制作する意味を
見い出すことが出来ずにいた…

果たして
‘鳥’は
大空に羽ばたくのだろうか

<落照の獄>
柳北国で
法を司る職務に就いている瑛庚
蓬莱で言うところの
最高裁判所・最高裁判所長官が
蓬莱で言うところの
地方裁判所~高等裁判所を経て
持ち込まれた
16件23人を殺害した
狩獺(しゅだつ)に対し
判決を下すまでの
様々な葛藤が綴られております

重罪を犯した
狩獺に殺刑(死刑)をもって
罪を償わせるべきなのか
すでに
国自体傾きつつある今
殺刑を復活させ
狩獺を殺刑に処すことが
国の衰退に
拍車をかけることにはならないのか

『悔い改めない!』と断言した狩獺に
瑛庚が下した判決の云々よりも
その直後の
狩獺と瑛庚の有り様が
実に
重みがあると申しますか
非情?残酷?
暗雲立ち込める
柳北国の未来を暗示しておりました

<青条の蘭>
雁州国のお話
疫病にとりつかれた山毛欅(ぶな)を
再生する唯一の希望
地方の下級役人である
標仲が
‘青条’と呼ばれる薬草を
新王に献上すべく
旅を続けていた

山毛欅が失われれば
山は荒れ
妖魔が蔓延る
国を保つためには
己の命に代えても
‘青条’を新王の元へ…

旅の半ばで倒れた標仲に代わり
名もなき民達によって
新王のおられる玄英宮へ
‘青条’が納められた笈筺(おいばこ)が
運ばれていくのであります

そして…

<風信>
慶東国に新王である
景王・陽子が登極する
少し前の頃のお話

予王(先王)である女王・舒覚の発令した
慶東国より
すべての女人は国を去れと言う布令に従わず
妻や子供を匿ったため
蓮花の街は
突如現れた軍により
壊滅した
生き残った女たちと共に
故郷の街を後にした蓮花ではあるが
雁州国を目指す途中
摂養の街で舒覚が死んだと言う知らせを聞く
故郷に戻る女達の中で
蓮花は
摂養に留まることを選び
暦を作る保章氏の嘉慶のもとで
下働きとして暮らすことに…

浮世離れした嘉慶やその部下たちと共に
摂養での暮らしに馴染んできたころ
偽王と言う噂のある新王に与する州の軍が
新王に恭順しない
摂養の街を焼き討ちした

再び難を逃れた
蓮花達の頭上に燕の姿が…

雛がいっぱいいるよ
昨年より
うんと多いです

燕が教えてくれているんですよ
じきに
辛い時代が終わりますって…


この夏
始めて蓮花は
声をあげて泣いた



小野不由美女史の新作
発売されたと
blogでコメントしたのは
2008年2月28日のことでございました

文庫になるまで
5年と数ヶ月
我ながら
よくもまぁ~
待ったもんだ

慶東国、奏南国、範西国、柳北国、雁州国、巧州国
才州国、恭州国、戴極国、舜極国、芳極国、漣極国

国ごとに王名と麒麟を列記し
尚且つ
相関図と
横一列の国別年表が欲しい
如何せん
スケールが大きいので
個人的に
把握しきれてません

そして
小野女史の
文字遣い…
‘なかにわ’は
日本語ですと中庭’ですが
中国語表記ですと
‘院子’らしく
それを用いたかと思いきや
‘庭院’も用いてくれてりして…
トンと漢字に弱いσ(^_^;)には
難儀なのでありました

ですが
この壮大な世界観は
素晴らしいです
「十二国記シリーズ」は
ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンの
『指輪物語』の世界観に
相通ずるモノがあるのでは?
と思う次第です

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