時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

ユリゴコロ 23

2017-10-26 | 読書
亮介が実家で偶然見つけた
ユリゴコロ
と題された4冊のノート
それは
殺人に取り憑かれた人間の
生々しい告白文だった

創作なのか
或いは
事実に基づく手記なのか
そもそも
誰が
書いたのか
この一家の過去に
いったい何があったのか

謎のノートは
亮介の人生を
一変させる
驚愕の事実を孕んでいた



映像化されると
作品の雰囲気
全然
違ってくるだろうなぁ~
と思いながら
読んでました

~主な登場人物~
柳原亮介:鉢高山の麓にあるドッグランを併設した喫茶店「シャギーヘッド」の店主「ユリゴコロ」に翻弄される長男 
柳原美紗子:亮介の母 ユリゴコロの筆者
柳原洋平・亮介の弟(実は異母兄弟
アナタ(亮介の父):末期の膵臓癌を患っている
千絵:亮介の恋人 突然失踪する「シャギーヘッド」の元スタッフ 
英実子:美沙子の妹 失踪宣告を受け 戸籍上「認定死亡」 実は… 
細谷さん:「シャギーヘッド」のスタッフ 実は亮介の母親

‘ユリココロ’とは
すなわち
‘心の拠りどころ’とでも言うのかな?

‘ユリココロ’を書いたのは
亮介の母・美沙子です
美沙子は
人が生まれながらに
備えていると言うか
育つであろう‘善悪’の基準?
何かを判断する時に
基準となる
必要な根本‘拠りどころ’が
欠如していました

なので
人を殺すことに
抵抗がないというか
犯罪に対する
罪悪感が
そもそも自身の内に
存在しません
そんな美沙子が
アナタと言う男性と出会い
夫婦となり
子供を育てるのですが…

そもそも
アナタの人生を
狂わせたのが
美沙子だったり
亮介は
美沙子が夜な夜な
身体を売った折りに
孕んだ子で
アナタとは
縁もゆかりもない

そして
美沙子は
亮介が長らく入院していた頃
実の両親によって殺害され
美沙子の妹で
法律上「認定死亡」扱いとなっている
英実子が
美沙子となって
亮介を育て
洋平が誕生していた
亮介と洋平は
異母兄弟だったんです!

突然
亮介の全財産200万円を持って
姿を消した千絵には
DV夫がいた!
しかも
そいつは
亮介の存在に気付き
何やら画策?
愛する千絵を
DV夫の元から
救い出すべく
殺害を決める亮介
しかし
すでにDV夫の姿はなく
一体誰が?

亮介の
心強い相談相手にして
拠りどころだった
細谷さん
実は
死んだと思われた
美沙子だったのです!
そして
千絵の居所を探り出し
救出し
千絵や亮介に魔の手を
延ばそうをしていた
DV夫と
地球上から抹殺!

最後は
末期の膵臓癌で
余命いくばくもない
‘アナタ’と
美沙子(細谷さん)が
お店の車に乗って
あてのない
旅に出発
それを見送る
兄弟達
で終わりました

最終的に
亮介は
実の母美沙子が
幼かった亮介を
手をかけようとしていた
それを知った
美沙子の両親や妹
そして
(育ての)父親が
自分を守ろうとした
その事実を知ることとなります
そればかりか
細谷さんとして
自分の側にいた
母・美沙子は
自分と千絵を守るため
再び
DV夫を
サクッと?
抹殺すると言う
事実を知る

グロイと言えば
グロイ
陰惨な話のハズなんですが
妙に
崇高な雰囲気になっている…
こう言う
展開って久しぶりかも

自分の人生を
狂わせた張本人の
美沙子を愛し
父親もわからない子供を
己の子として
育てた‘アナタ’(父)
実の娘・美沙子を
殺めようとした
祖父母
そして
本当の自分である
名前も人生も捨てて
姉・美沙子として生きた
妹・英実子
不可思議な存在です
ですが
それぞれに
心の‘拠りどころ’が
あるんですよ

私がいつかまた
生まれてアナタに抱かれることがあるとしたら
もう一度
子供を産みたい
死なせてしまうこの子のかわりに
今度こそ
アナタのほんとうの子供を産みたい
そうおもいます


殺を殺めることが
心の‘拠りどころ’だった
美沙子が
‘アナタ’と出会い
いびつではあるけれど
‘愛情’と言う
心の‘拠りどころ’にたどり着いた

それが
唯一の救いですかね

あくまでも
フィクションなので
この作品については
リアルな
倫理観や道徳意識
引き合いに出して
あ~だこ~だ
言うのは野暮です

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