韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

キムドクス・サムルノリのこと

2009-05-21 01:10:16 | ソウル・メモリーズ~7080
 韓国で暮らすようになったもう一つのきっかけが、キムドクス・サムルノリです。

Kim Duk-soo, Samulnoree


 サムルとは四物、ここではチャンゴ、プック、チン、そしてクェンガリの四つの打楽器のこと。ノリは遊びのこと。この二つの言葉を繋げて、舞台パフォーマンスにしたのがキムドクスたちです。韓国各地に伝わるプンムル、いわば韓国版の神楽ですね、これをいろいろアレンジして70年代の後半に作ったわけです。

 ですから、音楽自体、とくにチャンダンとよばれているリズム・パターンとその組み合わせは伝統そのものです。ですが1時間半程度の舞台パフォーマンスとして再構築したところは、キムドクスたちの才能の結果でしょう。キルノリ(入場パフォーマンス)、コサ(お祈りとピナリという唱)、アンジュンパン(座って演奏するもの)、パンクッ(踊りながら演奏するもの)、フィーナーレと続いていく一連の流れは、ものすごい迫力でした。
 
 このサムルノリに夢中になったのです。
 80年代の中盤から後半まで、東京周辺で行われたコンサートはほとんど行きました。芝の増上寺、サントリーホール、世田谷美術館、荒川区民ホール、高麗神社、横浜、五反田の簡易保険ホールなど、今では信じられないぐらいです。僕だけでなく、そんな<追っかけ>をする日本人や在日韓国人が何人もいました。
 結局、コンサートに行くだけでは物足りず、チャンゴを習い始め、キムドクス本人に習う機会もありました。そして、芸は身を滅ぼすという言葉の通り、勤めていた職場をやめて韓国にまで来てしまったわけです。

 今では手元にチャンゴもありませんし、コンサートに行く機会もありません。でもあの時覚えたチャンダンは今でもしっかりと体に染み付いています。たぶん、一生忘れることはないでしょう。チャンゴについては思いがありすぎて、書いても書いても足らないぐらいです。

 いったい何が僕を、あれだけ夢中にさせ、韓国で暮らすようにさせたのか、まだよく分からないのが正直なところです。それだけのインパクトが何だったのか、ぼちぼち考えて見ましょう。