第二章 ユニット非装備でのライズアップ
これは第一部グランドハンドリングで触れたので省略します。
第三章 助走姿勢・推力確認・アクセルワーク
ユニットの調整が完全にできたら、グライダーを付けないでユニットの推力・アクセル(スロットル)ワークを習得します。始動に際しては必ず周囲を見回して、「エンジン始動」などと声を出して周囲に注意を促します。徐々にスロットルを上げたり下げたりしながら推力(スラスト)や反動トルク(トルクリアクション) 、ジャイロの摂動(ジャイロプレセション)がどのように体に作用するか確認します。次に徐々に推力 を上げながら地上走行してみます。
PPGのテイクオフはプロペラの推力が後ろ下方に作用する方が、重量を軽減するのとグライダーの上昇方向に合致して良いので、少し体を後ろに傾けるような気持ちで前進してみて下さい。DKウイスパーの推力は静止推力で50kgほどあるので、フルスロットルにするとその場に留まるのが不可能なくらいの推力になります。言葉通り推力に推(お)されるように前に進み、できればなるべく上下に震動しないように小走りしてみて下さい。
ユニットのピストン運動やプロペラ、その他の機械 振動、非日常的な音に慣れることが大切です。背中のすぐ後ろでプロペラが回転しているので、はじめは多少の恐賦エがあると思いますが、何回か練習しているうちに徐々に慣れてきます。手に握ったスロットルの操作にエンジンのレスャ塔Xが滑らかに反応するようになったら、この課程は修了です。
第四章 ユニット装備でのライズアップ
ライズアップの基本はグランドハンドリングで習得した内容と大きな違いはありません。ただ、ハーネスの釣り下げ位置が20cmほど上、肩のあたりにありますからそれに合わせてブレークコードの長さを正しく調整しておく必要があります。またライザーへの作用点も上に移動しているので多少余分な力が必要ですが、体重にユニット重量が20kgほど加わっているので、風が強めの時はかなり楽にライズアップができるはずです。しばらくはエンジンを始動しないでグランドハンドリングの復習を一通りして下さい。
第五章 助走練習
(エンジンを始動しライズアップの後、安定した助走の練習)
テイクオフに必要な一連の動作は全て連動しています。ここでは、風の判断、グライダーのセッティング、ライズアップ等が正しくできて、グライダーが頭上できれいに安定しているとして説明を始めます。逆に言えば、助走に入る前にグライダーが不安定なら、まず安定化する必要があるということです。
無風か微風の時はフロントでライズアップを完了し、そのまま助走に入るわけですが、グライダーは常に大気の流れ(大気速度)を必要としているため、ライズアップから助走への動きは流れるように移行し、多くの場合グライダーの安定も常に前進しながら行うことになります。助走距離も長くなるのが普通です。
「注意点」
1:体の上下左右動を抑えながら前進すること。カラビナ位置が上下しないように。
2:キャノピーが頭上に来た後はスラスト(推力)を有効に使いながら後傾気味に前進すること。
3: 揚力と重力のバランスを取りながら、徐々にキャノピーに荷重をかけてやること。
(2)がうまく出来るようになると、荷重はカラビナ・ラインを通して自然にキャノピーに伝わるので(3)も自然に出来るようになります。
順風(3~4m)の場合は、頭上に来たキャノピーの安定の為に必要な大気速度は確保されている(ライズアップの為に前進する必要が無いということ)ので、頭上でゆっくり安定を確認してから、次に必要な離陸速度(グライダーの離陸速度はその性能や翼面荷重・大気密度によって異なる)まで助走するだけで良いということになります。だから無風時よりずっと楽になります。
強風の場合・リバースライズアップの場合もグライダーの安定を充分確認できるので楽ですが、フロントに向き直る時に、フライヤーが水平に回わらないとカラビナ位置が変動して途中でグライダーが傾いてしまいます。もたもたしないで速やかに回ることが必要です。 強風時は前に向いて推力を上げた途端にテイクオフしてしまう場合が多いので、トルクの影響を制御するのが難しく、上級者でもローリングしながら上昇して行くのを時々見かけますから気を付けて下さい。
第六章 ジャンプ飛行
(離陸の後、高度1mほど浮かせ、飛行の感覚と着陸時のフレアー操作の練習)
ジャンプフライトは短い時間のうちにテイクオフから低空直線飛行、ランディングまでまとめて行うもので、実は技術的に非常に難しい内容を含んでいます。
ライズアップ、助走、テイクオフまでの技術が一通りマスターできたら、自然にジャンプフライトに移行するわけですが、一般的にフライトは低高度ほど危険ですから、初めのうちはテイクオフ・直線飛行・ランディングの対地速度が低く、大気に乱れが少ない状況(つまり順風)の時を選んで行うように します。
ジャンプフライトの練習はライズアップから助走、そしてテイクオフへの動きを体感的に把握し、ランディングでのフレア操作の基本を体得することに意味があるといえるでしょう。
更に詳しくは⑧ 離陸 以降で解説していきます。
第七章 フライトプラン(飛行計画)
一般航空(GA)の世界では飛行前にフライトプランを提出することは当然の義務になっています。例えば、空の道路ともいえる「航空路」が決まっている旅客航空でさえも、フライト毎に飛行計画を提出し、航空交通管制機関の承認を得なければなりません。
PPGは滑空飛行のみのPG(パラグライダー)と比べて、動力を使用して飛行する為に自由度が格段に高い(長時間・広い空域を飛行できるということ)ので、飛行計画の必要性もさらに大きくなります。
(JHFのPGではクロスカントリー飛行する場合はエリア管理者に飛行計画を提出し承認されなければならないことになっています。クロスカントリー・パイロットの技能証が必要)
飛行計画とは要するに「どのように飛ぶかを前もって決める」ということで、その日の気象、大気の状態、エリア規則、さらにフライヤー自身の体調まで考慮に入れて、自分がこれからどういう飛びをするべきかを策定することです。
特に飛行速度が遅く速度コントロールもほとんど出来ないPPGの場合はわずかな風の変化が、フライトに大きく影響するので、適確な気象・大気状態の判断がないと、自分の思うように飛行することは不可能になるだけでなく、事故につながることを銘記しておく必要があります。
地上講習を終えてソロフライト講習に入った時点で、どんな短時間・低高度のフライトについても必ずまず飛行計画を立てるようにしましょう。そによって「計画#s#ス省」を初期の段階から繰り返すことになり、気象や大気の「読み方」を含めた総合的なフライト技能を修得することができるからです。
多くの初心者が陥る間違いの一つは、「地面から足が離れて空中にいることがフライトすることだ」と思ってしまうことです。これは大きな間違いで、適当な重量さえあれば犬でも石でも簡単に「飛べてしまう」のが、自己安定性がきわめて高いPGやPPGの特徴なのです。(ペンデュラムエフェクト・釣り下げ効果)
人間が自分の思うように、つまり計画したように飛ぶ為には幾つかの条件が必要で、「人間・飛行技能」 「機材・グライダー、パワーユニット」 「環境・フライトエリア・気象条件」 これら3条件のどれが欠けても人間らしいまともなフライトは不可能です。
では具体的に飛行計画の内容を説明しましょう。
講習生は飛行技能・体調・機材の調子・気象状況など、指導員や教習スタッフが判断して飛行計画を策定します。講習生はそれに従って正確にフライトできるように練習しなが ら、フライトプランの内容を理解し、自己の判断や飛行技術を磨いていきます。
まず、フライトエリアには場周経路(トラフィックパターン)が設定してあるので、この線上から離れないように、指定高度をきちんと飛行することが基本です。場周経路飛行には、アップウインド・サイドウインド・ダウンウインド全ての風向要素が含まれているので、これを繰り返すことによって、対地速度の把握や、偏流飛行の実際、着陸進入の方法など、様々なことが練習できます。また、1周回5分~10分の飛行時間なので、その間の風の変化によるリスクも少なくてすみます。(滞空時間が長くなるほど大気状態の変化や練習生の疲労にともなうリスクは増加する)
場周経路が正確に周回できるようになったら、河川敷の練習エリアを全部使って、高々度飛行の練習に入ります。(高々度とはおよそ200m以上を言います)高度は高度計で簡単に把握できますが、高度が増すにつれて地面(地上)との関係が把握しにくくなるので、思う方向に飛行するためには常に風向と風速を観察しなければなりません。
GPSは対地速度・進行方向を示してくれる非常に便利な道具です。 自分の機体速度を知っておけば、対地速度との違いからその地点の風向・風速をある程度知ることが出来るからです。(対気速度の計算は、アップウインドとダウンウインドでの速度をGPSで測って、足して2で割る)
練習エリアでの高々度飛行が安定して出来るようになったら、平野部や山間部を含めたエリア全体を使ってのフライトに進みます。 対地500m以上の高度で河川敷上の練習エリアを離れたら、地上からフライヤーの細かい動きを見ることは出来なくなるので、それまでにローリングやピッチングを的確に抑えて安定飛行できるようになっておかなければいけません。同じ気象条件でも地形によって吹く風は異なってきます(地形風)。特に山岳部は上昇風が集まりやすく、地形の影響などで平野部とは異なった乱れたエアコンディションになっているのが通常です。
エリアの本部にはその日の「ノータム/フライヤーへの注意掲示」や「フライトプラン」を記入するための「エリア管理ノート」が置いてありますから、フライトの前後に必ずチェックするようにして下さい。フライト講習生はそこでその日の飛行計画の説明があります。
これは第一部グランドハンドリングで触れたので省略します。
第三章 助走姿勢・推力確認・アクセルワーク
ユニットの調整が完全にできたら、グライダーを付けないでユニットの推力・アクセル(スロットル)ワークを習得します。始動に際しては必ず周囲を見回して、「エンジン始動」などと声を出して周囲に注意を促します。徐々にスロットルを上げたり下げたりしながら推力(スラスト)や反動トルク(トルクリアクション) 、ジャイロの摂動(ジャイロプレセション)がどのように体に作用するか確認します。次に徐々に推力 を上げながら地上走行してみます。
PPGのテイクオフはプロペラの推力が後ろ下方に作用する方が、重量を軽減するのとグライダーの上昇方向に合致して良いので、少し体を後ろに傾けるような気持ちで前進してみて下さい。DKウイスパーの推力は静止推力で50kgほどあるので、フルスロットルにするとその場に留まるのが不可能なくらいの推力になります。言葉通り推力に推(お)されるように前に進み、できればなるべく上下に震動しないように小走りしてみて下さい。
ユニットのピストン運動やプロペラ、その他の機械 振動、非日常的な音に慣れることが大切です。背中のすぐ後ろでプロペラが回転しているので、はじめは多少の恐賦エがあると思いますが、何回か練習しているうちに徐々に慣れてきます。手に握ったスロットルの操作にエンジンのレスャ塔Xが滑らかに反応するようになったら、この課程は修了です。
第四章 ユニット装備でのライズアップ
ライズアップの基本はグランドハンドリングで習得した内容と大きな違いはありません。ただ、ハーネスの釣り下げ位置が20cmほど上、肩のあたりにありますからそれに合わせてブレークコードの長さを正しく調整しておく必要があります。またライザーへの作用点も上に移動しているので多少余分な力が必要ですが、体重にユニット重量が20kgほど加わっているので、風が強めの時はかなり楽にライズアップができるはずです。しばらくはエンジンを始動しないでグランドハンドリングの復習を一通りして下さい。
第五章 助走練習
(エンジンを始動しライズアップの後、安定した助走の練習)
テイクオフに必要な一連の動作は全て連動しています。ここでは、風の判断、グライダーのセッティング、ライズアップ等が正しくできて、グライダーが頭上できれいに安定しているとして説明を始めます。逆に言えば、助走に入る前にグライダーが不安定なら、まず安定化する必要があるということです。
無風か微風の時はフロントでライズアップを完了し、そのまま助走に入るわけですが、グライダーは常に大気の流れ(大気速度)を必要としているため、ライズアップから助走への動きは流れるように移行し、多くの場合グライダーの安定も常に前進しながら行うことになります。助走距離も長くなるのが普通です。
「注意点」
1:体の上下左右動を抑えながら前進すること。カラビナ位置が上下しないように。
2:キャノピーが頭上に来た後はスラスト(推力)を有効に使いながら後傾気味に前進すること。
3: 揚力と重力のバランスを取りながら、徐々にキャノピーに荷重をかけてやること。
(2)がうまく出来るようになると、荷重はカラビナ・ラインを通して自然にキャノピーに伝わるので(3)も自然に出来るようになります。
順風(3~4m)の場合は、頭上に来たキャノピーの安定の為に必要な大気速度は確保されている(ライズアップの為に前進する必要が無いということ)ので、頭上でゆっくり安定を確認してから、次に必要な離陸速度(グライダーの離陸速度はその性能や翼面荷重・大気密度によって異なる)まで助走するだけで良いということになります。だから無風時よりずっと楽になります。
強風の場合・リバースライズアップの場合もグライダーの安定を充分確認できるので楽ですが、フロントに向き直る時に、フライヤーが水平に回わらないとカラビナ位置が変動して途中でグライダーが傾いてしまいます。もたもたしないで速やかに回ることが必要です。 強風時は前に向いて推力を上げた途端にテイクオフしてしまう場合が多いので、トルクの影響を制御するのが難しく、上級者でもローリングしながら上昇して行くのを時々見かけますから気を付けて下さい。
第六章 ジャンプ飛行
(離陸の後、高度1mほど浮かせ、飛行の感覚と着陸時のフレアー操作の練習)
ジャンプフライトは短い時間のうちにテイクオフから低空直線飛行、ランディングまでまとめて行うもので、実は技術的に非常に難しい内容を含んでいます。
ライズアップ、助走、テイクオフまでの技術が一通りマスターできたら、自然にジャンプフライトに移行するわけですが、一般的にフライトは低高度ほど危険ですから、初めのうちはテイクオフ・直線飛行・ランディングの対地速度が低く、大気に乱れが少ない状況(つまり順風)の時を選んで行うように します。
ジャンプフライトの練習はライズアップから助走、そしてテイクオフへの動きを体感的に把握し、ランディングでのフレア操作の基本を体得することに意味があるといえるでしょう。
更に詳しくは⑧ 離陸 以降で解説していきます。
第七章 フライトプラン(飛行計画)
一般航空(GA)の世界では飛行前にフライトプランを提出することは当然の義務になっています。例えば、空の道路ともいえる「航空路」が決まっている旅客航空でさえも、フライト毎に飛行計画を提出し、航空交通管制機関の承認を得なければなりません。
PPGは滑空飛行のみのPG(パラグライダー)と比べて、動力を使用して飛行する為に自由度が格段に高い(長時間・広い空域を飛行できるということ)ので、飛行計画の必要性もさらに大きくなります。
(JHFのPGではクロスカントリー飛行する場合はエリア管理者に飛行計画を提出し承認されなければならないことになっています。クロスカントリー・パイロットの技能証が必要)
飛行計画とは要するに「どのように飛ぶかを前もって決める」ということで、その日の気象、大気の状態、エリア規則、さらにフライヤー自身の体調まで考慮に入れて、自分がこれからどういう飛びをするべきかを策定することです。
特に飛行速度が遅く速度コントロールもほとんど出来ないPPGの場合はわずかな風の変化が、フライトに大きく影響するので、適確な気象・大気状態の判断がないと、自分の思うように飛行することは不可能になるだけでなく、事故につながることを銘記しておく必要があります。
地上講習を終えてソロフライト講習に入った時点で、どんな短時間・低高度のフライトについても必ずまず飛行計画を立てるようにしましょう。そによって「計画#s#ス省」を初期の段階から繰り返すことになり、気象や大気の「読み方」を含めた総合的なフライト技能を修得することができるからです。
多くの初心者が陥る間違いの一つは、「地面から足が離れて空中にいることがフライトすることだ」と思ってしまうことです。これは大きな間違いで、適当な重量さえあれば犬でも石でも簡単に「飛べてしまう」のが、自己安定性がきわめて高いPGやPPGの特徴なのです。(ペンデュラムエフェクト・釣り下げ効果)
人間が自分の思うように、つまり計画したように飛ぶ為には幾つかの条件が必要で、「人間・飛行技能」 「機材・グライダー、パワーユニット」 「環境・フライトエリア・気象条件」 これら3条件のどれが欠けても人間らしいまともなフライトは不可能です。
では具体的に飛行計画の内容を説明しましょう。
講習生は飛行技能・体調・機材の調子・気象状況など、指導員や教習スタッフが判断して飛行計画を策定します。講習生はそれに従って正確にフライトできるように練習しなが ら、フライトプランの内容を理解し、自己の判断や飛行技術を磨いていきます。
まず、フライトエリアには場周経路(トラフィックパターン)が設定してあるので、この線上から離れないように、指定高度をきちんと飛行することが基本です。場周経路飛行には、アップウインド・サイドウインド・ダウンウインド全ての風向要素が含まれているので、これを繰り返すことによって、対地速度の把握や、偏流飛行の実際、着陸進入の方法など、様々なことが練習できます。また、1周回5分~10分の飛行時間なので、その間の風の変化によるリスクも少なくてすみます。(滞空時間が長くなるほど大気状態の変化や練習生の疲労にともなうリスクは増加する)
場周経路が正確に周回できるようになったら、河川敷の練習エリアを全部使って、高々度飛行の練習に入ります。(高々度とはおよそ200m以上を言います)高度は高度計で簡単に把握できますが、高度が増すにつれて地面(地上)との関係が把握しにくくなるので、思う方向に飛行するためには常に風向と風速を観察しなければなりません。
GPSは対地速度・進行方向を示してくれる非常に便利な道具です。 自分の機体速度を知っておけば、対地速度との違いからその地点の風向・風速をある程度知ることが出来るからです。(対気速度の計算は、アップウインドとダウンウインドでの速度をGPSで測って、足して2で割る)
練習エリアでの高々度飛行が安定して出来るようになったら、平野部や山間部を含めたエリア全体を使ってのフライトに進みます。 対地500m以上の高度で河川敷上の練習エリアを離れたら、地上からフライヤーの細かい動きを見ることは出来なくなるので、それまでにローリングやピッチングを的確に抑えて安定飛行できるようになっておかなければいけません。同じ気象条件でも地形によって吹く風は異なってきます(地形風)。特に山岳部は上昇風が集まりやすく、地形の影響などで平野部とは異なった乱れたエアコンディションになっているのが通常です。
エリアの本部にはその日の「ノータム/フライヤーへの注意掲示」や「フライトプラン」を記入するための「エリア管理ノート」が置いてありますから、フライトの前後に必ずチェックするようにして下さい。フライト講習生はそこでその日の飛行計画の説明があります。
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