庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

久々の90km+

2005-07-30 09:10:24 | 自転車
ほぼ1ヶ月ぶりの今治行き90km。過去2回、途中で暑さに負けて、已む無く引き返したことは前に書いた。炎天下のサイクリングは特別な注意と準備が必要なのだ。

今日も午前中の仕事を片付けて、出発はやはり昼前になった。うす曇りの天気だがやはり暑い。空を見上げながら「今日も暑いな~・・・」とつぶやく私に、家内いわく「こりゃ、今日も途中で引き返してくるわ・・・^^」この一言で私の胸にカチンと小さな火が付いた。今回は何としても走り切ってやるわい^^;「無理をする必要はないし、するつもりもないが、ともかく行ってくるぞー!」

結局、今回は頭がクラクラすることも、途中でU<^ーンすることもなく、かなり余裕を持って94kmを走り切ることができたのだが、前回の反省から多少の考えはあったのだ。

・まず、ズボンは膝上までめくって下半身の風通しを良くする・・・これは予想以上に涼しくて効果抜群だった。サイクルパンツで走っているロードレーサーの皆さんが簡単にはバテない理由の一つが分かったような気がした。
・次に、上はTシャツではなく、ボタンの付いた綿シャツにする・・・これも前を広げると風の流入量は相当なもので実に涼しかった。
・更に、グローブを水に浸す・・・手が冷えると、なんだか体中が冷えるような感覚になるのは私だけだろうか?これで顔をぬぐったり脚をふいたりすると、しばらくは気化熱発散の効果を味わうことができる。

それと、写真の撮影休息をかなりこまめに取った。新しいデジカメの扱いにもだいぶ慣れてきたようだ。


一面のハス


大きなつぼみの先に鼻を当ててパフッと押したら、実にほのかな良き香りがした

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3時のャ^リング

2005-07-23 09:13:08 | 自転車
今日は午後の3時を挟んで1時間ほど街中を自転車でブラブラしてきた。目的が全くなかったわけではない。その匂いを嗅ぐと決まって田舎の昔の夏を思い出す“蚊取り線香”が切れたので、ホームセンターまで買出しに行っていたのだ。

しかし、大そうな目的もなく自転車でブラブラすることをャ^リングと言うのなら、まあそのようなもので、セミの声が賑やかなケヤキの枝ぶりを下からじっくり眺めたり、既に西に傾き始めた太陽の影をビルの下に選んで涼をとったりしながら、午後の街中をちょっと楽しんできた。


セミが賑やかなケヤキ


お堀の横の大通り

ところで、“ャ^リング”という言葉は、英語の”potter”から来ているということだ。「ぶらつく」という同義の米語は“putter”で、ゴルフのパターと同じ発音だ。

友人の英国人が、米語の発音は汚くて聞くに堪えない、と言っていたことがある。彼国の或る部分には、未だにアメリカはイギリスの子供である、みたいな気質が根強く残っているようなところがあり、19世紀末、自転車技術の一つの集大成として“セイフティバイク”が完成したのが彼国であったことなどを考えると、これを「自転車散歩」などと無理な日本語にするより“ャ^リング”で充分だと私も思う。

ただ、それはともかく、日本の戦後英語は基本的に米語式発音が主流のはずで、“ャ^リング”がどうして“パタリング”にならなかったのか・・・どうでも良いことだがちょっと気になる。
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生命の奇跡 C・リンドバーグ

2005-07-20 21:15:42 | 大空
未開の大自然の中で私は生命の奇跡を感じ、その背後で我々の科学技術が取るに足りないものとして色あせて行くのを感じる。
<`ャールズ・A・リンドバーグ(1902-1974)

In wilderness I sense the miracle of life, and behind it our scientific accomplishments fade to trivia.
Charles Lindbergh

 


20世紀の数多い飛行家の中で、リンドバーグほど“劇的な”人生を送った人物も少ないだろう。1902年生まれ。翌年がライトフライヤー初飛行の年だから、まさに現代航空の夜明け時に誕生したことになる。1920年代、時にこの世界の黄金時代と呼ばれるバーンストーミング全盛期に大空の世界に足を踏み入れ、わずか5年の飛行経歴で大西洋単独横断飛行を達成する。

しかし、彼の人生が、明暗含めて目まぐるしい色彩変化の渦の中に引き込まれるのはその後だ。大学中退の内気な無名のバーンストーマーが、一躍、国民的あるいは世界的英雄になり、愛児誘拐殺害悲劇の主人公になり、ナチズム礼賛の国賊となり、太平洋戦争では市民戦士となり、商業航空路開発の先駆者となり、やがて航空技術を頂点とする現代科学文明の批判者となり、遂には筋金入りのナチュラリストとなる。

彼について知れば知るほど、その「明」の部分の裏側に、実に重い「暗」の部分を抱えていたことがよく分かる。彼の偉大さは、その「暗」から決して目をそらさず、常に誠実にそれらと向き合っていたこと。そして、積極的に行動することで、その明・暗の対照を鮮やかに描き出そうとしたことだろうと思う。

こういう視点を持つと、どうして彼がこんなに洗練された文章が書けるのか・・・その理由も少し見えてくるような気がする。
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デジカメケース

2005-07-20 09:16:01 | 自転車
私のサイクリングにデジカメが欠かせなくなって久しい。特に、解像度が上がり随分小型になってから、どこに出かける時も持ち歩くようになった。1年半ほど前から使っているFUJIFILMの200万画素はちょうとズボンの尻ャPットにスッと入るサイズで重宝している。

ただ、ズームを利かせた遠景や、簡単には近づかせてくれない鳥などの被写体を撮る場合は、ほとんど役に立たないので、今回、手振れ防止機能がうたい文句の500万画素(パナソニック)を購入した。光学6倍、電子ズームで24倍まで使える。

試しに手持ちフルズームで夕方の月を撮ってみたら、こんな感じでそこそこ見るに堪えるものが撮れることが分かった。手振れ防止はウソではなかった。



ところが、光学6倍となるとレンズ部分がカサ張って、尻ャPットからすんなり出し入れができない。そこで、自転車で走りながらでも簡単迅速に取り出せるように、ハンドル手前のフレームに↓こんなデジカメケースを付けた。ホームセンターに500円ほどで置いてあった汎用ケースだが、このカメラにぴったりだ。横面にフォルダーも付いているので、サングラスも良い具合に収まる。




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歩道か車道か

2005-07-16 09:17:24 | 自転車
或る方のブログに、「車道、歩道、どちらを走るか」というテーマがあった。少し興味があったので、次のように書き込みさせて頂いた。

「道路や交通の状況にもよりますが、私は、歩行者的に(ゆっくり)走る時は歩道、自動車的に(速く)走る時は車道の端を使います。早い遅いは時速10~15km程度が基準です。もっとも、自転車道が整備されている場合は別です。」

すると、続けて或る方から次のような書き込みがあった。

「基本的にどんな自転車でも車道です・・・世間一般って、意外に自転車のこと知らないですよね~(>_<)ヽ」

これが、この国に住んで相当の期間、この手の「思考方法」に若干うんざりしている私の触手に触れたので、こんな書き込みをさせて頂いた。

「“基本的に”ってのは“法律的に”ってことかな~?もしそうなら、自動車免許持ってる程度の、あまたの“世間一般”は、自転車が道交法や車両運送法上の車両の類だろうなんてことは、充分承知してると思いますよ。
 問題は、「何のための法律か」ってことじゃないかな~?
 車道走ってて車に跳ねられたり巻き込まれたりして痛い目にあってる自転車乗りがどれだけ多いか。いかに多くの自転車が“無理なく”歩道と調和して走っているか・・・。
 まず自らの生命と安全第一に、法律用語の類で言うと、所謂「個別具体的に」現況に合わせて判断するのが妥当に違いない・・・と自転車乗りの端くれは思いますが・・・。」


今西錦司の「棲み分け理論」がそのまま適用できない人間社会の悲しさかもしれないが、このテーマについては、時々、いくぶん激しい議論になることもあるようなので、私の意見の片端として、ちょいと記しておく。
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空調服

2005-07-15 09:22:46 | 自転車
いよいよ本格的に暑くなってきて、週一90kmサイクリングが、厳しい状況になった。出発がいつもお昼近くになるということもあるのだろう、先週、先々週は、海沿い今治行きの途中15kmほどの北条あたりで頭がフラフラしてそれ以上走る気がしなくなり、若干情けないことながら、已む無く引き返してきていたのだ。やはり夏の炎天下のサイクリングは特別な心構えと準備が必要であることを痛感する。



「子規記念館」の前面には巨大な「俳句たれ幕」が吊ってあって、定期的に俳句が変わる。

今日も30度を超える真夏の暑さになった。山道は幾らかは涼しいかもしれないと考えて、昼から出かけることにする。今回は「空調服」を試してみることにした。昨夏、別の目的で購入したものだが、結局使う機会を失い、もちろんサイクリングでも使ったことがなかった。


空調服

半そで上着の脇の横に小さなファンが付いていて、出てきた汗を吹き飛ばすことで気化熱を奪うという仕組みだ。少なからず期待して出かけた。ところが、結果から書くと、ほとんど何の役にも立たなかった^^;

室内ではそれなりの効果があるものの、走行中の自転車に風が不足することはほとんどない。それに、飛ばし切れない汗で濡れた首周りの化繊の肌触りが、とんでもなく不快なのである。結局10kmほどで堪らなくなり、持参していたいつもの綿シャツに着替えた。


ただでさえ狭い側道が夏草でこの有様


排気ガスで咽るトンネルの中が涼しくて快適だと感じたのは今回が初めて

ボトルのお茶は道程中ほどで無くなり、自動販売機でコーラを補給、谷水で頭を冷やしながら、なんとか目的地の知人宅に到着した。登り道20数kmの難行苦行だった。

それでも、今回も新しい発見が幾つかあって楽しかった。帰りは下り・・・行きの数倍楽だったのは言うまでもない。


水不足を心配していた石手ダムもこないだの大雨で満杯
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リリエンタール最後の飛行

2005-07-09 14:56:04 | 大空
時間を見つけて進めていた『リリエンタール最後の飛行』の素訳が完了した。

以下、著者:ロバート・ウッドの1896年の言葉を少し・・・。

「今日の自転車も、一人の人間の業績ではない。多くの人々の長年に渡るアイデアや実験の集積なのだ。それは飛行機械も同様に違いない。もし、このパイオニアの死が、この線に沿った他の人々の実験を妨げることがなければ、彼が残した幾多の業績は失われることなく、彼は空しく亡くなったということにはならないだろうし、是非そうあるべきだと私は思う。」

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サイクリング・グローブ

2005-07-08 09:25:57 | 自転車
注文しておいたOGKのサイクリンググローブが届いた。今日は昼食挟んで、ちょっと40kmほど走ってきた。ともかく暑い!夏のサイクリングは苦行・荒行の類かもしれない。

それでも若干追い風で、私にとってはかなり良いペースの22~23km/時で自転車歩道を走っていたら、車道後方からスーと追い越して行くロードレーサーがある。


30kmで走りながらロードレーサーの写真を撮ってみた。黄丸の中。

そう珍しい出来事でもないが、今日は彼の走りがあんまり楽そうに見えたので、ちょっと追っかけて速度を測ってみることにした。そしたら、なんと30km/hだ。私の中速ギアで目一杯のスピードで、彼は実にゆっくりペダルを回しながら何の苦もなく前進して行く。

重量もギア比も全く違うのだから当たり前だ・・・と言えばそれだけのことだが、しかし、これはちょっと“別の乗り物”と考えたほうが正しいかもしれない・・・などとも思った。ちなみに、彼もたぶん私と同じブルーのOGKグローブをしていた^^;

グローブの感想・・・1. 思ったより風通しが良い。2. 40km走ってもほとんど手の痺れがない。3. なぜか気分が引き締まって、一人前のサイクリストになったような気になる。4. 甲のメッシュや縫製の強度が疑問。ワンシーズンで消耗しそうな気もする。


拳の黒いイボはエアインテーク


手の平パッドは思ってたより薄いが、ホールド感は良い
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ジャンプ

2005-07-04 14:59:06 | 大空
飛行の意味をどう捉えるかにもよるが、ジャンプの歴史は少なくとも“近代における”飛行の歴史よりはるかに古い。

紀元前2200年の昔、舜帝(※注)は巨大な麦わら帽子2個の助けを借りて炎上する塔から脱出し、領地の上空を飛んだという。ただ、麦わら帽子は私もよくかぶるし大きいものは1m近くもあるが、こんなものをいくら集めてもパラシュートの用は成さないだろうから、これは神話・伝説の域を超えない。

※舜帝(しゅんてい・中国古代の伝説上の聖天子。尭(ぎょう)と並称して「尭舜(ぎょうしゅん)」という)

しかし、852年、スペインのアーメン・ファーマンが巨大な外套を着て高い塔から跳んで大怪我をしたという話は本当だろうし、その後多くの“向こう見ず”が、両腕に様々な素材でできた羽のようなものを付けて高い所から跳んだことも事実だろう。

かく言う私も、小さい頃にこの種のジャンプを試みた一人だ。私の生家は小さな漁村にあり、目の前がすぐ砂浜になっていた。現在のように冷凍技術が進んでいなかったので、漁師たちが獲ってきた魚は市場に出す前に海中に浮かべた直方体の“生けす”に入れておく。私たちはこれを“ダンベ”と呼んでいたが、用済みのダンベは無造作に浜に並べてあった。これが結構大きなもので、横に立てると4mほどの高さになる。

この上から傘をさして跳ぶのである。下は砂浜だから怪我をすることはない。随分長い間飽きることもなく、このダンベからの傘さしジャンプで遊んだものだが、結局この程度のパラシュートでは落下速度はほとんど減衰されないということがよく分かった。

さて、1797年、史上初と記録に残るフランスのガーネリンのジャンプはもちろんこんな遊びではない。水素気球で一気に2000mまで上がり、そこからバスケットごと落下するというものだ。



その名も「大きな傘」。ベントホールが無いので乱流でキャノピーはかなり暴れまわったらしいが、出発地点から1km足らずの地点に無事着地したというから凄い。とんでもない勇気と幸運だ。

しかし、私の興味はそれだけではない。フランス軍に従軍する前に物理学を学んだ彼がパラシュートジャンプに情熱を注ぐようになった切っ鰍ッが「フランス革命」にあり、敵軍の捕虜になって3年間捕らわれていたハンガリーの牢獄から脱出するために、その構想に没頭したという事実である。これは、ミノス王の追っ手から逃れるために、クレタ島の断崖から飛んだというダエダロス・イカロスの伝説に通じるものがあるだろう。

地上は王の領地つまり隷従を強いる領域、大空は神の世界つまり自由の領域・・・という考え方が、長い歴史を通じて人間の心理の深層に横たわっていることは否定できないように思える。

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ギル・スターン・・・人間は複雑怪奇

2005-07-03 15:00:05 | 大空
人間は複雑怪奇な生きものである。砂漠に花を咲かせながら湖を死に追いやるのだから。
<Mル・スターン

「楽観論者も悲観論者も社会に貢献する。楽観論者は飛行機を作り、悲観論者はパラシュートを作る。」(Both optimists and pessimists contribute to our society. The optimist invents the airplane and the pessimist the parachute.)

模型を除いて私は飛行機もパラシュートも作ったことはないが、ある高度を超える飛行では、この世界で時に「セカンド・チャンス」とか「ラスト・チャンス」とか呼ぶパラシュートを持たないことはまずない。そして、幸か不幸か、私はこれまでラスト・チャンスを経験したことはない。

C・リンドバーグは、ほとんど冒険的とも言える郵便飛行家の時期を中心に、たしか合計4回のパラシュートジャンプの記録を持っている。彼はその魅力を「それは私を初めて航空の世界へ導いたあの特質と同じもの・・・大気や大空や飛行への愛、冒険への誘惑、美の賞嘆である」(It was that quality that led me into aviation in the first place -- it was a love of the air and sky and flying, the lure of adventure, the appreciation of beauty.) と説明し、

「それは、人間の説明能力を超えた・・・危険を通して不死の世界に触れ、同じ場所で生と死が出合い、人間が人間以上の至高の存在であると同時に無価値の存在になるところにある」(It lay beyond the descriptive words of man -- where immortality is touched through danger, where life meets death on equal plane; where man is more than man, and existence both supreme and valueless at the same instant.) と、かなり熱く語っている。

1797年10月、アンドレ・ジャック・ガーネリンの史上初のパラシュートジャンプについては、極めて興味深い経緯があるので別に書くことにする。

Man is a complex being: he makes deserts bloom - and lakes die.
Gil Stern

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