拝啓、
今朝はまた、無邪気なスズメの声を聴きながら、言い得たるかな、文は言を尽くさず、言は意を尽くさず、意は心を尽くさず。されば人の心の何処(いずこ)にありや・・・の趣であります。
また、我が知恵寡薄にして、時に禽獣草木に劣るを知る。知解の基(もとい)は分別に在り、天地自然の営みは和合一体の相を常として、人為稚拙の分断差別を容れざる故と観えり。また、草の枕の名言の至るところ、少分ながら心得たる身にして、人の世の稀なる縁(えにし)を貴とも感じ煩とも応ず・・・という次第でもあります。
しかして、仰せのごとく、まことに奇にして妙なる「今」の時を、事に於いて中途、人に於いて半端なる徒輩の戯言などに徒労することなく、長く短き今生の旅を真に遊楽せんことを、自らに諭し他にも願う、これ我が祈願の所以一端と成すところであります。
敬具