庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

ユング

2004-12-31 10:56:00 | 拾い読み
Who looks outside, dreams. Who looks inside, awakes.
- Carl Jung

「自己の外側の世界を見るものは夢見る。自己の内側の世界を見るものは覚醒する。」
<Jール・ユング(1875 - 1961)



今日はライト兄弟の言葉を少し書こうと思って「航空箴言集(仮題)」の著者、D・イングリッシュ氏のHPを見ていたら、彼の“Hikodo”「飛行道」のページの最初にあるユングの一節に目を引かれてしまった。イギリス生まれのアメリカ人で40歳代のパイロット、イングリッシュが、“エアマンシップ”(未だ適当な日本語訳が思いつかないのでカタカナにしておく)を追求して「飛行道」を見出し、その道で着実な歩みを進めているのには敬服するが、これについてはまた後に詳しく触れることがあるだろう。

スイスの心理学者ユングは精神分析で有名なフロイトにとって最有望の弟子だったが、ユング独自の「深層心理」の研究が進むに伴ってフロイトと決別することになる。フロイトの手法は実証的・科学的、ユングの手法は宗教的・オカルト的・・・というような評価があるようだ。私はフロイトより一段深いところにユングがあると理解している。次のフロイトの言葉はユングが言ったとしても不思議ではないような気がする。

The more the fruits of knowledge become accessible to men, the more widespread is the decline of religious belief.
- Sigmund Freud, The Future of an Illusion (1927)


「人間が多くの知識を得れば得るほど、宗教的信念への傾斜は広範なものとなる。」
<Vグムント・フロイト(1856 - 1939)


シェイクスピア

2004-12-29 10:53:52 | 大空
My soul is in the sky.

「私の魂は大空にある。」
ウィリアム?シェイクスピア(1594-1616) 「真夏の夜の夢」より


私の歴史の先生は「ルネッサンス文撃フ集大成はシェイクスピアにあり」と言っていたが、まだその作品をまともに読んだことがない。1998年度のアカデミー賞7部門を取った映画「恋に落ちたシェイクスピア」も是非見るように勧められてDVDを借りた。半分ほどで退屈になり、残りのチャプターはスキップしながらざっと目を通したというに過ぎない。残念なことに、ほとんど何の感動もなかった。コタツでウトウトしていたからかもしれないが、これはやはり私に演劇文学の素養が極めて乏しいからに違いない。

スウェーデンボルグ

2004-12-28 10:59:12 | 大空
It seems easier to talk of such a machine than to put it into actuality, for it requires greater force and less weight than exists in a human body. The science of mechanics might perhaps suggest a means, namely, a strong spiral spring. If these advantages and requisites are observed, perhaps in time to come some one might know how better to utilize our sketch and cause some addition to be made so as to accomplish that which we can only suggest. Yet there are sufficient proofs and examples from nature that such flights can take place without danger, although when the first trials are made you may have to pay for the experience, and not mind an arm or leg.

「このような機械を実際に飛ばせることは、お話しほど簡単ではないように思える。それには人間の身体能力よりも大きな力と軽さを必要とする。しかし、機械科学がその方法を見つけ出すだろう。つまり強力な螺旋バネができれば可能となるだろう。
これらの利点と必要条件が満たされたなら、たぶんそのうち誰かがこのスケッチを基にし改良を加えて、私たちが単に提案したことを現実に成し遂げるに違いない。大自然の中には、既に飛行を安全に行うことについての充分な証拠や実例がある。
ただ、その最初の試みにおいては、手や脚を折るといった先駆けの体験の代償は払わなければならないだろうが・・。」
エマニュエル・スウェーデンボルグ(January 29, 1688-March 29, 1772)


ハイブリッド・オムニソプター

 

飛行に関する世界初の刊行物は、科学者であり哲学者でもあったスウェーデンのエマニュエル?スウェーデンボルグによる「飛行機械の略図」だ。彼は後に自己の神秘体験(神の啓示)に基づく膨大な著作を残し、ヨーロッパではゲーテやユング、日本では鈴木大拙、夏目漱石等々、後の文学者、科学者、思想家にも多大な影響を与えることになる。
それにしても、この「ハイブリッド・オムニソプター(羽ばたき翼)」のスケッチは、なんて素敵な形をしているのだろう。UFO(空飛ぶ円盤)を連想させる楕円形の辺縁曲線は、ダビンチが鳥の翼を忠実に真似たアプローチとかなり趣(おもむき)を異にしている。

両翼の中ほどから曲がる仕鰍ッで「羽ばたき」浮上しようという発想だが、航空力学的には、仮に一時浮上はできても、移動(前進)しながら大気速度を生み出し揚力を得るということは難しいと思う。

ダビンチのスケッチ