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オーバーショット、サマーアンドウィンター

2018-11-14 | 機織り

きょうから織り機での作業です。

緒巻を織り機に取り付け、綜絖に通します。

色が二色で、通していて楽です。飽きないと言うか。何百本もの同色の糸なら、間違えやすいし、飽きるし。

月末くらいまでには織りあげる予定ですが。


今回、友達の織り機はよそへ行くことになりましたが、夫には言ってない。言ってないから、ヨーロッパへ行くことになってます。

これを応用すれば、数か月後

「やっぱりどうしても織り機引き取ってほしいって」

「狭くなるのでダメ」

「じゃ、今の訪問着、派手になったので新しいの買うからね」

「織り機は邪魔になるけど、着物一枚ならいいよ」

となるはず。

こうして、私は次々と欲しいものを手に入れ、好きなころへ旅行するのでありました。

というのは妄想。

同じ手口を何回も繰り返すうちに、さすがにおかしいと気が付かれるはず。

元々、我が家に引き取らなければならない織り機なんてないのに、いわば架空の織り機で自分の要求を通す。

これって詐欺みたいなもの。話としては面白いけど、そこまですると楽しくない。

それに、この話を考えるうちに、私が本当に欲しいものって何だろうってつい考えてしまった。

一番大切なのは、自由に使える時間。次に家族と楽しく過ごす時間。そのための健康。それ以外は特に欲しいものはない。ということに気が付いた。


今日は、夫が会合に出かける前にオシメ替えしてもらい、そのあと私がご飯食べさせようとしたら、欲しくないと言う。二時間してまた行ったら、食べたくないのか寝たふりして起きない。起きたくないのに無理に起こさない。

95歳、あとどれだけこんなことが続くのかなあと思った。私も長生きして似たことするのかしら。

昨日は友達から電話。次の旅行の相談。月末にも出かける予定があるので、それまでに機織りを仕上げる予定。

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日本文学100年の名作「ベトナム姐ちゃん」

2018-11-14 | 読書

島根県、三瓶山山麓で。2016年11月。


1964年から1973年の間の短編、12編を収める。

今から半世紀前、戦後20年たったころである。私で言えば高校から大学生、そして結婚するまでと、人生の節目のいくつかが見事にこの10年間に詰まっていることに改めて気が付いた。

作家の作品集などで読んだのもあるけど、発表当時、リアルタイムで読んだのは一編もない。忙しかったのもあるけれど、その頃は文芸雑誌を読むこともなかったので。

毎月の雑誌、追いかけて読むのはよほど熱心な読者。それよりやりたいことたくさん、と言い訳してみる。

一読した感想は、読む前の予想に反して戦争の影が色濃く作品に反映されていること。当然かもしれない。戦争の記憶はまだ生々しく、戦争に駆り出された人が壮年になり、自分の体験を小説として昇華するのに必要な時間だったのだろう。

私が若いころは戦争からもう遠く隔たった平和と繁栄の時代と思っていたけれど、この作品集を読んで、まだまだ戦争に近い時代だったという発見があった。

作品の良しあしは甲乙つけがたいですが、好きなのは木山捷平の「軽石」、古山高麗雄の「蟻の自由」でしょうか。

そう突飛な作品はなく、まだまだ日本人が共通の価値観を持っていた時代、という印象です。大江健三郎の作品も当時は斬新だったはずですが、今読むと、正統的、王道を外してないように思えます。

川端康成の美意識には、私のこの歳ではもうついて行けない。というか、川端の美女好き、その他の感覚は私には理解できないところもあります。以前、「古都」を読んで、呉服問屋の主人がいきなり帯職人を殴る場面にびっくりしたのです。

「くだんのはは」小松左京は、内田百閒の「件」の本歌取りをした作品ですが、元歌の方が私には面白かった。

司馬遼太郎「倉敷の若旦那」は幕末混沌の時代の、血気盛んな若者の革命未遂譚。これは数年後の時代を先取りした作品かもしれません。最後は悲劇的結末に終わる。滑稽で救いようがないけど、本人はいたって真剣という70年前後の数々の事件を思い出した。

うーーーむ、これより遡るのは今の時代の感覚では読みづらいかも。古典があり、大家の作品があっても、今の時代の小説が書かれなければならない理由がそこにはあります。小説を読んで元気をもらいたい、物事の筋道を解き明かしてほしいという人はいつの時代にもいるのですから。

最近の作品も全然読まない私ですが、誰か、これはというのを教えてくれないかなあ。一つ一つ付き合うには、もうばあちゃんには時間がない。


最後に余談。昨夜の話。

私が家空けてヨーロッパへ行くのと、機織り機、家に入れるのとどっちがいいって夫に聞いたらヨーロッパがいいそうです~♪

ヨーロッパは10日間だけど、織り機はずっと邪魔になるそうで

で、織り機がよそに行く、もううちには来ないことはまだ言ってません。言いそびれています。

夫が「やはりいないと大変だから海外旅行は困る」と言えば、「2015年1月からの病院への付き添い、その後の三度の骨折以来いろいろお世話した自分へのご褒美。だめと言うなら今後の対応は考えざるを得ない」って言おうかな。まるで脅迫笑。

織り機を家に入れないことから始まった、姑様の介護から解放されるこのわらしべ長者的三段論法、実行するかどうかは別にして、自分で笑ってしまった。

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