面白かった。分国法とは戦国大名が領地を治めるときの法律。
本書では結城氏新法度、塵芥集、六角氏式目、今川かな目録、甲州法度之次第の六つが取り上げられている。
畿内先進地方から東海、関東、東北まで地域は様々で風俗習慣、生産段階の違いもいろいろある中で、中世からの慣習法にのっとったうえで、大名たちは苦心して領国経営のためのルールを作り出している。家臣団が横暴で統制に苦労する中でのぼやき節、家臣と領主の契約の戦国版マグナカルタ、滅びる寸前まで条文を練り上げる今川氏など、それぞれに個性的。
しかし分国法は現在11が知られているだけで、ほとんどの戦国大名は分国法を作らず、領地を拡大して家臣に与えることで国内の矛盾や不満を帳消しにしてきた。そのパワーを持つものが大大名として次の時代にも残った。
分国法の意義は中世からの法律、慣習に一元的な法の網をかけて整備するという試み。そこに近世への萌芽もありそうで。
文庫本と新書がほとんどの私の読書。読むのは電車の中と寝る前。重い本は疲れる。さて、次は何を?