公民館で、中身よく確かめずに断捨離の本と勘違いして借りてきた。
だって、素敵な年配女性が、素敵な部屋でお茶飲みながら微笑んでいるんだもの。
でも読み始めてビックリ。胆管がんにかかり、再発後は放射線治療をせず、なるだけ普段通りに仕事をこなしながら、身の回りの整理もして死んでいくという、同時進行の記録だったから。
でも普通の闘病ものとは全然違う。死後、誰にも迷惑かけないようにと仕事や身の回りの整理をする。要る人にどんどん上げる。不動産も生前贈与する。
動揺せず自分らしく最後まで暮らす。その思いに貫かれている。
近いうちに死を迎えるとしたら、本当に要るものはわずかだとこの本は気付かせてくれた。
また、家族がいないので、入院後は友達に世話になるけれど、友達は時間がある時に来てくれる、家族は何をおいても来てくれると書いている。そうなんですね。家族を大切にしないといけない、そう思った。
それと入院中、あそこにあるあれ持ってきてと頼んですぐわかるように、普段から要らないものは捨てて要るものだけ分かりやすく整理整頓しておく、その大切さも気が付いた。
著者はアメリカに住んでいたこともあり、日本でカントリーアンティークを広めた人。一時は全国に店を持っていたらしい。全然知らなかったけど。
著者のお宅の、温かみのあるシンプルな雑貨とインテリアの写真もあり、見るのも楽しい本でした。
放射線治療しなかったのは、若年性アルツハイマーになったお母さんを介護して思うことがあったからだそうです。医師に勿体ない、それならすることはもうありませんと言われたそうな。家族がいたら、家族のために生きたいと思ったのでしょうか。
潔い、冷静な人という印象。この本の脱稿後、半月ほどで亡くなっている。動揺しない、本当に強い人だと思った。