線で繋ぐ阿讃縦走路も今回で第4回目。先週歩いた二軒茶屋と登尾山との分岐から
大川山までを繋いで行く。今回も今まで通り標高の高い大川山をスタートし、
東山峠、登尾山を経て財田町へと下る、楽ちんコースを選択。
当初は猪鼻峠から登尾山・東山峠までを考えていたが、
先週同様、ルリちゃんがデポ地点を含め色々計画を立ててくれ、
『どうせなら大川山まで繋げよう!』と言う事になった。
今回の東山峠から登尾山、箸蔵街道まで繋げられれば、ルリちゃんは、一気に相栗峠まで
繋がることになる。あっちゃんと私は大川山から箸蔵街道まで未歩のコース。
先ずは財田町の道の駅たからだの里の東側にある林道に車を1台デポ。そこから奥様たちは1台で
集合場所の琴南公民館へ。そこから私の車に乗り換え、大川山の西側の中寺廃寺跡の駐車場へ。
前日の冷え込みで大川山までの道の凍結が気になったが、幸い問題なく山頂近くまで走り、
山頂近くの分岐から中寺廃寺跡の駐車場へと、コンクリートの林道を走る。
中寺廃寺跡から大川山への最後の急登の取付き場所までは、道は落ち葉が取り払われ走りやすかったが
そこから先は落ち葉や小石が散在し、道幅の狭い道になる。途中2カ所ほど中寺廃寺跡の
標識があり、標識に従って走って行くと見覚えのある中寺廃寺跡の駐車場に着いた。
8時5分駐車場をスタート。駐車場からの取りつきが判りにくくしばらく灌木の中を
進んで行くが、直ぐに阿讃縦走路の札のかかる道に出た。しばらくは南側が開けた
爽やかな朝の光が降り注ぐほぼフラットな快適な道。
道の両側が木々に囲まれてくると、その朝の陽が届かず少し肌寒くなるが
登りになるとやはり直ぐに汗ばんできた。
最初の小さなピークを登りきると四等三角点 大平山 976.5m。奥様たちは三角点に気づかず
声をかけようとしたが、もう先を随分下って行っていて通過。
大平山三角点からは下りの道が続いていて、道にスズタケが現れると、
次に四等三角点 樫ノ休場 864.7mは仲良く三人でゲット。
三角点からそのまま下って行くとスタートから1時間で、工事看板が立つ樫ノ休場に着いた。
地形図には徳島側から道は載っているが、地形図にはない新しいが林道ができていた。
案内板によるとこの樫ノ休場は二本杉越と呼ばれ、香川側から見ると六本の杉が二本に重なって見え、
麓からも遠望でき恰好の目印になっていたという。さらに西にある猪鼻峠が明治時代に開通するまで
『さぬき街道』と呼ばれ、峠には茶屋が二軒あったほどの交通の要所だったようだ。
ここからは、北の展望が開け、おむすび山の飯野山まで見える。ここから北へ下ると深い谷に囲まれた塩入集落。
塩入は、讃岐の塩が阿波に運ばれる際の重要な中継基地だった。江戸時代には讃岐の人夫が馬などで
ここまで運んできて中継商人の倉に入れ、それを阿波の人夫が受け取り、次の中継拠点に運んだため、
「塩入」という地名は、阿波への塩の入口であったことからつけられたといわれている。
1700年に阿波藩が作成した阿波国絵図には、まだ東山峠も猪鼻峠もなく
この樫ノ休場の峠がこの辺りの香川と徳島を結ぶ要所だったのが見て取れる。
ほとんど眺望のない今回のコースで唯一讃岐平野が見渡せる場所。
その景色を見ながら『瀬戸大橋は見えるかな?』と奥様たちと話をすると、
最初は特定できずにいたルリちゃんが、『瀬戸大橋も鷲羽山も見える!』と。
近眼の私には瀬戸大橋の橋脚が薄っすらと見える程度。流石2.0の視力。
ただその代わり、ルリちゃんは手元のスマホや地図は見えにくいのだ。(笑)
樫ノ休場の林道から再び縦走路へと入る。しばらく進むと事前にダウンロードした
YAMAPのルートから外れ始めた。前を歩く二人に声をかけトラバース気味の道から
県境尾根へと戻って行くが、これが間違いだった。市境の杭のある場所から
道が途切れてしまった。尾根は南西に929mの三角点に向かって続いているが、
県境からは外れてしまう。スマホで確認すると北西が県境になっている。
その方向を見ると木の枝にテープが巻いてあるのが見えた。YAMAPのダウンロードした
ルートもそちらへ歩いている。道も踏み跡もないが、テープを信じて灌木の中を下って行くと
少し遅れたルリちゃんの『お~い!』と呼ぶ声が聞こえる。声のする方へ
『そこから右に!』と声をかけるが、ルリちゃんはどんどん違う方向に降りて行っている。
何とか軌道修正してもらいルリちゃんが追いついてくると、先ほどの県境尾根のトラバース道に出た。
本来の縦走路はこの道で、どうやらYAMAPでダウロードした人も道を外して歩いていたようだ。
縦走路を少し下って行くとまた尾根から外れ、YAMAPのルートからも少し外れ始めた。
仕方がないのでまた少し戻ってYAMAPを見ながら下って行くが、また先ほどと同じように
踏み跡もない藪の中をルートの線は続いている。古びた赤テープも所々で見えるが、
藪はますますひどくなり、『ほんとうに大丈夫!』と後ろでルリちゃんの悲鳴のような声が聞こえてきた。
すると最後に新しくできた林道の切通に飛び出した。
この林道は野口ダムから続いている林道で、地形図では800mの三角点の北東で終わっているが、
そこからさらに延びて、先ほどの樫ノ休場まで続いている。
しばらくはその林道を歩いて行き、途中からまた阿讃縦走路へと入って行く。
林道から縦走路に取り付き徐々に高度を上げていくと四等三角点 坂本 800.0mに着いた。
ここには字の消えかかったキティーちゃんのプレートが残っていた。
樫ノ休場から北西に向かっていた県境は、この坂本から今度は南西に振っている。
途中で南に眺望が開けた場所があった。ルリちゃんが南に見える山並みを見て、
『あれが烏帽子?』と指さし言っている。ルリちゃんが指さす方向を見ると、
たしかに烏帽山らしき山容と、その稜線に沿って落合峠と矢筈山が見えた。
『正解です。ルリちゃんはCランクに昇格です!』。
今までの山行の途中で見えた山の名前を聞いてみて、答えられなかったらランクダウン。
即答できればランクアップをしていたのだが、最近になって奥様たちも山座同定が
けっこう出来るようになり、どんどんランクアップしている!
その展望のある場所から急坂を下ると東山峠に飛び出した。
スタートから2時間30分。ここで初めてザックを降ろして行動食を口にする。
(奥様たちはここまでの途中でも行動食を食べてはいるが・・・。)
道の脇の高木にブドウのフサの様に赤い実がぶら下がった気が見えた。何の木だろうか?
この東山峠は明治時代に香川の七箇村と徳島の昼間村が協議し、
双方から新道で結ぶことで完成した新しくできた道。
行動食を摂った後、さらに西へと東山峠を後にする。
東山峠からは今回のコースの中で初めて急登が続いて行く。
阿讃縦走路歩きを始めてから、標高の高い場所をスタート地点にして、
低い場所へと歩いてきたので、久しぶりの長い登坂。
坂の前方を見ても木々に遮られて、なかなかピークらしい空が見えてこない。
急登がやっと終わって一息ついたら、まださらに登坂が続いて行く。
今度は短めで明るいピークらしい空が見えたが、そこも偽ピークで、
もう一度登坂が続く。『久しぶりでやっぱりしんどいね』と三人で息を切らせながら登って行く。
やっとのことで急登を登りきると、南の785.7mの三角点の辺りから派生する林道が尾根に出た場所に
ログハウスが建っていた。ログハウスの横には2台の小型のバスが放置されている。
東山峠から西に続いていた県境は、ここから少し北西に振り813mの標高点へと続いている。
木々の間から見えるのが登尾山への稜線だろうか?
813mの標高点を過ぎた辺りから、道の脇にミニ霊場らしき石仏が点在している。
そのミニ霊場の道は途中から南に下って続いている。
ミニ霊場に別れを告げて小さくアップダウンしていくと、目の前に今まで見た事もない
白く巨大な鉄塔が現れた。鉄塔には『四国中央東幹線』と書かれている。
この『四国中央幹線』は西幹線・中幹線・東幹線で伊方発電所から香川県の讃岐変電所までを
50万ボルトの送電線で結ぶ、四国の基幹送電線だそうだ。四国電力が昭和55年に
建設を開始し、その総延長は全長185kmにも及ぶという。50万ボルトがどれくらい凄いのかは
分からないが、いつも集合場所の財田へ向かう途中の綾川町にある讃岐変電所は、
街中にある変電所とは比べものにならないくらい巨大な施設だ。
一つ目の鉄塔から二つほど鉄塔巡視路にもなっている道が続いて行く。
二つ目の鉄塔で、高いところ好きのあっちゃんが登ろうと試みるが、
柱の上にある防止柵に阻まれて、諦めて降りてきた。
四等三角点 常重 779.3mを過ぎ、833mの標高点の辺りから送電線と鉄塔は県境から離れていく。
東山峠を出てしばらくしてからあっちゃんが昼食をどこで摂るか、再三聞いてきていた。
東山峠までも何度か行動食を口にしているのに、とにかく直ぐにお腹が空くらしい。
途中で登尾山の到着時間が12時30分くらいになりそうだと話をすると、
もう待ちけれない様子。『正午の時間を少しくらい過ぎたって・・・・』というと、
『そこまで待てない!』と言う。『とにかく今日は登尾山でお昼ご飯です。』と
なだめながらここまで歩いてきた。登尾山を目の前にして『KAZASHIさんはお腹空かん?』と
あっちゃんが聞いてくるので、『お腹が空いて死にそうです!』と答えている内に
登尾山に到着した。『死なないで良かったね!』とあっちゃん。
登尾山には太く大きな一等三角点 登尾山 887.3m。今日初めて腰を降ろして、
あっちゃん待望のお昼ご飯にする。今日は会社の忘年会でもらったどん兵衛のきつねうどん。
出汁のしみ込んだ甘いお揚げが、するりと喉元を通って行った。
お昼ご飯で腰を降ろして動かなくなると、やはり寒くなってきた。
上着を着こんで山頂を後にする。四等三角点 指出 807.6mから道はまた直角に方向を変えて続いて行く。
そろそろ道の北側に、木々の間に車をデポした財田駅の辺りが見えてきた。
途中で奥様たちが腰を低くして、木の枝の下から遠望を見て、山座同定をしている。
視力バッグンのルリちゃんが、ストックで方向を指しながら『あれが汐木山、そしてその奥が詫間の町』と
あっちゃんに教えてあげている。どうせ近眼の私は見ても見えないので、後ろで話を聞いていると、
『そしたら詫間の奥の山が紫雲出山やね!』とあっちゃん。話を聞いているだけだが、方角からして
詫間の奥に紫雲出山が見えるのはおかしい。『それは粟島じゃないですか!』と私。
ここであっちゃんはチャレンジ失敗、Dランクに降格!
今日最後の三角点は、先週二軒茶屋からの分岐から立ち寄らずに持ち越した
四等三角点 二軒茶屋 789.9m。ここでも奥様たちは見逃して通り過ぎようとするので、
声をかけて呼び戻して、なんとか先週の宿題をクリアできた。
二軒茶屋三角点から少し下ると、先週も歩いた石仏越の分岐に着いた。
ここでルリちゃんは相栗峠までが繋がったことになった。
分岐からは先週も歩いた財田駅までのほぼ下りの道。
三人で来週の計画をどうするか、色々話しながら下って行く。分岐からYAMAPの
コースタイムで1時間10分のところを40分で朝デポした林道に着いた。
デポした場所からはルリちゃんの運転でまずは琴南公民館へ。そこであっちゃんを降ろして、
今度は二人で中寺廃寺跡の駐車場へと車を走らせる。
駐車場からの帰り道。大川山の展望台では、陽が沈みかかった空の下に丁度先ほどの、
四国中央幹線から続く讃岐変電所が見え、そして讃岐平野独特の、ポコポコと
おむすび山が浮かんだ中西讃の景色が広がっていた。
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