先週の久方ぶりのスキーで大転倒。そして御多分に漏れずに
ガラスの腰が壊れてしまった。その一週間前に山から降りての奥様たちとの別れ際
ルリちゃんに『くれぐれも腰を痛めないようにね!』と注意してもらったのに、
結局、その日は転倒した後も鈍痛程度で滑れたので最後まで滑ってしまったのが
良くなかったのか、翌日にはほぼギックリ腰の様な状態になってしまった。
寝返りをうつのも苦痛で、次の日からずっと通院が続いている。
本来なら『線で繋ぐ讃岐の里山』を予定していたが、奥様たちには
『今週はまだ無理みたいです!』と連絡をした。
するとルリちゃんが計画を立てて、『三豊市の里山を歩くので、具合が良くなれば
参加してください』と返事が来た。奥様たちは里山の6座を歩く計画だったが、
前半部分の3座なら何とかなりそうなので、リハビリを兼ねて参加する事にした。
まずは一つ目の山は讃岐七富士のうちの一つの爺神山。
高瀬富士と呼ばれる爺神山だが、今は昭和35年頃から始まった採石で、
山の東側が削り取られて山容はすっかり変わってしまって、
高瀬富士と呼ばれていた頃の面影はない。
それにしても西讃地区には天霧山や汐木山そして江甫山といい
採石事業によって山容が変わってしまった山が多い。しかも爺神山と江甫山はその形は失われても
未だに讃岐七富士と呼ばれている。
爺神山の南側の大師堂に車を置いてスタートする。
長曽我部元親が讃岐攻略に入りこの爺神山にあった爺神山城の詫間氏は
壮絶な闘いの後落城、滅亡した。その後、爺神山の祭りの折に触れ亡霊がさ迷うように成った為、
四国八十八箇所第一番札所竺和山霊山寺の本尊釈迦如来坐像を祀り通夜堂を健立した。
そして通夜堂を一番に爺神山麓を右廻りに石仏を配した四国霊場ミニ八十八箇所を開基したところ
熱心な信仰によって亡霊は鎮まり、その通夜堂はいつの頃からか大師堂と呼ばれるようになったそうだ。
讃岐富士と呼ばれるだけあった、スタート直後から九十九折れの急登が続いて行く。
よく踏まれた道には合目ごとに案内板が掛けられていて、
それ以外にもメッセージを書いた木の板が所々に掛けられている。
六合目近くになると南側の景色が広がってきた。そして山頂手前では柱状節理が観察できる。
その柱状節理を右に回り込み進んで行くと山頂広場に出た。
下草はきれいに刈られ、大きなテーブルとベンチが設置されていた。
地元の奥様たちは目の前に広がる景色を見ながら指さし、あ~だこうだと言っている。
その眺望に合わせて、写真に山名を書いた案内板が数ヶ所たてられていた。
大師堂からの道沿いの案内板、そしてこの山頂の案内板といい、地元の人たちの
手がかなり入れられている。採石によって山容が変わったしまったこの山だが、
山頂も以前に比べると様変わりしていた。
前回来た時には山名標が一本だけ立つ山頂だったが、今は万国旗まで風にはためいている。
またその時の山名標には『爺神山 二二七米』と刻まれてあったが、
今は地形図の標高も214mとなっていて、いつの間にかこの山は214mの標高になっていた。
そしてその数字に合わせて『バレンタインの山』と呼ばれているそうだ。
しかもその214を形どったオブジェが立っている、今流行りのインスタ映えを
狙っての事だろうが、何とも賑やかな山頂になってしまって、何だか落ち着かない。
三豊市の里山はこんな感じに手を入れられた山があちこちに見受けられる。
ひとしきり山頂での眺望を楽しんだ後、一旦大師堂へと下って行く。
いつもならトントンと調子よく下って行くのだが、今日は一歩一歩慎重に下りる。
少し調子は良くなってきた腰が、ここで滑ってしまっては元の木阿弥。
大師堂から西に裾野を回り込み三野町と高瀬町の峠となっている坂越から
北に車道を進んで、二つ目の山葛ノ山へと歩いて行く。
一旦、県道23号線を横断して、山の西側から北側へぐるっと車道を登って行くと、
大きな貯水施設から遊歩道らしい雰囲気の道になった。
葛ノ山は97mほどの標高の山。山頂へは直ぐに着いた。山頂には三角点もなく、
広場になった場所に石祠が座っているだけだった。
葛ノ山からは往路の車道からは外れて、北側に降りて行くと高瀬川沿いの道に出た。
車道を葛ノ山の北側の裾野を、次の山条山へと歩いて行く。
田畑の畔には紫色の小さなホトケノザが咲き誇り、暖かさも相まって春の訪れを感じる。
葛ノ山から吉宗瓦窯跡の展示場と瓦窯跡の白い屋根が近づいてきた。
吉宗瓦窯は7世紀中ごろに瓦の生産を始め、当時の17号窯は長さが約13メートルで、日本一長い瓦窯。
そして瓦窯が24基あるのは、当時としては日本一。さらには藤原宮で使われている瓦で、
日本一遠くの場所で焼いた窯だそうだ。施設の横のまだ咲いていないしだれ桜の横を通り、
山条山の登山口へと進んで行くと、先ほど歩いた葛ノ山が後ろに見えた。
登山口には案内板があり、なんとQRコードを読み込むとコースを書いた地図と
ポイントを書いたページにリンクされていた。以前だと地形図にコースを印刷した
紙を置いてある里山はあったが、QRコードを読み込んでリンク先のページを見るなんて、
初めての事。どこかの公園や博物館・美術館を彷彿させる。里山もアナログから
デジタルへ移ってきたと言う事か!それと時間に余裕のある年配の方達も、
パソコンやスマホを操るような年代になってきたのだろう。
登山道は直ぐに竹林の中の道になった。これも里山らしい風景だ。
竹林から九十九折れに登って行くと、山条山の東の尾根に出た。
ここにも木製の手作りベンチと木のメッセージ板。
尾根道には樹種を書いた写真付きのラミネートの説明書きと木の説明板が
所々で立てられている。この道は植物園の様相。
根元から何本もの幹に分かれた桜の木も珍しい。
標高が上がり山頂が近づいてくるにしたがって、傾斜がきつくなってきた。
そして着いた山頂には今までと同じようなハートマークにくり抜いた背もたれのベンチ。
北には益々山が削られ平らになった汐木山には太陽光発電のパネルが並んでいる。
南東には爺神山と此地中の向こうに大きな勝田池と国市池が見える。
山頂から今度は南側の三角点を目指して激下り。張られたロープを使わないと下れない。
一旦鞍部まで下って登って行くと石祠の上の小高い場所に三角点はあった。
今日の三座目だが初めての三角点。四等三角点 山条 154.4m。
三角点からも一旦下って143mの標高点へまた登って行く。
厚く積もった落ち葉の表面がワックスがかかったようにツルツルして良く滑る。
143mの標高点では右と左に道が分れているので、左に折れて高薬師へと下って行く。
一旦、車道に出て道の下に見える高薬師からさらに下ると、お目当ての三好うどんがある。
今日はここでお昼ご飯。この店に初めて来たときはまだ屋号は『うどん だいくヤ』だった。
大工をしていた大将のお店だったが、今は若夫婦が三好うどんとして営業している。
このお店、麺と出汁はもちろん美味しいのだが、天ぷらを注文を受けてから
揚げてくれるので、いつも熱々の天ぷらが食べられるのがうれしい。
食欲が戻った私と痩せの大食いのあっちゃんはうどん2玉と天ぷら。
意外と食べないルリちゃんは1玉と天ぷら2個(どちらも変わらないか~)
エッジの効いた少し縮れた腰のある麺に大満足した後、あっちゃんはPeyPeyでお会計。
お店を出て歩いているとあっちゃんが財布を入れたサコッシュをお店に忘れたのに気づいた。
慌てて取りに帰るが、スマホで決済もいいけど大事な財布を忘れるなんて。
これもデジタル化の弊害?
三好うどんからは下道を太子堂までのんびりと歩いて行く。歩きながら先日うちの奥さんに
山頂での三人の写真を見せたところ『おばさんと歩きよんやな~』と言われたと言うと。
あっちゃんが『なに~おばさんとな!』とご立腹。『きれいなお姉さまとやろ!』と。
『ん~ノーコメントにしときます!』と言いながら心の中で、十分おばさんやけどな~!
大師堂の駐車場には柴犬とおじさんが寛いでいた。しばらくそのおじさんと話をすると、
生後5カ月を過ぎた子犬は、先日のコンクールで優勝したと自慢話が始まった。
確かにその子犬は素人が見ても目鼻たちや体形が整っている。
そしてコンクールで立ちこみと呼ばれる、直立不動でじっとしてポーズを
とらせるのが難しいのだとも教えてくれた。
今日の奥様たちは残り3座を予定しているが、やはり腰と背中が張ってきたので、
私は山歩きはここまでにして、最後に吉津の河津桜を一緒に見学して帰ることにする。
車で移動して河津桜用に解放されている駐車場に車を停めた後、歩きだしたら
後ろから声を掛けられた。WOC登山部のヤモッチさんだった。
あれ~ヤモッチさん、2・3日前にもfacebookにここの写真をあげてたのに!
駐車場から少し歩くと、河津桜の前には平日にもかかわらず大勢の人が同じ方向を見入っていた。
ヤモッチさんが上の方の枝は少し散ってきていると教えてくれたが、それでもほぼ満開。
平成16年に苗木として植樹されたこの桜が、ここまで大きく立派に花を咲かせている。
花にはその蜜を求めて沢山のメジロが花から花へと飛び移り鳴いていいる。
今日は三座といってもどれも低い山ばかりで、歩いた距離も7km程度。
それでも痛めた腰とその周りの背中の張りが出てしまった。
このところの感じでは一度痛めると二週間ほどかかってやっと直った感じがする。
若いころだと1週間もかからなかったのが、やはり寄る年波には勝てない。
早めに直していつもの山歩きに戻さないと、奥様たちからも、いたわりの言葉が
そのうちに、𠮟咤の言葉に変わってしまわないかと思ってヒヤヒヤしている。
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