先週のNHKラジオ「石丸謙二郎の山カフェ」に特集されたライチョウ保護のこと、鳥類学者の中村浩志先生のお話を聴いて、あらためて図書館から先生の「ライチョウを絶滅から守る!」(しなのき書房)、「二万年の奇跡を生きた鳥ライチョウ」(農文協)を借りてきて読み進めているが、ライチョウは大雪山のナキウサギやウスバキチョウなどとおんなじで、1万年以上前の氷河時代の生き残り、現在北限となる火打山、日本アルプス、乗鞍岳と御嶽山のみに生存しているとのこと。
信州大学の調査で1980年代に3000羽ほど確認できたが、現在は、1700羽ほどに激減して、今のままだと絶滅が心配されている。
中村先生などの努力で、いったん絶滅した中央アルプスに乗鞍から家族を引っ越しさせたり、卵を孵化させたりして、今年は3家族19羽ほどが確認されているということだが、中村先生の「世界の最南端に分布し、人を恐れない日本のライチョウは絶滅に近い赤信号だ。多くの人の英知を結集し、黄信号に戻したい」と、70才を過ぎても頑張って保護と増殖の活動を精力的にされている。
ライチョウ激減の理由は直接・間接さまざまだが、2点に集約される。
① 地球温暖化
② 里山の崩壊
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温暖化により、高山帯が減り始めてエサとなるガンコウランやコケモモなどの高山植物地地帯が減っている。温暖化により、ニホンジカ・イノシシ・ニホンザル・テン・キツネ・ハイブトカラス・ツキノワグマなどがライチョウの住んでいる高山帯にまでやってきて、ライチョウのエサとなる草をを食い荒らし、テン・サルやカラスはライチョウのヒナや卵を捕食する。里山に住む人が減って、ニホンシカやイノシシを狩る人もいなくなりつつあることから、彼らが激増し、結果として生息領域も高山地帯にも広げていること。
などが、考えられるとのことだが、ここ数年オイラも山に登って何かしらの異変を感じている。とくにニホンジカが高山までやってきているということ。今年の夏には日光・奥白根山域で大量のニホンジカと高山植物の種類の少なさを目の当たりにしているが、アルプスなどのライチョウの住みかにも同じような被害が増えているのだろう。
愛すべき高山の花も減って、愛すべきライチョウさんも減っているとなればがまんができない。いま、2021年度の山行をあれこれ構想しているが、ぜひとも「ライチョウさんに逢いに行こう!」という気にもなった。いや、来年といわず元気なうちに、毎年、毎年、中村先生たちのご努力によりライチョウさんが復活しているかどうか肌で感じよう。ちっぽけな個としてライチョウさんや花々の絶滅防止に何ができるか、何かお手伝いができることはないか、ささやかなライフワークとして考えてみよう。
さしあたり、いま彼らが住んでいて、何とか増えてほしいと願う下記の山域には来年駆けつけてみようか。目の前に現れてくれ!ライチョウさん。
① 絶滅寸前といわれる北限の火打山
② やっと移住作戦が成功したとされる中央アルプス木曽駒ケ岳
③ 南アルプス唯一の生息領域とされる北岳・仙丈岳周辺(絶滅危惧種キタダケソウの撮影も課題となっている。)
火打の高谷池ヒュッテ、木曽駒ケ岳頂上山荘、北岳肩の小屋、それぞれテン場があるので、2,3日ずつ滞在すれば、お目にかかれるかも。(温泉はないが、そこは我慢しよう。下界にはあるよ。)
来夏、オリンピックなどより、山小屋とテン場が開いていることを願うばかりだ。
昨年の夏、雪倉岳への登山道で出会ったライチョウのお母さん。高台からヒナを見つめていました。
お母さんに見守られていた、まだまだ小さいヒナちゃん。元気に成長したかな。
2019年の白馬・雪倉のライチョウさんたち