夏がく~れば思い出す♬ などと瑞々しい湿原や湖沼を賛美してばかりいられないのは、夏山の虫対策。
沢や沼はカ(蚊)やブヨ(蚋)の産卵場所であり、生活圏内でもあるので、6月~9月の暖かな時間帯には、刺されないように万全を期す必要がある。(とは知っているつもり)
おととしは、飯豊の沢沿いの登山道でブヨの大群の攻撃にあって、無防備だったオイラは顔じゅうボコボコにされたという苦かゆい体験もしているんで、なるべく肌を露出させないとか虫よけスプレーの散布など少しは学習し、今年はテント場に蚊取り線香なども持参してかなり効果をあげてきたともいえるが、虫よけスプレーは忘れてきてしまった。
だが、カでもブヨでもなく、今回の尾瀬で「やられた」のはアブ。
まず、桧枝岐の日帰り温泉の露天風呂。硫黄分を含んだお湯での日中なのか、カやブヨの仲間の攻撃はうけなかったが、アブが露天の岩肌に大量に待機していて、裸んぼうのオジサンたちが露天にあらわれると、いざ出陣!とばかり直線的に襲ってきた。湯舟からお湯をぶっかけて反撃するも、ものすごいすばっしこさで水しぶきを潜り抜けて再三再四攻撃を仕掛けてくる。そんなくり返しに根負けして、オジサンたちは早々に内湯に退散して、湯加減もよく魅力的な大露天風呂は人っ子一人いない状態に。
また、その温泉の帰路、キャンプ地までの2kちょっとの川沿いの道のりで、ビールを飲んだせいで炭酸ガス発生量が増えたか、半そで、短パン姿のオイラに向かって、またもアブたちの攻撃を仕掛けてきて、タオルで追い払うも、油断していた二の腕やふくらはぎを2、3カ所、食われ(刺されたのではない)がまんならない痒さをおぼえた。
さらに、キリンテから大津岐峠までの森林帯で、日が射してからは間断なく、オイラは彼らの攻撃を受けた。暑いので、前日の失敗に学ばず半そでだったので、追い払いはしたが何度もくるぶしや二度腕にすがられ、追い払うのに疲れてしまった。
アブを追い払いながら休んでいると、下から元気に登ってきた青年は完全防備、防虫ネットをすっぽりかぶり、長袖に手袋をはめ、腰にぶら下げた蚊取り線香からはケムリを勢いよくモクモクさせ、「アブ凄いっすね!」と笑いながら登って行った。きっと地元の青年なんだろう、事情を分かっていらっしゃる。
そんなことで、今回は、アブ対策が不十分だったし、肝心の虫よけスプレーも忘れてしまい、エタノールの入ったボディペーパーを素肌に塗布して何とかしのいだ。
家に帰って
アブ対策を研究すると、
① 人を襲うアブは、大型のハチによく似たアカウシアブなどの♀であること。
② アブはハチと違って「刺す」のではなく、「肌を食いちぎって血を吸う」のであること。
③ アブは、ヒトの炭酸ガスを感知して近寄るが、黒っぽいふくや髪が襲われやすいこと。
④ 「ディート」という成分を10%以上含んだ虫よけスプレーやハッカ油などが虫よけに効果的であるこ
と。
⑤ 長袖、手袋で素肌を覆うこと。
⑥ その他に防虫ネットで顔を覆ったり、「森林香」という蚊取り線香も有効であること。
などが、分かった。地元のヒトに聞いたら、このアブも、「少し寒くなったらパタッといなくなる」ということであるが、夏に奥会津(いや日本全国の森林帯のどこでもだろう)を歩くとき、苦痒い思いをしないためには、準備万端と行きたい。
このように、オイラを苦しめたにっくきアブたちだが、防戦のため露天で湯をかけ、ときに成功し、湯舟の水面にひっくり返って翅をバタバタさせているのヤツラを見て、勝ち誇ったような笑みを浮かべたが・・・考えてみると、メスのアブも一度きりの「人生」最大の目的である産卵のために、ヒトの♀が「鯉こく」をいただくように、動物の血から栄養をいただいて体力をつけようとしているのであって、♂にくらべて♀が真剣であることはアブの社会も同じかと、少しは同情したくもなってくる。
秋には、もうこの世に存在しない「ムシケラ」たちの懸命さにも一定の理解をしながら、しかし、今度は「肌を破られない」、「血を差し上げない」対策に万全を期そう、専守防衛の精神で。
オイラの虫対策グッズだが・・・・・
白っぽい長そでシャツと顔を覆う防虫ネットか・・・今度は装備しようか。アブ手ごわい。