7月の終わりの白馬は台風も来て途中で計画を中断した。その後、8月はじめに尾瀬から戻ってからは天候も悪かった。体力不足で盆明けに出かける予定だった北アルプス行きを取りやめた。コロナ感染爆発に目をひん剥いて右往左往もしていた。2021年の夏山は、そうこうしている間に「終わった」。いつの間にか、8月も終わりが近づいている。
この夏は、花の宝庫と称される白馬周辺の湿原や尾瀬を歩いたにもかかわらず、温暖化のせいで夏が早まったのか、7月半ば過ぎには清新な花たちは終わりを告げていて、ニッコウキスゲやコバイケイソウの群落はもう立ち枯れて大きな実をつけていた。7月初めに歩いた秋田駒のチングルマの大群落も見逃した。来季以降は、案内書の花の適期をもう1,2週間早めに予測しないと、見逃しそうだ。今年は、悪天候のため会えなかったキタダケソウだが、来年は6月になったら出発の準備しよう。
こんなことで、2021年の夏山はすこし不当たりの年だった。昨年の立山、一昨年の白馬・雪倉・朝日とのギャップがおおきい。これから出かけるにしても山の短い夏は終わりに差し掛かっていて、行けても会えるのはトウヤクリンドウやミヤマアキノキリンソウ、オヤマノリンドウたちだろう。
山のやや乾いた草地で出会う花で、なぜか出会うたびにこちらを向いて微笑みかけてくれているような花がある。明るい黄色のウサギギクと薄紫のマツムシソウだ。草の間からすくっと一本の茎を伸ばして、ややアンバランスな大きな花をつけて、とても目立つので、こちらを向いて何かを語りかけてくれている気がするのだろうか、とても愛着のある花たちだが、この夏は、もう会うことはないのだろう。時期は終わっている。
当県では、先週「まん延防止等措置」の宣言があったばかりなのに、もう「緊急事態宣言」なのだという。あまりにも場当たり的な施策に、もう聞く耳をもってはいないが、日々報道で流れるデルタ株の危険性をしっかり受け止めながら、万全の感染防止と検査をやって陰性を確認したら山に出かけたい。ただし、富士山に行こうとすればほとんどが「緊急事態宣言」地帯だ。まるで戦時下の銃声をかいくぐるような気持ちで電車やバスに乗らざるを得ないのですこしビビってはいるが、槍穂間の大キレットほどのリスクはないのだろう。