新年11日、月の出も午後9時前となり、雲がそれほど流れてくれないので、午後8時を過ぎると南の空高くオリオンを仰ぐことができた。街が明るいので星座の視認には限界があるが、カメラとレンズの機能で何とかそのほかの星座も教えてくれる。
オリオンの足元にウサギ座が確認できる。今年の干支の星だ。
ウサギさんは、狩人オリオンとシリウスを輝かせる猟犬オオイヌに追いかけられ逃げまどうが、同じ速度で夜空を周回してくれるから、「永遠に捕まることはない」のだ。
ウサギさんを眺めて、今年の平和と無事を祈ろうではないか。
オリオンやウサギたちの駆けっこを20分間80枚の比較明合成。少しだけ流れ去った雲がきれいだ。
日本百名山 MY SONG 73 天城山(あまぎさん・1406米)
【深田久弥・日本百名山から】
「ひとつを指して天城山と呼ぶ峰はなく、伊豆半島の中央を東西に横切ったこの山脈を眺めて、そのうちどれであろと構わず、人は天城山と呼んでいる。」
「天城山のいいことの一つは、見晴らしである。煙を吐く大島を始め、伊豆七島がそれぞれの個性のある形で浮かんでいる海が眺められるし、いつも真正面に富士山が大きく立っている。全く大きい。天城の写真と言えば、たいてい富士山が取り入れられている。それくらい天城にとって欠くことができない背景である。山の好きな人だったら、富士山の左に遠く南アルプスの山々が連なっているのを見落とさないだろう。」
海原は伊豆の七島 振り向けば富士 天城の峰に千切れ雲ゆく
【深田日本百名山登頂の思い出・再掲】
百名山踏破の意志を持ち始めた1900年代の後半以降、オイラは職場の後輩Ⅿ君と百名山を10座程度集中的に登っている。1999年1月には、前日に伊東温泉の公共施設に泊まって、翌日天城山の最高峰万三郎岳(1406m)と万二郎岳(1299m)を周回している。暖かな伊豆半島なので、1月でも雪の中を歩いたという記憶はない。山頂の展望はどうだったか、印象がないので冨士も南アルプスも太平洋に浮かぶ伊豆七島も見えずじまいに終わったのではないか。ただただ記憶にあるのは稜線にたくさん繁っていた滑らかな木肌のヒメシャラぐらいだろうか。わざわざ、伊豆まで出かけ4,5時間の山歩きで帰った所為は、ただただ百名山を「潰す」という浅はかな考えだったと思う。
天城というか伊豆半島の思い出は、2017年と2018年12月にエントリーしたトレラン大会「IZU TRAIL JOURNEYRUN」のほうが鮮明で感動的だ。
2大会とも、完走はかなわなかったが、西伊豆の松崎漁港から修善寺温泉までの約70kmのコース上、ヒメシャラやシャクナゲ、アセビといった天城山の美しい植相の中を歩けて、とくに30k地点の二本杉峠から40キロ地点の仁科峠までは美しい森で、稜線から望めた純白の富士に思わず目が熱くなった。2回とも40キロの関門時間に追われていたので、写真に収めることができなかったのが悔やまれる。
山と高原地図「伊豆」をみると伊豆半島には様々なトレッキングコースが走っていて、テント場もあちこちに点在している。暖かなので、早春でも晩秋でも雪の心配がないし、5月の新緑の季節はシャクナゲやアセビが美しく咲き誇っているのだろう。冨士や伊豆七島などの展望も得られ、あちこちに湯もわいている。老いらくの山歩きにはもってこいなのだろう。1週間、2週間、いやひと月ばかり天城で暮らすのもいいのだろう。そのときには、「伊豆の踊子」の薄い文庫本1冊だけザックに入れて行こう。
NHKBS1「グレートレース」から
(伊豆トレイルジャーニー第3関門を直前にして)
十二月アセビの丘に帆のような富士現れて制限時刻(とき)迫り来る