今週の小田原ガイド育成講座は総構(そうがまえ)の実習だ。
総構とは城や城下町をぐるりと囲む外郭のこと。
小田原城は3重の構えで囲われており、最外郭の長さは9Kmに及ぶ。
ウォール シーナ・ローゼ・マリア のミニミニ版だね。
どのようなもので囲われていたかというと
この全周を3年で作ったというから驚きだ。
今回は西部の約半分の距離を実際に歩いての講習だった。
小田原駅西口を9時にスタートすると、既に暑っつい。
(講習中は撮影禁止なので、今回の写真はネット上で拾ってきたもので代用)
<城下張出>
右手の高くなっている部分が張出。
堀底部からの画角だが、底部は埋められて平坦にされてる。
小田原の史跡は保存状態が良くない部分が多い、というか、実生活が優先されてきた傾向にあるな。
<山ノ神堀切>
左の斜面が主の土塁で、右の木々の手前辺りが掻揚土塁、それらの間が堀部になる。
ここでも掻揚土塁が削られて堀が埋められているね。
<稲荷森>
主土塁の上から堀を見下ろす画角。
ここは往時の様子を比較的よく残している所だ。
竹藪や木々で囲まれていて、心地よい空気が流れている。
<東堀>
総構の記事には必ずここのシーンが出てくるほど象徴的な場所だ。
ここも比較的に保存状態はいいが、当時は10mほどの深さだったらしいので大分埋まってきてるようだな。
まあ400年経っている割にはよく残っていると言えるだろう。
ここには横矢掛(よこやがけ)というクランク部も残っている。
敵襲のスピードを落とす目的と、複数方向から弓矢や銃で迎撃するための仕掛けだ。
当時に思いを馳せながら下っていくと突然、なんの余韻もなく現実世界に出くわす。
なんか残念な気分にさせられたのは、俺だけじゃなかっただろう。
この後は小田原城まで住宅街等を通り抜けながら「ほら、あの斜面が土塁の跡だよ」とかの説明を受ける。
ん~ なんか、つまらんなぁ~
自分でうまくガイドできるかどうか、あまり自身がない所だ。
歴史遺産は一度壊してしまうと決して元に戻らない。
失くてしまった後で後悔しても後のカーニバルだもんね。
自然や動植物もそうだな。
以前の講習で
「現在の自然や遺産は自分たちのものではなく、今後の世代から借り受けているものだ」
と教わったことを思い出し、実感が湧いた一日だった。