模型の店が誕生

戦後の浜松市内もどんどん

復興が進んで、繁華街の

田町に並んでいたテント掛けの

店がだんだん無くなって

新築の新しい店ができはじめて

きました

…　…　…

中学生だった私に興味をひく

店が出来ました…

模型などを扱う店でした

…　…　…

その店で鉱石検波器(こうせきけんぱき)を

見つけました。

本で鉱石ラジオの作り方を

見ていたので、さっそく鉱石ラジオを

作ることを思いつきました…

…　…　…

次に、スパイダーコイルの枠と

コイルを作るエナメル線、バリコン

マグネチックのイヤーホーンなどを

揃えました…。

お腹が空いて…

私は浜松の中学校へ通うようになって

母親の作ってくれる弁当を持って

登校していました…

…　…　…

弁当箱ははじめ、少し小さなアルミ製の

弁当箱でしたが、間もなく、母親に

頼んで、大きなのにして貰って

ご飯を多くして貰いました。

…　…　…

当時、日本中の食事は白米だけの？

白いご飯は食べられませんでした。

薩摩芋を小さく刻んで米に混ぜて

炊く混ぜご飯が普通でした。

…　…　…

中学校の昼の時間になると

生徒は弁当箱を開いて

昼食時間になります…

…　…　…

町中からの生徒の弁当は

薩摩芋の入った混ぜご飯ですが

農家出身の子の弁当箱は

混じりっけなしの白米のご飯が

入っていました…

…　…　…

新しいニュースとして

市内の小学校で給食が

始まったと聞きました…

中学生の私は小学生を

羨ましく思いました。

…　…　…

私は中学校に通うようになって

成長期に入ったのでしょうか？

何時も、何となく腹が空くように

なっていました。

農繁期の休日

中学１年生の私が、日本の浜松市へ

帰ってきて、毎日遊び惚けているようですが

中学校へ、真面目に登校していました。

…　…　…

登校の途中、小高い丘で遠くに見える

富士山を眺めながら、通っていました

浜松の中学校は丘に建っていました。

その丘から海の方を眺めると

国鉄東海道線の線路が見えました…

…　…　…

私の通い始めた中学校で秋の一日、

農繁期の休日というのがありました。

中学校へ通っている生徒の家庭に

農家が多かったのかも知れません

…　…　…

戦後の日本の農業はまだ、機械化に

なっていなかったので、農家では

中学生の力をも当てにしていたのかも

知れません…

…　…　…

毎年、春の田植えと秋の刈り入れの

農繁期には、全国の中学校で

農繁期の休日があったのかも知れません。

映画館巡り

映画館の映写技師のお兄さんと

知り合いになって…

浜松市内の映画館はほとんど

フリーパスで見ることが出来るように

なりました…

…　…　…

映画館では本篇の劇映画の添え物として

ニュース映画が一本上映されていました

ニュース映画は伴奏の音楽とともに

ナレーションが入っています

当時、ナレーターに竹脇昌作(たけわきしょうさく) さん

が、人気者でした。息子さんの竹脇無我さんは

映画スターになりました。

…　…　…

ニュース映画で竹脇昌作さんのナレーションは

独特の低音で棒読みのような 声が好きになりました

…　…　…

浜松市内の映画館で上映されるニュース映画は

数種類で、毎日、上映の終わったニュース映画フィルムを

ズックの袋に入れて次の映画館へ自転車で

運んでいく若い人とすれ違ったことがありました。

映写技師のお兄さん

小遣いの少ない？中学生の私が、

浜松市内の映画館を次々とハシゴ？

出来たの仕掛けがありました。

…　…　…

市内の東宝映画館で映写技師を

しているお兄さんと友だちに

なりました…

何分、７０数年前のことですから

どうして知り合いになれたのかは

すっかり忘れましたが…。

…　…　…

映写技師のお兄さんと知り合ってすぐ

田町の東宝映画館へ訪ねていきました。

お兄さんはまず、映写室に案内して

くれました。大きな映写機が２台並んで

いました。

この大きな映写機のランプハスウは

電球ではなく、直流のアーク灯で

強烈な光線がフィルム窓を照らしています

遠く離れた大きなスクリーンに映画を

明るく投映するには、電球では無理だと

納得しました

…　…　…

映画館の映写機の光源は直流アーク燈で

そのアーク燈に供給する直流に

水銀整流器が使われていることは私が

高校生になってから判りました。

…　…　…

知り合いになった映写技師のお兄さんに

客席で映画を見せてもらいました。

映画を見終わった私にお兄さんは

市内の他の映画館に入りたかったら云いなさいと

云ってくれました。

浜松市内の「映画館」をハシゴする？

私は満州から引き揚げてきて

親父の故郷、浜松市で暮らすように

なりました。…

中学一、二年生の私は映画が好きになって

きました。戦時中は元軍国少年だった

私は、すっかり映画愛好の「映画少年」に

なっていました。

…　…　…

住み始めた浜松市は小さな

市街ですから、市内中心部に

映画館が集まっていました。

ある日、私は一日に何軒映画を

見て回れるか、と無謀なことを

考えつきました…

…　…　…

朝、９時ごろに最初の

映画館に飛び込みました

そして、その映画が終わると

素早く飛び出して隣の次の

映画館へ飛び込みました

…　…　…

その映画館を飛び出すと、

昼過ぎになっています。

昼食用にパンを購入して

それを食べながら次の映画館へ

飛び込みました…

…　…　…

中学生の私が次から次へ

映画館をハシゴしていくのでから

その都度、映画館の入場料は

どうしたかということですが？

現代劇映画「七つの顔」

大映映画「七つの顔」主演が

片岡千恵蔵(かたおかちえぞう)と

轟　夕起子(とどろきゆきこ)でした。

女優の轟夕起子さんは宝塚の娘役から

映画に入ったひとで、当時、売れっ子の

ひとりでした…。

…　…　…

時代劇の大御所、片岡千恵蔵が現代劇に

探偵(多羅尾伴内＝たらおばんない)として

出演でした。

映画「七つの顔」は、探偵が事件を

捜査していく段階で、７人の人物に変装して

最後の事件解決の場面で、変装したそれぞれの

人物を再現して、犯人をアッと云わせるという

ストーリーでした。

…　…　…

時代劇の片岡千恵蔵がどうして

現代劇をと思われますが…

戦後、復興した映画制作では

ＧＨＱの命令で時代劇映画が

作れませんでした。

…　…　…

時代劇では、侍が刀(武器) を

振り回すので嫌がられたのかも

知れません…

…　…　…

映画「誰か夢なき」の黒川弥太郎さん

大河内傳次郎さんも時代劇のベテラン

俳優さんでした。

…　…　…

中学生一、二年生の私は

浜松市内の映画館へ１人で

良く出掛けていました。

学校で１人で映画を観ては

いけないといわれなかったので。

映画館で停電？

戦後、娯楽として復活したのは

映画でした。映画館の料金が

他の娯楽に比べて安いのと

映画に没頭すれば数時間、

別世界へ連れて行って

くれるからでしょうか…

…　…　…

浜松市の賑やかな田町に

東宝映画劇場が出来ました

私はその映画館で新東宝作品

「誰か夢なき」を見ています



この映画の出演者は

藤田進(ふじたすすむ)、

黒川弥太郎(くろかわやたろう)

野上千鶴子(のがみちづこ)

大河内傳次郎(おおこうちでんじろう)

などで、監督は渡邊邦男(わたなべくにお)

撮影は友成達雄(ともなりたつお) 。

主題歌「誰か夢なき」は竹山逸郎(たけやまいつろう) と

藤原亮子(ふじわらりょうこ) でこの主題歌を

私はなんとなく覚えていました。

…　…　…

この映画のスタッフ、キャストは最近になって

判ったことです。

当時、ときどき、停電することがありました

丁度、この映画を観ている途中、その映画館で

停電がありました。突然、画面も館内も真っ暗に

なってしまいました。

真っ暗の中の観客は別に騒ぎもせず、

上映が再開されるまで静かに待っていました。

当時、市内では停電が時々あったので

映画館での停電は「運が悪い」と諦めていたのでしょうか

初めての洋画「銀嶺セレナーデ」

映画「銀嶺セレナーデ」

(日本語字幕付き)は

なんの予備知識もなく

観ました…

戦時中だったのでアメリカ映画

は日本で、満州で上映されませんでした。

…　…　…

戦後、洋画アメリカ映画が

どっと入ってきました。

「銀嶺セレナーデ」にはなんと、

グレン・ミラー楽団の出演で

グレン・ミラーも台詞付きで

演技もしていました。

主演はフィギュアスケートの

オリンピック優勝の

ソニア・ヘニーで映画の中で

スケートのシーンがあります。

…　…　…

私がグレン・ミラー楽団を知ったのは

高校生になってからです。

７８回転のＳＰレコードで

ムーライトセレナーデ、

真珠の首飾り、茶色の小瓶など

愛聴しました。

…　…　…

現在、YouTubeで期待しないで

「銀嶺セレナーデ」を検索して

見ると、なんとヒットしました。

７０数年前の中学生時代を

思い出しながら見てしまいました。

Sun Valley Serenade 1941 with original stereo movie sound (5K)


…　…　…

洋画映画館「セントラル劇場」

戦災で焼け野原になってしまった

浜松市内にも、新しい建物が

建ち始めました？…

…　…　…

戦後の娯楽はまず、映画から

始まったようです。

私が浜松に住むようになって

新しい映画館が次々に出来ました。

…　…　…

戦災にあった浜松市内でも

焼け残った建物がありました。

戦前から、銀行だったビルです。

そのビルを戦後、映画館に

なりました。

場所は、住んでいた

元魚町の隣町、伝馬町(てんまちょう)

に確かセントラル劇場と


いう名前で、観た映画は

「銀嶺セレナーデ」で

私には初めて見る

音楽映画でした…