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私の椅子はテレビ局三階の広いフロアーにありました
編成局、演出部、放送部、そして報道部が並んでいます
私は仕事を終わって三階へ上がってきました
… … …
大阪芸能に詳しい演出部次長のU宮楢生さんに呼ばれました
「フェスティバルホールの演奏会のキッフだが…」と
「私は仕事で行けないので…と差し出されたのは
なんとマントヴァーニー楽団でした
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「君の趣味は音楽だったのか…」と切符を頂きました
大阪テレビ局横の堂島川に架かる渡辺橋を渡ると
新朝日ビルのフェスティバルホールです
私は大阪へ来て初めてでした
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レコードがSP盤からLP盤になって新しく
ムード音楽というジャンルが始まりました
そのムード音楽レコードの代表がマントヴァーニー楽団でした
音色は弦楽器群に独特のエコーのかかっていました
緞帳が上がるとオーケストラの演奏が始まりました
テーマ曲の「魅惑の宵」ですが、なんと
バイオリン群にエコーが、かかって聞こえてきました
舞台にマイクロホンは一本も立っていません
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あとで調べてみると、バイオリンを三つぐらいのパートに
分けて、演奏するカスケーティング・ストリングス
という独特の編曲でエコーがかかったように
聞こえたのでした。
… … …
各曲のエンディングに近づくとマントヴァーニーは
客席の方へ振り返って、指揮棒を振り下ろして
一礼する。演出でした
… … …
私にとって初めてのフェスティバルホールの演奏会は
感激の一夜でした。
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