ダゲレオタイプで、写真が始まりました。
最初は,カメラのセッティングも大変でしたでしょう。
使用する感光材料の感度も無茶苦茶低かったのです。
写される人物は長時間、動けない、瞬きも出来ない,
拷問に耐えなくてはなりません。
写真を撮影するのにカメラの暗い感じのレンズに
長い時間、自分を晒すのですから、
徐々に命を吸われていくような感覚だったのでしょう。
感光材料も湿板から乾板と露光時間が短くなってきます。
… … …
写真を写すには,カメラを三脚にセットします。
シャッターを開いて,カメラの後についている,
ピントグラス(磨りガラス)に映った映像で構図を決めます。
レンズ・ボードの蛇腹を前後に動かして焦点(ピント)を合わせます。
しかし、ピントグラスに映っている映像は,上下逆になっています。
人物の足が上で,顔(頭)が下に映ります。
これは、現在の最新型の8×10(えいとばいてん)や、
4×5(しのご)のビューカメラでも同じです。
… … …
慣れてくると, ピントグラスに人物や風景が天地逆に映る方が
構図が決めやすいという人もいましたが…。
このピントグラスが逆さまに映るのを解決したのが,レフカメラです。
明治時代に発売されたソホ・フレックスは、45°のミラーを入れて,
カメラの上にピントグラスがついています。
それは、天地が正立で見えます。
これで、人物も風景も正立で構図が決められました。
しかし、正立ですが,ミラーの関係で,左右が逆なのです。
カメラを左右に振ると,ピントグラスの映像は,
左右が逆に見えていますから,不思議な感覚になります。
これもコツが要ります。
後に現れる、二眼レフのローライフレックス、
一眼レフのエキザクタやレフレックス・コレレでもおなじことです。
… … …
左右上下が正しく見えるファインダーはまだ、現れません。
戦後,発売されたペンタプリズム(ペンタゴナルダハプリズム)を搭載した
一眼レフ(ニコン,キャノン、ペンタックス,ミノルタ、コニカ…)で
初めて,左右上下が正しく見えるファインダーが出現しました。