初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

「密命」残月無想斬り

2009年09月30日 20時21分05秒 | Weblog


写真説明;今日は久しぶり雨の朝でした。

ここしばらく雨がなかったので散歩道の途中の

寺ケ池の水は減っていました。

           … … …

私の現役時代、町の図書館に関心がありませんでした。

私は定年退職で毎日が日曜日になりました。

これからは図書館を利用しようと決心しました。

           … … …

図書館は,小学校運動場の脇に地味にこじんまりと建っていました。

我が町に立派な市立図書館ができました。

もう7年になります。

総合文化施設の建物でビルの地下,一階,二階が図書館です。
 
地下は利用されなくなった本を格納する書庫です。

一階が子供用絵本,雑誌類,新聞等。

二階は専門書や小説が並んでいます。

その一画に岩波文庫から,小説の文庫まで文庫本の棚があります。

その棚で,いつも空いている一角がありました。

気になって,調べてみますと,佐伯泰英(さえきやすひで)の

時代小説文庫のコーナーでした。

             … … …

経歴を調べると,

1971年より74年までスペインに滞在。

のち、スペインと闘牛を題材にしたノンフィクションや、

スペインや南米など、スペイン語圏を舞台にした冒険小説や

国際謀略小説を中心に良質のミステリー小説を数多く執筆するが、

日本人になじみの薄い土地を舞台にしたせいか思うように売れず、

ヒットに恵まれないまま1998年頃には仕事の依頼が激減。

廃業寸前の窮地に立たされます。

この時、編集者から時代小説か官能小説の執筆を

勧められた(その言葉のニュアンスから、

事実上の廃業勧告に近かった)こともあり、

作家として生き残りを図るべく、時代小説への転身を決断する…とあります。



「密命」残月無想斬りを読んでみました。

豊後相良藩(ぶんごさがらはん)の江戸下屋敷が、

謎の黒装束の一団に襲撃された。

正室麻紀の方(まきのかた)への攻撃もさることながら,

彼女の乳母刀祢(うばとね)への凶刃(きょうじん)は首筋を抉(えぐ)っていた。

なぜ正室ではなく乳母に止(とど)めを? 

吉宗(よしむね)の八代将軍宣下(せんげ)を翌日に控えての一大事件。

藩留守居役の金杉惣三郎(かなすぎそうざぶろう)は、

刀祢の過去を探るうち将軍家をも呑み込む恐るべき陰謀に突き当たった! 

大迫力「密命」シリーズ第二弾!

               … … …

登場人物は

金杉惣三郎(かなすぎ そうざぶろう)

元・豊後相良藩士。「かなくぎ惣三」(字が下手で金釘流であったため)、

「ふぬけ」と馬鹿にされていたが、

実は相良の龍と呼ばれた直心影流の達人で秘剣「寒月霞斬り」の使い手。

六尺を超える長身で、無精髭を生やしている。

藩主の密命により身分を隠して江戸に潜む。

(第一巻)温和・謹直な人物で、名誉や栄達を望まず、

生活も極めて簡素。

前妻あやめとの間に清之助とみわの一男一女

、後妻となるしのとの間に次女結衣をもうける。

金杉清之助(かなすぎ せいのすけ)

金杉惣三郎とあやめ(故人)の長男。第一巻初出時では6歳。

               … … …

この本を読み終わるころには佐伯泰英の「密命」シリーズの

ファンになっていました…。









富田林市・寺内町

2009年09月29日 16時22分59秒 | Weblog


写真説明:写っている古い家屋は,

富田林市寺内町(とんだばやしじないちょう、とんだばやしじないまち)にあります。

江戸時代から昭和初期の町並みを残しています。



富田林寺内町は、戦国時代末期の永禄3年(1560年)、

西本願寺派興正寺第14世・証秀が、

石川西側の河岸段丘の荒芝地を百貫文で購入し、

周辺4ヶ村(中野・新堂・毛人谷(えびたに)・山中田)の「八人衆」の協力で、

芝地の開発、御堂(興正寺別院)の建立、畑・屋敷・町割等を行い、

富田林と改めたことに始まると記されています。

(興正寺御門跡兼帯所由緒書抜)。




富田林市寺内町には,近鉄南大阪線・富田林西口駅下車にあります。

寺内町の歴史の展示館があったり、あちこちに案内板があります。

しかし、寺内町に通っている道が生活道路を兼ねていますので、

交通標識やミラーがあります。

歴史的な建物の中で日常の生活をされているところもあります。

写真を撮るには工夫が要ります。

               … … …



澤田ふじ子の他のシリーズの作品を紹介します。

『足引き寺閻魔帳』です。これも京都市内の物語です。

宣伝文に, 色と欲とが渦巻く世だが、してはならないことがある。

無念の涙、晴らしましょう。願主にかわって誅伐を!

 闇の仕事師、四人と一匹参上。シリーズ第5弾。

一匹とあるのは人の言葉を理解する飼い犬「豪(ごう)」が,大活躍します。

地蔵寺住職 宗徳(そうとく)、

京都西町奉行所同心、蓮根左仲(はすねさちゅう)

与惣次(よそじ)、

扇絵師、お琳(りん)など。

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本屋の店先で平積みの時代小説の本を見ると,

圧倒的に蓬田やすひろの装画が多いです。

               … … …

出版社か、作者の希望か『足引き寺閻魔帳』シリーズでは

装画が深井 國となっています。

本屋で『足引き寺閻魔帳』シリーズを手に取ったとき,

蓬田やすひろ装画の『公事宿事件書留帳』シリーズと

一緒の雰囲気に見えるので、変えたのでしょうか…。

澤田ふじ子作品は上記2シリーズのほかに『祇園社神灯事件簿』、

『高瀬川女船歌』、『土御門家・陰陽事件簿』、

『禁裏御付武士事件簿』と

いずれも京都市内を舞台にした時代劇シリーズがあります。





澤田ふじ子

2009年09月28日 15時35分11秒 | Weblog


写真説明:朝方,組み立てられた地車の試し引きが行われました。

夜になると地車に飾り付けられた提灯に灯りが点ります。

昨夜はその点灯試験もかねて、提灯に灯りが点けられて

駅前広場に各町内からの地車が勢揃いしました。

昔は,蝋燭だったのでしょうが,今、提灯はタングステン電球です。



写真から,提灯の数を数えてみました。

大体,120以上あります。

提灯の電球を仮に40Wとして計算すると,

40W×120=4800W=5KWとなります。

その電源は地車の屋根の上に,発発(はつはつ)

「発動発電機、灯油かガソリンでエンジンを回して、

つながれた発電機で電気を起こす」が置いてあります。

             … … …

一際明るい電球型の蛍光灯を使った地車があります。

タングステン電球に比べて,

能率はいいのですが、伝統の地車に,

色温度の高い蛍光灯の提灯は,どうなのでしょうか。

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澤田 ふじ子(さわだ ふじこ、1946年 - )は愛知県半田市生まれ。

京都市在住。

愛知県立女子大学(現・愛知県立大学)卒業後、高校教師、

西陣織工等の勤めを経て、1973年作家デビュー。

以後、時代小説を中心として数々のシリーズを発表している。とあります。

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恵比寿町火事(公事宿事件書留帳)

公事宿の居候・田村菊太郎が前代未聞の前言撤回。

その言葉を引き出した義賊の天晴れな心意気とは? 

金や権力では計れない人間の価値を問う6編を収録した、

時代小説シリーズ第8弾。


登場人物

田村菊太郎…京都東町奉行所同心組頭の家の長男に生まれながら,

妾腹のため腹違いの弟に家督を譲ろうと出奔した過去を持つ,

公事宿(くじやど…現在でいう弁護士事務所兼宿泊施設)に

居候をしながら、数々のじけんを解決する。

お信…菊太郎の恋人。

鯉屋源十郎…公事宿「鯉屋」の主。

田村鉄蔵…京都東町奉行所同心組頭。

              … … …

京都在住の作家ですから,舞台は京都市内です。


公事宿がずらっと並ぶ大宮姉小路(おおみやあねこうじ)の界隈でも…

菊太郎は空高く飛ぶ鴉を仰ぎながら,川端道に姿を現した…。

南に行けばすぐに三条大橋だが…。

などの記述に,電車であちこち歩き回った私には,

それぞの地名(町名)の場所は分かっています。

物語の距離感が手に取るように分かります。

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装画は蓬田やすひろです。







「チンチン」電車

2009年09月27日 17時45分41秒 | Weblog


写真説明:1年ぶりに蔵から引き出された地車(だんじり)は

組み立てられて,試し引きが行われました。

太鼓連も乗り込んで,ドンドン祭り囃子を響かせて町をゆきます。




                … … …

私の生まれは,京都市左京区下鴨下川原町(しもがもしもがわらちょう)でした。

近くの下鴨神社(世界遺産になってしまいました)の

広い境内が遊び場所でした。

下鴨神社の裏に,幼稚園はありました。

小学校は近くの下鴨小学校でした。



昭和16年12月8日に大東亜戦争が始まり,戦時体制になっていきます。

小学3年の夏,父親の仕事の関係で満州に家族で渡ります。

             … … …

艦砲射撃で焼け野原になった浜松の親戚を頼って満州から引き揚げてきました。

下鴨神社の裏にしばらくして帰ってきました。

私は中学3年生から京都で生活が始まりました。

京都はアメリカの空襲がなかったので,

渡満前の京都がそのまま残っていました。

私の満州時代は夢のように感じました。

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京都は無傷なので,市内電車は残っています。

高校時代,学校の帰りに,気が向くと乗ったことのない系統の市電に

乗って終点まで行きます。

そして終点から乗った所へ帰ってくる。

その系統を覚えるということを繰り返していました。

京都市内の大体の地図が頭にはいりました。

初めての系統の市電に乗るときは,どこへ行くのか方向が分かりません。

電車は線路の通りに走りますから,交差点で,

左に曲がるのかまっすぐに行くとかが分かります。

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世の中が進んで,モータリゼーション時代になって、

京都から市電が撤去されました。

市バスが交通手段になってしまいました。

市バスは市内をどう走るのか分かりにくいのと、

新しい系統の市バスに乗って終点まで行く情熱が沸きませんでした。

東京や大阪も市電が撤去されました。




京都の場合,日本で一番古い市電として,線路は狭軌で、

京都駅前西側→西洞院→堀川通→北野天満宮前までの

「チンテン」電車まで撤去してしまったのは、残念です。

大阪万博後、テーマパーク化した京都の観光の目玉が少なくなりました。


この「ちんちん」電車は,名古屋の明治村で満員の乗客を乗せて、元気に走っています。


写真の電車の屋根にビューゲルがついていますが,

もとは下の写真のように2本のポールでした。

京都の市電は全線2本のポールで集電していました。





時代小説の話を書こうと思っていましたのに,脱線してし舞いました…。











蓬田やすひろ

2009年09月26日 16時26分14秒 | Weblog


イラスト,挿絵について…,

私の少年雑誌の思い出は小松崎茂(こまつざき・しげる)の

挿絵から始まります。

空想科学物語の未来を想像した絵画に胸を躍らせました。

           … … …

タミヤ、今井科学などからプラモデルが発売されました。

プラモデルのパーツの入った箱に小松崎茂の絵が印刷されていました。

小松崎茂の戦車や戦闘機などの完成予想図は大迫力でした…。



吉川英治,川口松太郎の新聞小説に,岩田専太郎(いわたせんたろう)の

挿絵がありました。

新聞小説は毎日掲載されます。

毎日の岩田専太郎の挿絵が楽しみでした。

岩田専太郎の画風は魅力的な美人画です。

しかし、描かれる美人の笑顔はありませんでした。

笑わない美人画といわれていたようでした…。



真鍋博(まなべ・ひろし)。早川書房からの

推理小説雑誌「E,Q,M,M(エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン)」で

見るようになりました。

当時,世界の将来,未来は,希望に燃えたバラ色のイメージ

でしたから,緻密で夢のある絵画でした。

             … … …

39年前に開催された「大阪万博」のポスターで大活躍でした。

万博のテレビの特別番組のタイトルバックを依頼したことがありました。

当方の希望に添って実に丁寧なもので、大きな紙に,

緻密なイラストはなんとも迫力のあるものでした。

当時想像していた世界の将来は、どうやらバラ色ではなさそうですが…。





蓬田ひろやす(よもぎだ)は平岩弓枝や澤田ふじ子の

時代小説を読むようになって、気になりだしました。

「オール読物」に連載中の平岩弓枝著「新・御宿かわせみ」の白黒の挿絵も好きです。



単行本になったときの色彩画も好きです,

                 … … …

見取り図のように、直線で構成された家屋に

人物が配してある構図は大好きです。







プリズン・トリック

2009年09月25日 16時28分10秒 | Weblog


今年の第55回(2009年)江戸川乱歩賞受賞作品『プリズントリック』を

読み終えました。

久しぶりの謎解き本格派の小説でした。

乱歩賞応募のとき、題名『三十九条の過失』だったのを、

刊行時に『プリズン・トリック』となりました。

この改題で本屋の店先で中身が何となく見えてきます。

著者紹介〈遠藤武文〉1966年長野県生まれ。

早稲田大学政治経済学部卒業。広告代理店、郷土史出版社を経て、

損害保険会社勤務。

初めて書いた小説「プリズン・トリック」で第55回江戸川乱歩賞を受賞。

               … … …

装幀は岡孝治で、「だまし絵」が使われています。



頭から一言一句、注意して読んでゆきました。

内容紹介文には、

交通刑務所で発見された「前へ倣え」姿の遺体。

逃走した受刑者を追う県警が知る意外な事実とは…。

鉄壁のトリックを見破れるか? 

刑務所内での密室殺人を描いた社会派推理小説。

            … … …

こんなトリックがあるのか優れた 着想です。




52年前、『猫は知っていた』仁木悦子著以来、

乱歩賞を毎年読み続けています。

神戸を舞台にした『枯れ草の根』陳舜臣著は受賞後、

歴史小説を多く出しています。

『高層の死角』森村誠一著は『人間の証明』、

『野性の証明』で大活躍です。

『猿丸幻視行』の井沢元彦は『逆説の日本史』シリーズで大活躍。

西村京太郎は社会派『天使の傷痕』の受賞から一転。

十津川警部,亀井刑事のコンビが大活躍するトラベルミステリーでビックリ。

このトラベルミステリーをテレビ映画でよく見ました。

江戸川乱歩賞,受賞をきっかけに,作家生活に入る人が大勢います。



サントリー,文藝春秋などから『サントリー・ミステリー・大賞』が

一時ありました。

『キャッツアイころがった』の黒川博行が大賞受賞後、

軌道に乗って精力的に活躍します。

彼は関西出身で舞台は大阪市内のなんば、大正橋界隈から,

富田林などが主です。

出てくる刑事連のやり取りが大阪弁で愉快です。





御宿かわせみ

2009年09月24日 16時48分56秒 | Weblog


平岩弓枝の作品を読むことにしました。

テレビドラマでも「ありがとう」、平岩弓枝の作品をよく見ました。


御宿かわせみの途中の巻(題名を忘れました)から読み始めました。

例によって,バックナンバーを次々、読み進みました。

最初は毎日新聞社発行の「江戸の子守唄」「水郷から来た女」に

たどり着きました。

「サンデー毎日」に連載されていたようです。



ストーリーは大川端の旅籠,かわせみを

経営する美貌の主人るいと

神林通之進の弟で居候している美男で剣の達人、東吾は、

相思相愛です。

東吾はるいの、かわせみへ通います。



日本中に女性フアンも多く,ストーリーに事件が起こると,

それに対するファンレターが届くと,

平岩弓枝のエッセーで読みました。

               … … …

東吾,るいを取り巻く人物に,

畝源三郎、新妻の千絵,など大勢絡みます。

平岩弓枝にとって,大河小説と言われるほど

長いストーリーに発展しました。

脇役,畝源三郎が 千絵と祝言を挙げる巻が出版されると,

作者へお祝いが届いたようです。

畝源三郎・千絵が結婚すると,源太郎,千代の二人が誕生します。

また、ファンからお祝いが届きます。

そのうち、ファンは生まれた子供の年齢が気になります。

今は,何ヶ月,七五三のお祝いが近いとか,

子供の年齢を数えると,親の年齢も気になります。

             … … …

御宿かわせみの登場人物がそれぞれ祝言を挙げて,

子供が生まれるところから、小説のヒーロー、ヒロインは

年齢を重ねることになります。

やがて,明治維新あたりで御宿かわせみのストーリーは終わります。




この本の装画は蓬田(よもぎだ)やすひろです。

彼は引っ張りだこでほかの時代劇の文庫本から、

ハードカバーまで本屋の店先でよく見かけます。

               … … …

「御宿かわせみ」の終わりの近くで,ストーリーに追いつきました。

文藝春秋の月刊誌「オール読物」の後の頁に連載されていて,

毎号が楽しみでした。

挿絵の蓬田やすひろの白黒の絵も楽しみでした。

平岩弓枝の「御宿かわせみ」にはよく似合う装画で,雰囲気もぴったりです。

平岩弓枝は1年ほど休んでから「新・御宿かわせみ」となって再開されています。

             … … …


http://www.ne.jp/asahi/on-yado/kawasemi/


内田康夫の浅見光彦が魅力的な女性から

ひたすら逃げるのもわかります。

いつまでも独身でいれば、ヒーローは歳をとりません。

あのジェームズ・ボンドも結婚しませんでした。


池波正太郎

2009年09月23日 17時49分34秒 | Weblog


長い間,翻訳の推理小説,冒険小説,スパイ小説を愛読していました。

翻訳物は,小説に登場する人物のカタカナの名前が,

エリザベスが途中からリズと変わっていたりします。

それに慣れなくてはなりません。

それで登場人物をすべて日本名にした小説がありました。




明治時代のジャーナリスト,作家,翻訳者の黒岩涙香(くろいわるいこう)が

アレクサンドル・デュマの『モンテクリスト伯』に登場する人物を

日本名にして翻案した有名な作品『巌窟王』がありました。


               … … …

パトリック・クェンティンの『二人の妻を持つ男』の名作がありました。

ニューヨークとサンフランシスコにそれぞれ嫁さんがいて

夫はその二人の間を行ったりする話です。

それが邦画に翻案されました。日本では東京と大阪でした。

二人の妻は,若尾文子と岡田茉莉子が演じていました。

なかなか熱演で好感の持てる映画でした。

しかし、ニューヨーク→サンフランシスコと

東京→大阪の距離感、スケールの違いは何ともなりません。

海外の作品の翻訳はできても翻案は難しいものですね。

また、舶来のスパイ小説は,華々しい東西冷戦のスケールに

日本の小説は太刀打ちできません。

東西冷戦も終わって多くのスパイ作家が廃業宣言した機会もありまして

私は日本ものに転向しました。

舶来の小説は華々しいストーリーの展開はスゴイのですが、

登場人物同士の心のヒダというか、行間の味わいがもの足りませんでした。



邦文小説の登場人物名は,小兵衛、大治郎、三冬,おはる、

…中村主水、梅安,など覚えやすいです。

池波正太郎の作品は、『その男』から 『人斬り半次郎』と読んでいきました。

長編小説も数十ページ毎に、小さな山場を作って,

読者を最後まで引っ張っていきます。

目まぐるしく場面が変わる作品とは違って、

少ない場面で山場を作っていく技術は、スゴイです。

島田正吾・辰巳柳太郎の劇団『新国劇』の

座付き作者だったことが分かります。

この『新国劇』の立ち回りの舞台は迫力があリました。

女優陣が少し寂しかったです。

『味と映画の歳時記』『銀座日記』など、エッセーも素晴らしい。

グルメの本も執筆していますが,そのエッセーに挿入される

すばらしい挿絵も池波正太郎の自作です。






:剣客商売

2009年09月22日 16時10分42秒 | Weblog


 生前、母親は,中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳(おにへいはんかちょう)」の

テレビ映画を毎週欠かさず見ていました。

吉右衛門のファンでした。

私も時々,話を合わせるためによく見ていました。

私は密偵役の江戸屋猫八が好きでした。

少し暗いナイトシーンに江戸情緒が感じられる雰囲気が好きでした。




平凡で明るいライトのナイトシーン、

若い俳優さんの侍姿の出演する時代劇,

学芸会のような演技のテレビの時代劇があります。

これには閉口します。

                 … … …

池波正太郎作品を読むことにしたのですが,

「鬼平…」はテレビで先に見てしまったので、

何にしようか迷っていました。

翻訳家の常盤新平氏がエッセーでよく話題にしていた

「剣客商売(けんかくしょうばい)」にしました。




「剣客商売」の登場人物は,

剣の達人の秋山小兵衛は若い後妻

おはると隠居暮らしをしています。

おはるの漕ぐ舟で大川を渡ります。

息子大治郎、

佐々木三冬は美貌の女剣士です。

大冶郎の嫁になります。


剣客商売もバックナンバーで読み切りました…。



テレビ映画では,藤田まことの秋山小兵衛を見ました。

藤田まことの当たり芸はなんといっても「必殺…」です。

原作は「仕事人・藤枝梅安」らしいのですが…。

テレビ映画「必殺…」のナイトシーンは、

黒がよく締まっていて,綺麗な画面でした。

針医師の梅安の裏家業は金で人でなしを抹殺する、

仕掛人 (殺し屋)の話です。

原作の梅安ものは4冊ぐらいですから、映画では話を膨らませたのでしょう。

原作では、梅安一行は,東海道を大阪と江戸を往復する話があります。


昔の老若男女は、健脚で元気です…。



エラリー・クイーン・ミステリ・マガジン

2009年09月21日 17時36分48秒 | Weblog


図書館の雑誌棚に懐かしい雑誌があります。

「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」です。

米国の雑誌「E,Q,M,M」「エラリー・クイーン・ミステリー・マガジン」が

早川書房から出ていました。

この雑誌を創刊号からしばらく読みました。

いつの間にか離れてしまいました…。



その後、契約が切れたのか「エラリー・クイーン」がとれて

「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」なったのでしょうか…。

「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」は「E,Q,M,M」と雰囲気が一緒です。

             … … …

E,Q,M,Mのコラムが好きでした。

ある号に,テレビ番組で,VTR撮りのNGカットを集めて

放送して大ヒットを飛ばす…。

イアン・フレミングの「ドクター・ノオ」をなぜ映画化しないか

…とありました。

その後、テレビ局はNG特集の番組を作ります。

フレミングの「ドクター・ノオ」は英国で映画化されて「007は殺しの番号」の

邦題で日本はもとより世界中で大ヒットします。

先見の明のある面白く鋭い意見が出ていました…。




戦後,アメリカの「トルー・ストーリー」、「リーダース・ダイジェスト」、

「ポピュラー・サイエンス」などが翻訳されて出版されました。

なかでも「リーダース・ダイジェスト」は発売日に書店に

行列ができると噂がありました。

「ポピュラー・サイエンス」に自動車メーカーのフォードが

流体クラッチを搭載した乗用車が…という記事をかすかに覚えています。

その後に,「E,Q,M,M」が翻訳されて出版されます。

あとで直木賞作家になる翻訳家、常盤新平氏が

「E,Q,M,M」の編集長でした。

                … … …

彼の翻訳した推理小説もよく読みました。

彼のエッセーやコラムで傾倒している池波正太郎の話が

たびたび出てきます。

池波正太郎を読むことにしました…。