■■【経営コンサルタントの発見・発想】見えないコトが、見える人<3>
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★★ お客様の「望んでいること」が分かればいいのに・・・
★★ でも何もしていない、うまくできていない、どうすれば?
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前回は「お客様を観察する」「自分でお客様になってみる」というお話をしました。今回も「観察」という言葉を使って、その続きをお話します。
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◆◆ 「人」を感じるということ
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ここで言う「観察」とは「人中心」の視点で行うことで、「モノ中心」ではありません。店舗の商品がどう優れているか、機能を持っているか、形やデザインがどうか、陳列の仕方がどうか、などを優先しません。商品を購入したりサービスを受ける時、人がどういう気持ちなのか、購入した結果どういう気持ちになるのか、ということに焦点を当てます。
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私は長年IT業界で、パッケージ型ソフトウェア(予め開発済みの状態で、容易な設定によりすぐに利用できるソフトウェア)の販売や導入のビジネスに従事していました。商品のソフトウェアを紹介し提案していた時のことを振返ると、内容のほとんどはその豊富な機能、新機能、他社との違い、価格、導入実績などを強調していました。つまり「モノありき」だったのです。
あるお客様から、こう言われました。「そのソフトウェアの機能が優れているという説明は、自動車で言えばいかにすごいエンジンを開発して積んでいるか、すごい馬力が出るか、ということでしょう。我々はその車に乗って走った時、何を感じ、何が見えるか、何が起こるか、変わるか、ということを知りたい・・・」 私は心臓に痛みがあるくらい大きなショックを受けました!
まさに「人の経験」ということ!それをこの例で学びました。皆様も自社のサービスや商品に対して、お客様やユーザーがどういう気持ちを持つかという視点で観察してみてください。
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◆◆ 「感情」はどこから生まれるか?
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ところで人の感情はどんな仕組みから、どう生まれてくるのでしょう?それは目に見えないので捉えるのが困難です。人の気持ち(感情)というのは「刺激」「関心」がベースになっているという、オランダの学者の説を聞いたことがあります。そこにその人の「価値観」が加わって感情が生まれる、そういう構造のようです。
自社のサービスや製品に「刺激」「関心」「価値観」という要素があれば、接する人の「感情」を生み出すことに繋がるでしょう。その「感情」を伴ったコトが、人に「経験」を記憶させます。
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◆◆ 「経験」の見える化!?
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「観察」にはいくつかコツがありますが、その一つに「経験を見える化する」ということがあります。お客様や店員の観察結果、自分がお客様になった経験を文字や絵で表すのです。
これはなかなか一般的に行われていないと思いますので、ピンとこないかもしれませんが、一つの方法として、色分けしたポストイットにあらゆる「状況」「経験や感情」「疑問」等、見たことを書き出し、並べてみましょう。状況を大まかに捉えることは容易なので、見過ごしがちなより細かい事実を書き出すよう努めましょう。
集めた情報に簡単な図や線も加えてみましょう。決まったやり方はないので、自在に平面、空間、流れを意識しながらまとめてみるのです。人の感情を表すことがポイントです。たくさんのポストイットを俯瞰していると、意外なかたまり(グループ)に気づくことがあります。喜び、驚き、不満、不便というグループや、自社固有の特徴などを発見しましょう。
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一例で、私があるドラッグストアに来店して出てくるまでの「気持」を、線を使って図にしたものを載せます。(ポストイット、コメントは省略)
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◆◆ 「発見」から「発想」へのステップ
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改めて、キーワードは「行動観察」「顧客経験」。収集した「事実」や「疑問」がどういう「意味」を持つかを、より深くより細かく掘り下げていくと、発見したことが次の発想へ繋がります。
コツの追加として、統計のようにより多くデータ収集するというのではなく、少人数を「人中心」視点でより深く観察します。更にインタビューができればもっと効果的です。
次回<その4>へ続きます。手間や費用をできるだけかけないで、独自にすぐにでも始めてみましょう。「観察」から始める、新価値(サービス)発見・発想の活動を。当ストーリーは、ご自分の、または御社の今後を左右する「気づき」と「発見の習慣」が生まれることを狙っています。
筆者
【 山成充高 氏 プロフィール 】 (Mitsutaka Yamanari)
マーケティングや経営の創造性向上を重視し、IT基幹システム開発・導入の経験や実積を活かして、社内に蓄積された「知」を新分野のビジネスに結びつけるコンサルティングを実施。企業のサービスを、顧客・社員の「動き」「心理」「経験」から面や空間で見直し、新価値創造を狙う「コトづくりのデザイン」を支援している。
ユー・ビー・コンサルティング代表
HP: www.ubctrust.biz