経営コンサルタントへの道

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】411 資本主義の終わりの始まり

2020-07-15 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】411  資本主義の終わりの始まり

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

     今日のおすすめ

 

 『資本主義の終焉と歴史の危機』(著者:水野 和夫 集英社新書)

 

      世界史上稀な、日本の長期ゼロ金利政策から何を読み取れるか(はじめに)

 

 日本のゼロ金利政策は1997年に始まりました。当時10年国債の利回りは初めて2%を下回り、2014年10月末現在では、0,4666%です。さらにアメリカ、イギリス、ドイツの10年国債も金融危機後一時2%を下回り、短期金利の世界では事実上ゼロ金利が実現しています。

 この低金利の要因として、①事業投資の機会を見出せていない、②エネルギー・資源等の制約と新興国の近代化による資源価格の高騰により、交易条件が悪化し利潤率が低下している、③投資が向う「物理的・地理的空間」(大航海時代の新しい市場の発見が典型例)や「電子・金融空間」(アメリカにおける銀行・証券の兼業解禁による投資マネーの拡大が典型例)に限界が来つつある等を著者は挙げている。

 それではこれらの現象をどのように読み取るべきか。著者は、経済には「中心」(例えば植民地時代の宗主国)と「周辺」(例えば植民地時代の植民地)が常に存在し、かつ経済成長には「周辺」の存在が必要と説く。20世紀末までは、「中心」=北の先進国、「周辺」=南の途上国という位置づけで経済成長を遂げてきた。しかし21世紀に入ると、BRICSの台頭で、かつての「周辺」がなくなり、新たな「周辺」を作る必要が出てきた。その新たな「周辺」を作った結果が、サブプライム問題、ギリシャ・キプロス危機、日本の非正規社員化問題だと主張するのです。

 この現象を著者は、資本主義が臨界点に達していると捉えるのです。

 

    資本主義を歴史から解き明かす

 

【資本主義はいつが起点か】

 資本主義の起点はヨーロッパにあります。資本主義の始まりについては、1213世紀説、1516世紀説、18世紀説があります。

 有名なマックス・ウェーバーの「資本主義の倫理と資本主義の精神」は、宗教改革、特にカルヴァン主義が資本主義の発生に大きな影響を及ぼしていると説いています。その意味では18世紀説に属するのでしょう。

 1516世紀説は所謂「大航海時代」において、ポルトガル、スペインを中心とした国家が行った「海賊資本主義」という説です。

 しかし、著者は次の二つの歴史的事実を採り上げ、1213世紀説を支持します。

 一つは、1215年のラテラノ公会議(キリスト教会の公会議)において、利子が事実上容認されました。これと時期を同じくして、イタリアのフィレンツェに資本家が登場し、金融が発達し始めるのです。この様な背景と相俟って、「利子」が、事実上容認されていったのです。

 二つは、1158年神聖ローマ帝国がボローニャ大学の自治権を認め、これに続きローマ教皇庁も13世紀のはじめに「中世大学」の認定を行った。「知」の神から人間への解放が行われ、資本主義を支える知識が一般に普及し、資本主義を支える要因になったと指摘をします。

 

【資本主義の出現する前はどんな時代であったか】

 著者は、ヨーロッパの歴史は「蒐集(コレクション)」の歴史だとします。興味を引く定義です。ヨーロッパ発の「蒐集」はノアの箱舟に始まるとします。それ以降資本主義が起こるまでのヨーロッパの歴史は、中世キリスト教による魂の「蒐集」を行ってきたとします。中世に対し、近代資本主義はモノの「蒐集」を行ったとします。

 この中世までの時代は、農業中心の原始社会、著者の言うところの経済がゼロ成長の「定常状態社会」だったのです。

 

【資本主義はどのように発展したか】

 資本主義の始まりを著者の言う1213世紀とするならば、当時のヨーロッパ社会全体は未だ過去の体制をひきずり乍ら、フィレンツェ等の都市国家で、少しずつ資本主義への道を歩み始めました。著者はこれを「文明社会」と位置づけ、「近代社会」への過渡期としています。

 次にくる「近代社会」では、爆発期といわれる経済成長が起こります。まずは、大陸発見に始まる「大航海時代」です。最初は、スペイン、ポルトガルといった国が、アフリカ、ブラジル、インカ帝国などの南アメリカ、インド、フィリピン等を征服し領土を広げます。征服した国からの略奪や、交易等により富を蓄えていきます。

 つぎに、ヨーロッパ史における大きなターニングポイントとなる史実が起きます。それは16世紀から17世紀にかけて、「陸の国」(軍事力による領土、すなわち農産物を「蒐集」)であるスペインが、「海の国」(海洋貿易=市場を通じて物質的〈資源等〉なもの、最終的には利潤を「蒐集」)イギリスにより敗れるのです。スペインの象徴的な軍事力である「無敵艦隊」が負けるのです。この少し後イギリスのピューリタンが、メイフラワー号でアメリカに渡り、150年後の1776年にアメリカは独立し「海の国」への歩みを進めます。こうしてヨーロッパの覇権は「陸の国」から「海の国」へと移り、英米の繁栄への時代へと移っていくのです。

 一方ドイツ、フランスは、第二次大戦後「陸の国」として、EU帝国の拡大により繁栄への道を作ります。

 日本も、第二次大戦後は、アメリカの流れの中で、「海の国」としての繁栄への道を作ります。

 著者の言う「爆発期」は1970年まで続きます。

 

【今は、未来社会に向う前の資本主義の終焉期である「現代社会」】

 著者は、1970年まで順調に成長して来た資本主義も終焉期に入ったとします。先に述べましたように、嘗ては「周辺」であった新興国が経済成長を遂げつつあり、先進国の交易条件の悪化による利潤率の低下など、日本も含めた先進資本主義国は、国債の利率に象徴されるように、資本主義の限界に達しつつあるとします。

 ゼロ金利政策の結果として、バブルの発生と崩壊にも脅かされています。

 この「現代社会」を、著者は資本主義の終わりの始まりと表現しています。では、未来社会とはどのような経済社会なのでしょうか。

 

      これからの時代をどのように読むべきか(むすび)

 紹介本は、未来社会は「定常状態社会」と説きます。一つの考えとしては肯けますが、本当にそうだろうかと疑問も湧いてきます。いずれにしても大変難しい局面にあることは理解できます。この紹介本で挙げられた問題に加えて、もう一つ大きな問題があります。それは、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、生産年齢人口(1564歳)が、2010年は8,173万人でしたが、50年後の2060年には4,418万人と45%減少し、老年人口(65歳以上)は、2010年の2,948万人から2030年には3,685万人、そして2060年には3,464万人と横這いが続くとしていることです。

 この様な大きな問題を意識したとき、先行きをどのように読み、どのように対処すべきでしょうか。先ずは、先行きを「不確実性」と捉える、経営者の姿勢、組織の緊張感が大切なのではないでしょうか。「持続可能な発展」と「イノベーションにより、グローバルな市場で勝てる、製品、サービスを生み出していく」を課題として達成しながら、その時その時、先を見た経営をし、新たな手を打っていくことではないでしょうか。

 いずれにしても、難しい時代に置かれていることを認識させてくれた紹介本でした。

 

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■【経営士ブログ】2-9 日本経営士協会 入会・資格取得の審査結果発表と承認後の手続

2020-07-15 11:44:52 | 【専門業】 経営コンサルタント成功法

【経営士ブログ】2-9 日本経営士協会 入会・資格取得の審査結果発表と承認後の手続

 


 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
 プロのコンサルタント集団であるとともに、プロのコンサルタントを育成する団体でもあります。
 経営やコンサルティングに関する情報はもちろんのこと、その他のジャンルについてもお届けします。
 経営やコンサルティングの参考にされたり、話材の一つとしてお使いくださったりしてくださると幸いです。

 

審査結果発表と承認後の手続

 

 めでたく入会・資格取得が認められましたら、次の手続を一か月以内に完了してください。


■ 発表と手続


 当協会で所定の手順に基づき書類審査が行われ、その後に入会可否通知をいたします。

  入会が許可された方は、当協会が定める入会手続き及び指定口座への送金を速やかに行って下さい。 入金が確認されますと、当協会より会員証などが送付されます。

 通常、入会申込書が入会・昇格審査会に届いてから、約一か月ほどで入会可否通知が届きます。ただし、学科試験審査の場合には、所定のスケジュールにより合否発表がなされます。

 

 入会手続書類の送付方法


 下記の手順で必要書類をお送りください。

■ 郵送

 提出する書類
  ・入会申込書
  ・写真
  ・身分証明書

上記を封筒に同封し、宛先名の脇に「申請書類」と朱書きし、(簡易)書留郵便で下記宛にお送りください。

  〒112-0004 東京都文京区後楽 2-3-10 白王ビル4F
  (特)日本経営士協会 入会・資格審査会

■ E-Mail

 入会申込書をデジタル(Excel)で作成し、E-Mailに添付して送信することも可能です。この場合、写真のデジタルデータを所定欄に貼り付けてください。
 ただし、入会申込書をE-Mailで送信する場合でも、身分証明書と写真2枚は上記宛に郵送してください。

  >> 「日本経営士協会 入会・資格審査会」

E-Mailで送信する際に、

  ・件名:入会申込書の配信
  ・宛先(to):入会・資格審査委員会
  ・差出人氏名
  ・送信案内(送信の際の通信文)
  ・差出人の連絡先(住所・電話番号など)

をE-Mailに明記して下さる様お願い致します。

 

■ 入会後の講習・研修と活動


 入会手続き完了後、当協会が開催する所定の講習・研修を受講してください。専門分野により一部の科目が受講免除になりますので、詳細は講習会申し込み時にご確認ください。

  入会後の講習会としてのオリエンテーションと科目別の講習会。・研修会とがあります。いずれも随時開催されています。

    オリエンテーション   

 オリエンテーションは、原則として入会後の直近に開催されるものを受講して下さい。

 万一受講出来ない場合には、入会後一年以内に開催されるオリエンテーションを受講して下さい。

 オリエンテーションは、オンサイト受講が原則ですが、ウェブサイトによるオリエンテーションが開催されることがあります。そちらの受講でも同等の扱いとなります。

   >> オリエンテーション


    講習会   

  講習会は、協会本部が主催する基礎科目が対象となります。

  • 経営管理
  • 財務会計
  • コンサルティング技術
  • 営業・マーケティング
  • 人事労務総務
  • 製造・開発・資材
  • 経営情報
  • 経営法務

 上記の太字の科目を「基礎4科目」と呼び、初級と中級とに別れています。受講時に単位が付与されますが、この単位数が昇格時に重要となります。

 基礎4科目は、受講が必須となっています。ただし、ご自身の専門分野の場合、受講免除申請が認められますと、受講の必要はありません。

  >> 基礎4科目講習



    研修会・講演会   

 研修会とは、コンサルティングや経営、その他のテーマで、協会本部・支部その他が開催する講座です。

 講演会とは、当協会が、社会貢献の一環として開催する公開講座をさします。

 研修会や講演会の中には「みなし講習会」と記載された研修会が含まれています。みなし講習会も、講習会受講と同様に単位取得ができます。

  >> 研修会・講演会

 

    その他   

 上記以外にも、入会後に関する情報は、下記や会員専用サイトに掲載されています。

  >> 入会後の実力養成と昇格・資格取得
  >> 会員専用サイト

【 注 】
 会員専用サイトを閲覧するには、入会関連資料に含まれる書類に記載されているパスワードが必要です。パスワードは定期的に変更になりますので、直近の書類をキチンと保管するようお願いします。これは他の人に見られないように管理して下さい。

 

 

 

  

 経営コンサルタントの資格制度  .

 入会時の会員種の決め方  .

 入会・資格取得するには

 入会に必要な書類

 経営者・管理職等が入会・資格取得するには

 コンサルティング経験者の特例

 入会・資格取得の諸費用

 審査結果発表と承認後の手続

 入会手続き後の準備

 経営コンサルタントへの道

 



 経営者・管理職の皆様 コンサルタントの先生方
イメージ 16 日本最古の経営コンサルタント団体・日本経営士協会とは
 
イメージ 17 資格取得についてや入会の手続等
 
イメージ 18 コンサルタントへの依頼、講師捜しに関する情報
 
イメージ 19 コンサルタントとして成功するための各種情報
 
イメージ 20 経営や管理などに関する各種有益情報
 
イメージ 21 経営コンサルタントによるセミナー
 
イメージ 22 お問い合わせや入会・資格取得のお申し込み
 
イメージ 23 会員専用のID/パスワードが必要です
 
 
 

 

 

 


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■■【心de経営】 論語講義に学ぶ経営15  以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべし 泰伯第八-六 190 28

2020-07-15 10:36:16 | ◇経営特訓教室

■■【心de経営】 論語講義に学ぶ経営15  以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべし 泰伯第八-六 190 28


 【心de経営】は、「経営は心deするもの」という意味になります。それとともにフランス語の前置詞であります「de(英語のof)」を活かしますと、「経営の心」すなわち、経営管理として、あるいは経営コンサルタントとして、企業経営をどの様にすべきか、経営の真髄を、筆者の体験を通じた内容をお届けします。

【筆者紹介】 特定非営利活動法人日本経営士協会理事長 藤原 久子 氏

 北海道札幌市出身、平成元年7月に財務の記帳代行業務並びに経理事務員の人材派遣業の会社を設立し代表取締役として現在に至っています。
 平素、自社において、従業員満足・顧客満足・地域貢献企業を目指し、ワーク・ライフ・バランスを重視した経営に心がけています。
 一方、自社における経験をもとに、経営コンサルタントとしての専門知識を活用しながら、客観的に現状を認識し、問題発見・解決策の提案や業務改善案、経営戦略への提言など、企業の様々な問題の共有を図りながらアドバイスをしています。

 ←クリック

 

 混濁した世の中を生き抜く術・視点は何処にあるのかを私なりにお伝えする事ができればと願いつつ、企業経営の心髄に論語の精神が重なっている事に気付かされ、渋沢栄一に共鳴し、論語が愛読書の一つとなっています。

 中国、戦国時代の思想書「大学」におきましては、治国平天下(治国平天下:国を治め天下を平和に保つ事)の方が主体でありますが、私の論語への想いは、論語は個人的規範が主体になっています。

 そのことから自らの修養の為に論語を学んでゆくのが最適であると考えたのです。何時の時代にあっても、また時代の変化の中でも、いわゆる不倒翁(「起き上がりこぼし」と同意として行き抜いて人間の持っていた、自らの修養と経験に基づくものが、企業経営をしてゆく上で極めて重要であると確信しています。

 ここでご紹介する渋沢栄一の生涯は『論語』との出会いにあります。「明治維新を作った徳川時代的教養とはどういうものであったのでしょうか。徳川時代は、一般的な民においても職字率が非常に高く、当時の世界的水準ではトップではなかったかと言われております。『雨夜譚』をみますと、6歳のときに父の市郎右衛門から教育を受けていたとあります。

 その前の5歳のときから既に文章を読む教養を教えられていて、学ぶという一番基礎を幼児に叩き込まれた渋沢栄一が一番親しんだのは、論語でした。7歳の頃に読み始め亡くなるまで読み続けていた渋沢栄一は、84才から2年余かけて膨大な『論語講義』を遺しました。この点ではまさに不易(ふえき:いつまでも変わらないこと)です。

■ 渋沢栄一の論語講義 :   泰伯第八-六 190

   以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべし。

   大節に臨んで奪うべからざるなり。

   君子人か、君子人なり。

 

■【読み】

以(もっ)て六尺(りくせき)の孤(こ)を託(かく)すべく、以て百里(ひゃくり)の命(めい)を寄(よ)すべし大節に臨んで奪うべからざるなり。君子人か、君子人なり。

「六尺の孤」 15歳以下の幼少の者、幼少の君
「百里の命」 百里を治める大国の政令。すなわち一国の政治
「大節」    国家の大事変。あるいは生死存亡に関する大事。
「奪う」    志を奪う

【口語訳】

曾子曰く、安心して未成年の孤児の君主を預けられ、一国の政治を任されて疑われない。重大な瀬戸際に立たされた時も日頃の信念を変えない。そういう人があったら、才徳を兼備した君子人と言えようか。確かに君子人だ。


【解説に出て来るキーワード】

 慶喜の末弟の(徳川)昭武の随員としてフランスへ渋沢栄一は、徳川昭武に随行したとき「以(もっ)て六尺(りくせき)の孤(こ)を託(かく)すべく、以て百里(ひゃくり)の命(めい)を寄(よ)すべし」との心構えて臨んでいたと『論語講義』で述懐している。

 フランスに着いてから幾何もなく、日本には慶喜公がいよいよ大政を奉還せられ、天朝ご親政となり、民部公子随行者の大半は呼び返されたので、偶然にも余一人が公子の万般のお世話をせねばならぬことになった。ここにおいて六尺の孤をたくされたような気分でその命を全うすることに努めたのである。

 

            参考文献 論語と渋沢栄一 プレジデント社

 

【コメント】

「”幼少の君主に全てを委ねることもできれば、諸侯の政治を任せることもでき、そして大事にあたっては確固たる信念・節操を持ち続けることができます。”その様な人こそ真の君子といえる人です」とここでは説いております。つまり信頼を得られる様に人格を磨くこと、その為に努力をすることが大切だと申しています。

 また孔子の弟子である子張は、理想の人物像を「士は危うきを見て命を致し、得るをみては義を思い、祭りには敬を思い、喪には哀を思う、其れ可ならんのみ」と語っております。これは「立派な人とは、人のピンチに出くわせば命を投げ出し、利益をみてもその前に道義を考え、祭りではうやまうことを考え、葬儀では悲しむ人のことだ」という意味です。

 常に利益よりも道義を考え、いざという時には自分を犠牲する覚悟のもとでその命を全うすることに努めたという、心を緊張せしめたものは道徳の心髄を曲げることなく、誰からも信用される情の深い人間でありたいと思うのです。その上で私達コンサルタントは、とくに信頼関係を構築することが重要です。人としての資質を磨き共に成長していく事が大切であると思うのです。

 日本経営士協会のある会員の言葉に、「老若男女を問わず、環境も関係なく、自分自身が変わろうとする強い意志があれば、次第に変わってゆけるものだ」ということがありました。その実現は、努力があってこそ素晴らしい人間形成へと結びつくことに繋がると思います。誰からも信頼され、尊敬され、物事を安心して委ねることができる人間になりたいものです。

「心で経営」をするにあたって、クライアント様の成長を願うのですが、そこには、誠実で暖かい人間性が求められます。

「宇宙で育てた百日草が、60日で花が咲いた!」と報じられました。現在国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在実験をおこなっている米国宇宙局に所属します飛行士の発表によりますと、2016年1月16日、太陽の光が届かない宇宙で、初めて花が咲いたという報告です。

 2015年11月16日に百日草の種を植え、植物生育の為のLED照明をあてて、水や肥料を与えたりして成長を見守りました。途中で枯れそうになったり、カビが生えたりすることもありしましたが、丁寧な管理のお蔭で、危機を乗り越え1月12日につぼみが膨らみ始め、見事にオレンジ色の一輪が咲いた様子を、私は通勤途上のFMラジオで知らされました。

“宇宙の新しい生命の誕生”です。途中の困難を乗り越え、諦めませんでしたからこそ、美しい花を咲かすことができたのです。このことは何事にも通じることですが、このデータが活かされ、将来的にはISSでのトマト栽培に結びつくようです。

 私達も日々、学び、成長し、それらを蓄積してゆく中で、社会貢献に繋がるような支援をして参りたいと願うものです。

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◆【話材】 昨日のつぶやきの目次とリンク 論語講義に学ぶ経営15  以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべし 

2020-07-15 07:48:50 | ブログ

◆【話材】 昨日のつぶやきの目次とリンク 論語講義に学ぶ経営15  以て六尺の孤を託すべく、以て百里の命を寄すべし 

 

経営コンサルタントとして感じたことを毎日複数のつぶやきをブログでお届けしています。

もし、お見落としがありましたり、昨日のブログで再度読みたいつぶやきがあるというときに便利なページです。

本日の【今日は何の日】も、つぶやき済ですので、そちらもあわせてご覧くださいますと幸いです。

  クリック▶ ■【今日は何の日】7月15日 ■ 山形出羽三山花祭 ■ 磐梯山の大噴火 ■ お中日、盂蘭盆会  一年365日、毎日が何かの日

傘

■ 昨日は、下記のリストのようなことをつぶやきました。

konsarutanto   ◇ 昨日のつぶやき ◇ 

 

 

 

 【カシャリ! ひとり旅】を映像にして紹介しています。

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