日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

野の花

2012年11月16日 | インポート
大村市竹松遺跡の発掘現場での昼休み時間に、その現場周辺に咲いている野の花を摘んで来て見せてくれる人がいる。

お花屋さんに勤めていた事があるというその人は、花の名前について詳しい。

野の花は、見た事はあるがその名前は知らないというのが多い。

私が知っている野の花といえば、ミヤコワスレとナズナぐらいかも。

名前だけ覚えているのは「オオイヌノフグリ」。

フグリというのは○玉袋のことだということで、おもしろいネーミングだったので覚えている。

色々な種類の、きれいな野の花が咲いているものだと教えられる。

お日様の力と、土の養分と、天から降り注ぐ雨による水分によって、ひっそりと野の片隅で、連綿と生を受け継いできた逞しい生命力。

まるで私たちと同じ庶民のように思えて、いとおしく感じる。

私たちが遺跡の発掘作業をやらせてもらっている区域は、いずれ新幹線の施設の下に埋められてしまうのだろう。

だけれども、その区域で生きながらえてきた野の花たちと同種の末裔は、少し離れた所で、ひっそりとその生を受け継いで行くことだろう。

私たち庶民も、それぞれが持っている、取るに足らないかもしれないようなささやかな色を社会の中で表現しながら、ひっそりと咲いて生をまっとうしたいものだ。



豊田一喜