以前ここでレヴューしているエミン・ユルマズさんの「それでも強い日本経済」の続編と言うか最新刊です。
と言っても2020年9月の刊行なので、アメリカ大統領選前。したがって、だれが大統領になるかはまだ分らず、コロナ禍によってトランプが再選は難しいだろうと言うところまででの予測になっています。
とは言っても前作と大きく違う予測はなくて既定方針通りの展開です。ひとことで言えば副題にある通り「米中新冷戦と日本経済の復活」です。
今でこそ米中新冷戦という認識はほぼ定着してるのですけど、ユルマズさんは前作から主張しています。
トランプ政権は一方的な関税引き上げとか規制強化による反中国政策を取り出したのですが、政権内部の一体感は乏しく中国強硬論者も親中国派もいて欧州との協調や連携も図られていなかった。バイデン政権は貿易だけでなく人権問題でも中国と対立し、偶発的な戦争さえ懸念されているのだが、株価的には戦争相場は「買い」。資本は血を吸って肥え太っている。戦争迄は行かなくても中国とアメリカの緊張が高まるとともに中国依存からの脱却が図られるのだが、それは「メイド・イン・ジャパン」への追い風になる。日本としてはチャンスという訳です。
今の中国はほぼすべての周辺国に喧嘩を売っている状態で、金と力で従わせようとしているのですが、過去を知らない若手が最早中国の時代と遠慮なく本音をさらけ出しているのだろう。以前は硬軟織り交ぜた柔軟で巧みな手法を取ってきたのだが、ここへきて言動は完全に硬直化して、今までの中国とは異なる中国になっている。こういった態度の豹変は余裕のなさの裏返しと言えるのだろうか。
ユーロ圏はドイツ経済が強すぎ、それが統一通貨ユーロのため為替での調整ができないと言う不合理を抱えている。ギリシャとかイタリアのユーロ圏脱退が言われているのだが、むしろドイツがユーロを脱退すれば物事はうまく収まると言うのですが、まあ、政治的にはあり得ないでしょうね。
それではブラジル・トルコ・メキシコ・南アフリカなどの新興国はと言うと中所得国の罠にはまっているのではと言う見立て。アフリカ諸国についても思うほど潜在成長率は高くない。しかも先進国からジャブジャブと貸し出されたお金はほとんどは消費に回されインフラ投資に回されたものは少ない。うまく発展した東アジアの国々は新興国のスタンダードではなくて例外と考えなくては。
低成長下でも耐えてきた日本株への関心は高まっていて、30年間眠っていた日本株の夜明けは始まった!と誠に威勢のいい予言。「安心」「安全」「健康」のの日本のストーリーは海外で再評価されてきており、日本の魅力は相対的に上がっている。
日本株をサイクル論で見てみると1990年からの23年余りの調整期間を経て2013年からの40年の上昇期間に入ったとか。その間に過去の例から行けば20倍にはなるので、1万5千円×20で日経平均30万円でもおかしくない。この株高は円高と共に訪れる。
ユルマズさんの予測ではオリンピックまでに日経平均3万円、2025年の大阪万博までには5万円を軽々クリアーするはず。3万円はクリアーしたけど今はまた下がっているのですけど、それならば買い時?個別の銘柄はいろいろ難しいのであれば、銀行や証券会社の口車には乗らず手数料の安い日本株のインデックス投信から始めればいいのでしょう。
第7章以降では会社四季報のコメント欄の見方と評価、どんな割安株があるのか、そして具体的にどういう視点でどのタイミングで投資すべきかも書いてある。投資はあくまで自己責任でなんですけど、逆張り投資に期待の銘板、順張り投資に注目の銘板もそれぞれ30社以上紹介しているので、興味のある人は本を実際に読んで是非研究してみてください。
ところで先日「武器としての資本論」のレヴューを書いていて株式投資のすすめなどと言うのは自己矛盾と言われそうですが、社会の最適行動原理と個人の最適行動原理は違うと言うことで、ミクロの世界ではチマチマと小商いに励んでいこうと思う次第。
と言っても2020年9月の刊行なので、アメリカ大統領選前。したがって、だれが大統領になるかはまだ分らず、コロナ禍によってトランプが再選は難しいだろうと言うところまででの予測になっています。
とは言っても前作と大きく違う予測はなくて既定方針通りの展開です。ひとことで言えば副題にある通り「米中新冷戦と日本経済の復活」です。
今でこそ米中新冷戦という認識はほぼ定着してるのですけど、ユルマズさんは前作から主張しています。
トランプ政権は一方的な関税引き上げとか規制強化による反中国政策を取り出したのですが、政権内部の一体感は乏しく中国強硬論者も親中国派もいて欧州との協調や連携も図られていなかった。バイデン政権は貿易だけでなく人権問題でも中国と対立し、偶発的な戦争さえ懸念されているのだが、株価的には戦争相場は「買い」。資本は血を吸って肥え太っている。戦争迄は行かなくても中国とアメリカの緊張が高まるとともに中国依存からの脱却が図られるのだが、それは「メイド・イン・ジャパン」への追い風になる。日本としてはチャンスという訳です。
今の中国はほぼすべての周辺国に喧嘩を売っている状態で、金と力で従わせようとしているのですが、過去を知らない若手が最早中国の時代と遠慮なく本音をさらけ出しているのだろう。以前は硬軟織り交ぜた柔軟で巧みな手法を取ってきたのだが、ここへきて言動は完全に硬直化して、今までの中国とは異なる中国になっている。こういった態度の豹変は余裕のなさの裏返しと言えるのだろうか。
ユーロ圏はドイツ経済が強すぎ、それが統一通貨ユーロのため為替での調整ができないと言う不合理を抱えている。ギリシャとかイタリアのユーロ圏脱退が言われているのだが、むしろドイツがユーロを脱退すれば物事はうまく収まると言うのですが、まあ、政治的にはあり得ないでしょうね。
それではブラジル・トルコ・メキシコ・南アフリカなどの新興国はと言うと中所得国の罠にはまっているのではと言う見立て。アフリカ諸国についても思うほど潜在成長率は高くない。しかも先進国からジャブジャブと貸し出されたお金はほとんどは消費に回されインフラ投資に回されたものは少ない。うまく発展した東アジアの国々は新興国のスタンダードではなくて例外と考えなくては。
低成長下でも耐えてきた日本株への関心は高まっていて、30年間眠っていた日本株の夜明けは始まった!と誠に威勢のいい予言。「安心」「安全」「健康」のの日本のストーリーは海外で再評価されてきており、日本の魅力は相対的に上がっている。
日本株をサイクル論で見てみると1990年からの23年余りの調整期間を経て2013年からの40年の上昇期間に入ったとか。その間に過去の例から行けば20倍にはなるので、1万5千円×20で日経平均30万円でもおかしくない。この株高は円高と共に訪れる。
ユルマズさんの予測ではオリンピックまでに日経平均3万円、2025年の大阪万博までには5万円を軽々クリアーするはず。3万円はクリアーしたけど今はまた下がっているのですけど、それならば買い時?個別の銘柄はいろいろ難しいのであれば、銀行や証券会社の口車には乗らず手数料の安い日本株のインデックス投信から始めればいいのでしょう。
第7章以降では会社四季報のコメント欄の見方と評価、どんな割安株があるのか、そして具体的にどういう視点でどのタイミングで投資すべきかも書いてある。投資はあくまで自己責任でなんですけど、逆張り投資に期待の銘板、順張り投資に注目の銘板もそれぞれ30社以上紹介しているので、興味のある人は本を実際に読んで是非研究してみてください。
ところで先日「武器としての資本論」のレヴューを書いていて株式投資のすすめなどと言うのは自己矛盾と言われそうですが、社会の最適行動原理と個人の最適行動原理は違うと言うことで、ミクロの世界ではチマチマと小商いに励んでいこうと思う次第。
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