言葉のチカラこぶ——『いい言葉塾』

言葉はコミュニケーションの基本。伝えたいことは「言葉のチカラ」できっと伝えられる。もっとうまく伝えられる。

ある料亭の再生物語 <第2部>(その4)

2011-08-03 10:23:32 | 繁盛店物語(創作)
こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。

このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です。
おまけに先週は休んでしまいました。すみません。もしかしたら楽しみにしていた人、いました? いたら本当に、ごめんなさに!)


「ある料亭の再生物語<第2部>」(その4)


「じゃあまずメインは千樹弁当を売り出すという方向でいいですか」と本田がまとめ始めた。
「それに対して、千樹弁当を売り出すにあたっては、ただそのパンフレットを作ったり、宣伝をするんじゃなくて、寄席やお花、お茶会等を積極的に誘致して、そこで出す千樹弁当を味わっていただき、その際に千樹弁当を販売しているということを、来ていただいたお客様にパンフレットやチラシ等を渡してアピールするということですね」
「それともうひとつ、都内の老舗デパートに板さんの作ったお弁当を私が持っていき、扱ってくれるように営業するよ」と社長が自分からも動くことを宣言した。
「私もいくわ」
女将も乗り気になった。

「板さん、何種類か腕によりをかけて作ってくれるかな、見本を。それにいくらぐらいで売れるかも出してくれるかな」社長が板さんに早速依頼した。
「社長、デパートで売るとなるといくらぐらいがいいんでしょうかね。社長や女将さんからまずいくらぐらいという値段を出してもらった方が、こちらとしては作りやすいんですが」
「そうか、じゃあまず2,000円と3,500円という設定で2種類作ってみてくれるかな。本田さん、どうでしょう、その値段で」

「そうですね、やはり千樹の味を出すには最低でもそれくらいは必要でしょうからね。でも逆にもっと高い5,000円ぐらいのものもデパートに提案してみるのも手ではありますね。1日限定10個とかにしてアピールすれば、それが評判になって、2,000円とか2,500円、3,000円という弁当が売れると思うんですが。さらにいえば、もっと安い千樹としては作りたくないでしょうけど、700円、800円ぐらいのものも作ってみるというのも手ですね」
本田は戦略的な価格案を出した。

「百円台かあ、それはちょっと………、いくら何でも、うちの材料じゃ作れないだろ」
社長が難色を示した。
女将も無言で頷いた。
「作れないことはないですよ、社長。味を落とさず材料だけ少し安いものを入れてもらえれば大丈夫ですよ」と板長はここでも積極的に意見を出してきた。

「というのは、それははっきり言って捨て駒なんです。もちろん買っていただく限りはおいしいものを作らなくちゃなりませんが、それは2,000円、3,000円の、一番買ってほしい弁当を売るための作戦なんです。松竹梅理論ですよ」
「松竹梅?」
「消費者心理として、3種類の価格帯のものがある場合、だいたい真ん中の価格を選ぶ人が多いんです。それは商売をなさっている社長や女将さんは充分ご存知のことでしょう」と本田が続けた。
「お店のランチなんか、一番粗利が多い、売りたいものの下にちょっと安くて、1、2品数の少ない『梅』クラスをわざと用意しておくと、ほとんどその上の、一番売りたいものをお客さんは頼むんです。さらにもうひとつ『松』クラスとして『竹』よりもわざと高めで豪華なものも準備すると、そこまで高いものはなあという心理で、だいたいが『竹』に落ち着くという寸法なです」
「なるほど。そういう行動というか心理状態で品物を無意識に選んでるんだね、われわれは。心理を分析するとなるほどと納得できるね」
社長が頷いた。

「でも逆にその安い方に人気が出ちゃったらどうするんです?」と女将が不安げに呟いた。
「安いものに人気が出るのは、お店の方でそれをメインに、安さを強調して売ろうとするから、激安が人気になるんです。その安さをアピールしないで、さらっとそこに安いものもあるというように置いておけば、そんなことはほとんどないと思います。まあそれが評判になるようなら、それならそれで安いお弁当も中身を濃くして、限定10個ぐらいにして、それを餌にというのはちょっと悪いかなあ、それをイベントとして楽しんでもらうような感覚でアピールしましょう。激安弁当はあくまでイベントで」と本田が言った。

「うん、イベント、ね。面白いね、激安弁当はイベントか」
「あくまでイベントですよ」
「い弁当、ね」女将が珍しくダジャレを言った。
みんながニコッとした後、爆笑になった。

こうして、千樹のお弁当作戦は着々と計画され、3ヶ月後実行に移された。

幸いデパートの担当者は千樹を知っていてくれたので、すんなりと会ってくれた。
料理の中身の変更や価格設定で何度か議論があったが、まずはイベントとして扱うということで、1ヶ月限定でコーナーを作ってくれた。
価格は880円の激安日替わり弁当が限定20個、定番は2,500円、3,800円のの2種類、そしてこれも限定で、1日5個限定の5,980円のお弁当も用意することになった。
そして定番の中から数点を試食してもらうために、別に作り、通りがかりのお客様に食べてもらうことにした。
千樹弁当のネーミングも決め、価格別のラインナップも作り、デパートでは扱っていない弁当も購入してもらえるようにパンフレットも作り、その場で手渡すようにした。

こうして具体化した千樹弁当の挑戦が始まった。

<5>へつづく。

(このストーリーはフィクションです)

それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

あ、そうそう、下記のメルマガ「繁盛店になりたいか!」をぜひお読みください。
繁盛店になりたいか!
基本的に毎週月曜日の配信です。もちろん無料です。
今すぐにアクセスして、登録してください。

群馬県前橋市天川大島町186-25
藤田販促計画事務所
http://www.shakatsu.co

E-mail:k1948f@nifty.com
TEL.027-261-6671(FAX.同様)

ギフト解体セールの是非

2011-08-03 09:56:52 | 販売促進コンサルタントの日記
こんにちは。
前橋の販促経営コンサルタント、藤田です。
今日もよろしくお願いします。

今朝のニュースを見ていたら、特集で、ある百貨店のギフトの解体セールの準備風景を映していました。

ここ数年前から盛んになってきた、今ではどの百貨店でも行うようになった恒例のセールですね。

私は以前このセールを批判したことがあります。

そのときの論旨は、ギフト商品の在庫が多いということは、バイヤーのミスである、ということです。

その年に売れるであろう商品を仕入れる責任者であるバイヤーが、判断ミスで、あるギフト商品を大量に売れ残してしまった。このままではどうしようもないというときに、どういうきっかけで解体して売ろうということになったのか分かりませんが、試しにやってみたところ、大勢のお客様が押しかけた、というところからどの百貨店でも行うことになったわけですね。

これが今では、ギフト商戦終了後の恒例イベントになってしまったということらしいです。

さて、こうなると、バイヤーも、ある程度自分の目利きがなくても、アバウトで多めに仕入れておけば、そのセールでさばける。どうせ買い取りじゃないんだから、その分の商品の仕入価格の下代を遡って下げてもらおう、と安易に考えてしまわないでしょうか
またメーカーも、問屋もアバウトの見込みで商品を準備するようになるのではないか、ということです。

結局、自ら商品の善し悪しを見込むというマーケティング力の低下につながっていかないだろうか、ということですね。

バイヤーというものは時代を読み、消費者の心を読み、商品の善し悪しを見て、いかに仕入れるかというスキルが必要ですが、このようなギフト解体セールという、ある意味敗者復活のようなものが初めから存在している場合、ちょっとばかり目利きが曇っていても、OKということになってしまわないでしょうか。

そういう危惧があるので批判したのですね。
ギフト解体セールは、百貨店のバイイング力、マーケティング力を弱めるだけであって、将来的に見てもあまり実りのないものだという感じがしました。

もしかしたら最近では、このセール用専門で作っている商品も出てきているのではないかな、という危惧もあります。
そうなるとそれは消費者を欺くことになります。

ギフト解体セールという名のもとに、他の在庫品やどこかの倉庫に眠っていた、いわゆる流通業界でいうところの“バッタ屋”さんが扱うような商品まで、そのセールの中に混じってきてはいないでしょうか。
ない、とは言い切れないですね。

いずれにしても、ギフト解体セールは、消費者に支持されればされるほど、バイヤーやメーカー、問屋の仕入担当者まで、「考える力」を奪っていくものになりかねないものであるように思います。
結局は自分の手で、自分の首を絞めているような気がしませんか。
ウロボロスの蛇、ですね。
最後に残るのは空しさです。


またその消費者といったって、ニュースの映像を見るまでもなく、ほとんどが中年以上の人たちです。

その人たちは、その商品が必要だというわけではなく、その商品が“安く手に入る”からというだけの理由で、買うのが多いんじゃないでしょうか。もちろんそんな人たちばかりじゃないということも承知していますが。

買ったひとのコメントを聞いても、そんなニュアンスが感じられます。

その人たちの冷蔵庫や保存庫を見てご覧なさい。きっとそういう買物の商品でいっぱいですよ。
そうして、腐らせたりしていずれは捨ててしまわざるを得ないんです。

そういうお年寄りも私は知っています。
そういう人たちは買うこと、そのことがうれしいんですね。それが一種の娯楽なんです。
買うときは、これはおいしそうだから、これは今着るといいからと、そのときは思うんですが、結局は冷蔵庫とタンスのゴミになってしまうのが多いんです。

子どもたちが来たら、孫が来たらこれをあげようと思いながら買う場合もあります。
でもそんなに子どもたちも、孫たちも、頻繁には期待しているほどはやってきません。

そういう例も知っているので、敢えて苦言を呈しました。

解体セールを見込んでギフト商品のバイイングをするなんていうのは二流、三流のバイヤーのすることではないでしょうか。
恥ずかしくないんでしょうか。それでいいとまさか思ってはいないでしょうね。

いっそのこと、余ったギフト商品はそっくり東日本大地震で被災した人たちの配った方がよほどためになるんじゃないかなって気もします。

それでは今日はこれで。


▼あ、そうそう、下記は現在配信中の、無料メールマガジンです。
お店や会社経営のちょっとしたいいヒントがたくさん載っています。

消費者目線のマーケティング

繁盛店になりたいか!

「あっ、そうか! ちょっとした『気づき』が繁盛店に変える」

あなたの一日が今日も普段通りの良い一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。

群馬県前橋市天川大島町186-25
藤田販促計画事務所

http://www.shakatsu.co

E-mail:k1948f@nifty.com
TEL.027-261-6671(FAX.同様)