ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
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糖尿病予防と緑茶

2020-10-15 10:25:26 | グルメ
色々なメディアから各種の病気の予防になるといった食材が宣伝されています。

特にそれがテレビなどで報道されると、次の日のスーパーからその食材が消えるほど反響は大きいようです。

こういった報道は別にいい加減なものではなく、しっかりした科学的な根拠があるものがほとんどです。ただ問題は適量であればそれなりの効果が出るものを、過剰摂取した時どんな影響が出るかは分かっていない点です。

日本人は割と飽きやすい性質があるようですので、過剰摂取になるほど長い期間大量に摂ることはないのかもしれません。ここでは糖尿病の予防になるといわれている「緑茶」を取り上げてみます。

生活習慣とガンなどがどう関連しているかを調べるために行われた大規模コホート研究で、緑茶を1日6杯以上飲む人では、週1杯以下とほとんど飲まない人と比べて、糖尿病の発症率が33%少なかったとの結果が出ています。

また緑茶に関しては、日本を代表する疫学調査「久山町研究」でも、緑茶に含まれるテアニンという成分の代謝物エチルアミンの血中濃度が高い人は、2型糖尿病発症リスクが低いとの結果が出ています。

これを踏まえたさらなる研究では、血清エチルアミンの濃度が上昇するに従い、2型糖尿病の発症リスクは下がり最大で21%低下したとの結果でした。緑茶は糖尿病以外にも、心臓病や脳卒中のリスク低下、認知症予防などの研究結果が発表されています。

ほかにも緑茶のカテキンが血圧や体脂肪、脂質を調整し血糖値を改善するとか、緑茶のカフェインが血管を修復するといった可能性も挙げられています。

こういったことは研究で報告されていることですが、緑茶が糖尿病などにいいとは言い過ぎで、怪しいとは言えませんが、緑茶が糖尿病にいいと聞いたので、それを積極的にとり始めるということは賛成できない気がします。

緑茶は糖分や塩分が入っている飲物ではないので、普段から好きで飲んでいるなら問題はありません。しかし糖尿病にいいからと緑茶を飲み始める人は、過剰な飲みかたに陥りがちです。

夜中なかなか眠れないとか、トイレに行く回数が増えた、胃の調子が悪いなどの症状が出ることがあります。このあたりが過剰摂取の典型的な症状のようです。結局何か病気にいい食材というのは毎日報道されていますが、目的をもって摂り始めると過剰摂取になりやすくなります。

やはり日本食文化である、色々なものを少しずつ食べ、その中のひとつにそういった食材を含ませるという、普通の食事をとることが最も健康に良いような気がします。

つまり通常の食事に健康に良いものをさらに加えるのは、単に太る原因を作るだけではないでしょうか。

驚きの透明飲料の作り方

2020-09-11 10:24:57 | グルメ
残暑が厳しい日が続いていますので、出かけるときはペットボトルのお茶を携帯しています。

ところが先日忘れてしまったので、コンビニで珍しい水を購入しました。これを電車に乗って飲んだところ、完全に透明なのにジュースの味がしました。帰って調べてみると、こういった透明飲料がちょっとしたブームになっているようです。

そこでどうやって作っているのかを調べてみました。透明飲料ブームの火付け役になったといわれているのが、2010年に発売された「いろはす みかん」です。しっかりとジュースのような風味がついているにもかかわらず、見た目は透明というギャップが受け、この商品がヒットを飛ばしたことから、さまざまな透明飲料が開発されたようです。

2018年には、透明なコーラまで発売されています。この透明なコーラの開発には、様々なノウハウや技術、発想力が不可欠だったようです。透明にするためには、コーラの液色の元となっているカラメルを除く必要があるのですが、そうすると味のバランスが崩れてしまいます。

この開発では、原材料やフレーバーを試し、50種類以上のサンプルを作った末に、やっと販売にこぎつけたそうです。

2017年に透明な紅茶シリーズのミルクティーとレモンティーが発売されました。この透明紅茶の作り方には「高濃度アロマ抽出製法」という名前が付けられています。沸騰するお湯の上に紅茶の茶葉をセットし、茶葉に当てた水蒸気を集めることで、紅茶の香りだけを高濃度に取り出すことができました。

これに牛乳から抽出した透明な成分「乳糖」と「乳清ミネラル」を使うことで、水のような見た目でありながら、ミルクの風味が感じられるドリンクに仕上がったそうです。

2018年にはカフェラテを透明にした商品が販売されました。コーヒーを透明にするカギとなったのは、「クリアラテ製法」という独自の技術です。乳清ミネラルと共に、コーヒー豆からエスプレッソ抽出したコーヒーエキスを天然水に配合することで、カフェラテの味と透明な見た目を実現したとしています。

こうしてみると、色々な味の本体にはほとんど色がついていないことが分かります。私の専門としても、有機化合物に色がついていることはかなり珍しく。カロテンの黄色やアントシアニンの赤と青といった色素以外はすべて無色透明といえます。

したがって色々な飲物の味の本体は無色であってもおかしくないようです。ただ味覚というのは非常に微妙なものですので、微量の物質によって味は変わってしまうかもしれません。今回の透明飲料はそこまで味にこだわらないからできたといえるようです。

透明飲料が物珍しさだけでは、すぐブームは終わりそうで、長く続けるには何かの付加価値を見つける必要がありそうです。

太る朝食と痩せる朝食

2020-06-28 10:25:58 | グルメ
普段何気なく食べている朝食ですが、バランスが良くても「太ってしまう朝食」と「痩せる朝食」があるようです。

まず標準的な2種の朝食を見ますが、Aロールパン2個、目玉焼き、ウインナー、レタス、ヨーグルト、Bご飯、みそ汁、焼き魚、ほうれん草のおひたし、というパン食派とご飯派です。

一見するとどちらも品数が多くバランスがとれている良い朝食のようですが、実はAは太る朝食のようです。Aの朝食は野菜もタンパク質も乳製品もそろっているので、栄養バランス的には問題はありません。

AとBの決定的な違いは、「油」の量で、ご飯一杯分で脂質は0.4gほどですが、ロールパンは2個で4.8g、目玉焼きとウインナーを油で焼けばその分油の摂取量はさらに増えてしまいます。

またパン食の場合は、食べるおかずがほぼ毎日同じというケースに陥りやすいため、1食のバランスは良くても1カ月単位で見ると栄養バランスに偏りが出て代謝が落ちてしまいます。一般的なパンは小麦粉からできていますが、小麦粉は小麦を粉砕した物なので、粒になっているコメに比べると、早い時間で消化できます。

つまりそれだけ空腹になりやすいという事で、必然的に昼食までの間食が増えたり昼食でカロリーの高いものを選んだり過食につながります。朝は前日の夕食から10時間近くたっているため、胃腸が空になっています。

つまり食べものをよく吸収するということです。朝は空っぽの腸に食べ物を送り込むわけですから、栄養素をよく吸収するのです。脂質の多いパンの朝食が太りやすいのは、腸の吸収の良さも関係しています。

以上の理由から、ダイエットに効果があるのはごはん食で、魚や煮物、納豆などヘルシーなおかずとの組み合わせも増え、食品に偏りが出にくくなるので栄養バランスも整います。

日本肥満学会が定義した肥満の基準であるBMI25以上の人に、「朝食の主食」についてアンケートを取ったところ、48%がパンで半数にまで至りました。ちなみにご飯と答えた人は18%、麺類は11%でした。

一方BMI22以下の体重が標準以下の人の場合は、67%がご飯と回答しました。これでも朝のパン食が太りやすいという傾向があるという結果になりました。これはダイエットという程ではないものの、体重を気にした場合の朝食の摂り方ですが、やや誇張しているような気もします。

私の朝食は基本的には卵かけごはんで、たまにロールパンやクロワッサンを食べていますが、この説によれば比較的良い朝食なのかもしれません。やはり腸の吸収が良い朝食に、しっかりと食べることが健康には良いような気がします。

卵は1日何個まで食べてよいのか

2019-09-04 10:25:57 | グルメ
豊富な栄養素を持ち「完全食」と呼ばれる卵ですが、健康に与える影響には賛否両論があり、長らく1日何個まで食べてよいのかという「卵論争」が繰り返されてきました。

卵にはコレステロールが多く含まれていることもあり、1日に1個までという説や、卵を多く食べると長寿につながるというような説も出ていました。

今年3月にノースウエスタン大学から出た報告書では、「卵を1週間に3~4個食べる人は、全く食べない人に比べて心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高く、早死にする危険性がある」というものでした。

今回の研究は、約2万9000人のアメリカ人を平均で17年半追跡した6つの研究を「統合」して導き出されたもので、その分析も精緻に行われているようです。

この研究では、他の食事からとるコレステロールや生活習慣などの要因を厳密に取り除いたうえで、卵に含まれるコレステロールが心筋梗塞や脳梗塞、さらには死亡率に悪影響を及ぼしていることが明らかになったとしています。

この研究では何個までは大丈夫というという上限値は示されておらず、摂取量が少なければ少ないほど病気になるリスクがは低くなると判断されるようです。日本の専門家も、従来卵は一週間に6個程度が良いと指導していたものを、この論文から卵は控えめにした方が良いと説明しているとしています。

ただし卵の摂取量は栄養状態やそれ以外の食事内容、年齢などによっても変わる可能性があり、栄養が不足しがちな高齢者や育ち盛りの子供などは、必ずしも卵は控えた方が良いとは言えないようです。

この論文により卵論争が決着したというような論調ですが、素人の私でもやや違和感を覚えます。コレステロールについては昔からいわれていることですが、ヒトの体内ではかなり大量のコレステロールを常に合成しています。

具体的な量ははっきりしませんが、食事からとるコレステロールの何倍かに当たるようです。そのため高脂血症治療薬として、コレステロール合成阻害剤が世界中で大量に処方されてきました。

これは一種のブームのようになっていましたが、今ではこの阻害剤の使用は減ってきているようです。コレステロール自身の考え方も変わっており、HDLだけでなくLDLコレステロールの概念も出てきて、全てのコレステロールが健康に悪いわけでは無くなっています。

こういう状況で、卵のコレステロールだけに注目して、なるべく摂取しない方が良いという結果は、すぐに逆の研究結果が出るような気がします。私は卵かけごはんが好きでほぼ毎朝食べていますが、この習慣を変えるほどの研究結果ではないと思っています。

ゲノム編集でコムギの品種改良

2019-08-19 10:42:40 | グルメ
遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集の技術を使って、雨にぬれても穂に付いた実が発芽しにくく、商品価値が落ちないコムギを開発したと、岡山大学などの研究グループが発表しました。

日本や北欧のように収穫期に雨が多い地域のコムギを雨にも強くできると期待されています。研究グループは、岡山大学資源植物研究所や農業・食品産業技術総合研究機構を中心に、帯広畜産大学や横浜市立大学の研究者も参加しています。

研究グループによると、コムギは6000年以上前に3種類の異なる植物が自然にかけ合わさってできたことが分かっていますが、全遺伝情報であるゲノムを人間のように1組ではなく、3組(Aゲノム、Bゲノム、Dゲノム)持っています。

それぞれのゲノムは7対の染色体からできており、この様に複数のゲノムがあると類似した遺伝子を重複して持つ植物の特性を改良することは非常に難しい事でした。

研究グループは、1つのゲノムしか持たないオオムギで見つかった「Qsd1」と呼ばれる遺伝子に着目しました。Qsd1は「種子休眠」という発芽に適した条件になっても発芽しない現象に関わり、この遺伝子が働かないと種子の休眠が長くなることが分かっていました。

種子の休眠が長いことはムギ類を含めた穀物が、雨によって発芽してしまうことを防ぐための重要な特性となっています。

研究グループはゲノム編集の「クリスパー・キャス9」という技術を使い、コムギが持つ3組のゲノムそれぞれにあるQsd1に相当する遺伝子を一度に改変しました。Qsd1が働かず、発芽しやすい環境に置かれても発芽しにくいコムギを作ることに成功しました。

これに穂の状態で種子に水をかけて濡らす実験を続けましたが、通常のコムギと比べ発芽が目立って遅れたようです。収穫時の降雨によってコムギのような穀物が、穂に種子がついたまま発芽してしまう現象は「穂発芽」と呼ばれます。

穂発芽したコムギから製粉した小麦粉は、品質が劣化して商品価値が著しく下がります。農研機構などによると、穂発芽による経済損失は大きく、日本国内の例として知られる2016年の北海道での被害額は140億円に上りました。

今回の成果について研究グループは、経済的効果や技術開発の面での意義は大きいとしています。このようにゲノム編集技術によって、従来の遺伝子組み換えでは難しかったような改変が容易になり、多くの植物が作り出されています。

こういった新しい植物(食物)が受け入れられるような良い情報を流すことが重要なのかもしれません。