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熟睡できない人は糖尿病、肥満、大腸ガンのリスクが上がる

2025-01-26 10:35:48 | 健康・医療
私は胃腸が割りと強いようで、お腹の調子が悪くて気分が落ち込むという事はほとんどあありません。最近脳腸相関という、脳と腸は情報のやりとりをして互いの機能を調整するという仕組みに注目が集まっているようです。

ここでは睡眠と腸との関係について述べてみます。腸の機能に日内変動があるという事は、腸内マイクロバイオータの組成が1日の間で変動しているからかもしれません。

マウスの糞便を6時間ごとに回収し、その糞便に含まれる腸内マイクロバイオータの種類を解析したところ、腸管内に存在する乳酸菌の一種であるラクトバチルス菌の数が活動期(暗期)に減少していました。

一方でハロバクテリウム属の細菌が増加していました。つまり腸内マイクロバイオータの組成が日内変動することが分ったのです。それによって腸内マイクロバイオータが産生する腸内代謝物の種類も日内変動していました。

ところが時計遺伝子を欠損しているマウスでは、腸内マイクロバイオータや腸内代謝物の組成に日内変動は見られませんでした。ただしこのマウスに決まった時間にエサを与えると、腸内マイクロバイオータの組成に日内変動が再びみられるようになりました。

摂食という刺激が、腸内マイクロバイオータの組成の日内変動を調節していると考えられます。この組成が日内変動しているのであれば、睡眠障害がどのような影響をもたらすか調べてみました。

マウスを用いて昼夜逆転させ、睡眠障害を起こします。この睡眠障害モデルマウスでは、中枢時計や摂食リズムが乱れていて、腸内マイクロバイオータや腸内代謝物の日内変動も消失し、何故か肥満することも分かりました。

これらの結果から、睡眠障害によって腸内マイクロバイオータの組成が乱れ、肥満や大腸ガンを引き起こすとされる細菌が増加する可能性があることが分りました。

この睡眠障害モデルマウスに高脂肪食を与えてみると、健常マウスと比較して血糖値が上がりやすく、さらに体重が増加しやすい傾向がありました。この結果からも、メタボリックシンドロームにもなりやすくなるといえます。

ヒトでの解析の結果、腸管内に存在するパラバクテロイデス属の細菌が昼間(ヒトでは活動期)に増加し、夜間に減少していました。

つまり菌の種類は異なりますが、ヒトにおいてもマウスで観察されたように腸内マイクロバイオータは日内変動していて、腸内代謝物も日内変動していました。ヒトで睡眠障害を起こした場合も、8時間飛行機で移動することによって調べ、マウスと同様の結果が得られています。

結局睡眠の重要性が示されたのですが、熟睡できないと肥満や糖尿病になりやすいというのは、感覚的にも分かるような気がします。


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